3.いと高き神の祭司

エピソード文字数 1,046文字

メルキゼデクは、サレムの王で、いと高き神の祭司でした。

彼はアブラハムを祝福し、アブラハムはすべての物の十分の一を分け与えました。

彼には父もなく母もなく系図もなく、生涯の初めもなく、命の終わりもありません。

彼は神の子に似た者であり、いつまでも祭司として留まります。

メルキゼデクって前にちょこっと触れてたな。

サレムってのは、エルサレムのことやろ?

そんで、そこの王様(ツェデク)やっとったんや。

『創世記』第14章18-20節

サレムの王メルキゼデクはパンとぶどう酒を持って来た。

彼はいと高き神の祭司であった。

彼はアブラムを祝福して言った、

「天地の造り主、いと高き神によって、アブラムは祝福されますように。

敵をあなたの手に渡されたいと高き神は、賛美されますように」。

そこでアブラムはすべての物の十分の一を彼に贈った。

「神の子に似た者」とはどういうことでしょう。

メルキゼデクはイエス・キリストと似ていると?

メルキゼデクについて、聖書はその経歴を明らかにしていない。

父母も系図もさっぱり分からない。

それを利用して、いっそ神秘的な人物像を作り上げてしまったわけだ。

そして『詩編』を引用することで、メルキゼデクとイエスとを繋ぎ合わせた。
『詩編』第109章4節

主は誓われた、そして悔やんではおられない、

「お前は永遠の祭司、メルキゼデクにかたどった者」。

まずメルキゼデクという人物に神性を与え、イエスをその系統とする。

回りくどいですが、権威付けにはそうした回りくどさも必要なのかしらね。

手紙では、アブラハムでさえ戦利品の十分の一を与えたことを強調している。

そしてイエスは、そのメルキゼデクに連なる祭司であると言う。

そうすることで、レビ族の祭司を上回る存在だとほのめかしているんだろう。

『ヘブライ人への手紙』第7章20-21節

また、これは、神の誓いなしになされたのではありません。

レビの祭司たちは、神の誓いによらずに祭司となりましたが、

この方は神の誓いによって祭司となったのです。

神はこう仰せになりました、

「主は誓った、そして悔やんではおられない。

『あなたこそ永遠の祭司である』」。

キリスト教徒やめてユダヤ教徒に戻りそうな人らを思い留まらせるためやな。

ユダヤ教の大祭司よりもイエス様の方が立派な祭司やってことか。

ちなみにグノーシス主義においてはさらに踏み込んだ表現をしている。

イエス・キリストとメルキゼデクは同一視されているのさ。

イエスは神ですもの。

かつてメルキゼデクであったとしても、なんら不思議はございませんわ。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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