3.天空神ゼウス

エピソード文字数 1,199文字

金で大祭司の地位を手に入れたヤソン。

しかし彼のその後は散々だ。

ヤソンは弟のメネラオスによって追放されてしまう。

(聖書ではメネラオスはシモンの兄弟と書かれているが、研究ではシモンの子)

メネラオスは兄の不正に怒ったってことか?

正義感でもって悪を追放したんやろか。

残念ながら全くの逆さ。

メネラオスは「残忍な暴君」で「野獣のような凶暴性」を持つと言われている。

要するにヤソンの後釜を狙ったというだけのことなんだ。

欲にまみれた草どもの戯れ。

まあ、いつものことかしら。

その後、セレウコス朝シリアの王アンティオコスはエジプト遠征に赴く。

彼はその遠征の途上に死んだ……、という虚報が追放されたヤソンに届いた。

ヤソンはこれ幸いと千人の手勢を連れ、エルサレムに攻めかかった。

メネラオスは城内に逃れたけれど、その際にヤソンは多くの同胞を殺した。

もう、無茶苦茶やな。

そんな奴、他のユダヤ人が受け入れへんやろ。

まさしく、その通り。

ヤソンは支配権を握ることが出来ず、町を追われた。

そしてスパルタに向かって逃げたが、「異教の地で死んだ」とされている。

寂しい最期ですこと。
しかし話はここで終わりじゃない。

シリア王アンティオコス4世・エピファネスはエジプトに勝利し、帰って来た。

その途上でエルサレムの騒動を聞き、これを反乱だと思ってしまった。

そして彼が行ったのは、エルサレムにおける虐殺だった。
なんでやねん。
そもそもユダヤ人は他民族の文化を受け入れない。

そうした状況を変えようとしたのがヤソンであり、メネラオスだった。

しかしそれもうまく進まないとなれば、強硬手段に訴えようと思ったのかもしれない。

アンティオコス4世はついにエルサレム神殿の中に立ち入った。

そしてそこをギリシアの主神である天空神ゼウスのものとした。

右手に持ってるんは雷やな。

全宇宙を破壊できるほど強力、とかいう。

『ビックリマン』に出てくるスーパーゼウスのイメージ強いせいかな。

単なるスケベじいさんとしか思われへんけど。

そんなに間違ってもいない気もするけどね。
町と町の結びつきによる神話の融合。

そうした背景によってゼウスは多くの女と関係を持ったとも言いますわね。

まあ、本当のところは存じませんけど。

他にもユダヤ人たちには、ディオニソスの祭りへの参加が強制されたりした。
ぶどう酒と酩酊の神ディオニソス。

その名は「若いゼウス」を意味すると言う。

勅令により、ギリシアの風習を拒めば死刑とされた。

子に割礼をほどこした女は公衆を引きまわされた後に城壁から落とされた。

安息日を守るため洞穴に集まった人々は焼き殺された。

言うこと聞かんユダヤ人への弾圧やな。

命を賭しても守りたいもんが彼らにはあるんや。

役に立たない神などさっさと捨てれば良いでしょうに。

ギリシアの神であれば、後の世にもそれなりの人気でしてよ。

簡単に信仰を捨てられるなら、彼らはとっくにゾロアスター教徒になっていたろうさ。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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