5.勇士ギデオン

エピソード文字数 975文字

イスラエルの子らはまた神様の目に悪と思われることを行った。

神様は怒り、イスラエルの子らはミディアン人の侵入を受けた。

さすがにもう慣れたわ。

次はどないな士師さんがいらっしゃるんやろなあ。

今回登場する士師の名はギデオン。

「破壊者」という意味を持つ、勇猛な戦士だよ。

あら?

天使が降りてきましたわ。

神様のみ使いが来て、ギデオンに語りかけた。

「勇士よ、主があなたとともにおられる」と。

「勇士」と呼ばれる士師は5人目のギデオンと8人目のエフタだけ。

ギデオンは後世においても力強き者の象徴となる。

有名なところで、第二次エチオピア戦争で活躍したイギリスのギデオン部隊がある。

彼らは少ない補給を受けながら、現地レジスタンスの協力を受け、イタリア軍を駆逐した。

なんでそんなことまで知っているのかしら。
サタニャエルくんはオタクやからな。
……。
と、とにかく続きを見てみよう。
主はギデオンに言った。

「父ヨアシュのバアル祭壇を破壊しろ」

「そばにあるアシェラ像を切り倒せ」


ギデオンがそれに従い、ヨアシュは町の人々に告げた。

「自分の祭壇を破壊されたバアルがギデオンと争うだろう」

人々はギデオンを「エルバアル(バアルが争う)」と呼んだ。

バアルは相変わらずの人気者やな。
わたくしにはお姉さまお一人で十分だと言うのに。
うちは別に「お姉さま」ってわけやないねんけど……。
性別など!

どうとでもなりましてよ。

お姉さまがお望みなら、ビヨンデッタ(女)はビヨンデット(男)となります。

バアルとアシェラの像が倒されて町の人たちは怒ったんだ。

それもギデオンを殺さんばかりに。

でもギデオンの父ヨアシュが「バアルが争う」と言った。

そうすることで、ギデオンの命を実質的に救ったんだね。

とは言え、士師の名前に「バアル」が付くのは不思議やな。

「バアルが争う」言うのもなんかよう分からんし。

そうだね。

聖書学者のレスター・L・グラビーは「エルバアル」とは「バアルを偉大にせよ」といった意味ではないかと言っている。

全然意味ちゃうやん。
そして現代の学者たちは、ギデオンとエルバアル、二つの物語が組み合わさっているのではないかと考えているんだ。
ああ、そういうこと。
一人の神が複数の名前を持つ。

世界中の神話で見られることさ。

なるほどなあ。

ほんで、ギデオンの活躍はどないなったんや?

ちょっと長くなっちゃったから、次回に回すね。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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