10.滅びゆく女王バビロン

エピソード文字数 1,240文字

おとめである娘バビロンよ、下って来て、塵に座れ、

カルデア人の娘よ、王座にではなく地面に座れ、

お前はもう、上品で優しい女とは呼ばれない。

新バビロニア王国がアケメネス朝ペルシアに滅ぼされるのは話した通り。

『イザヤ書』におけるこの内容は、未来について語る部分だね。

「カルデア人の娘」というのはそのまま新バビロニア帝国のこと。

新バビロニア帝国はカルデア人によって紀元前7世紀頃に建国されたと言う。

「カルデア」っちゅうたらあれやで。

FGOの人理継続保障機関フィニス・カルデア。

人類の未来を語り、保障するための機関のことや。

Fate/Grand Order

過去、未来、古今東西あらゆるところで活躍した英霊たちを召喚し、戦わせる。

まことに教育的に優れたコンテンツであります。

全くだね。

紫式部実装直後、界隈では紫式部や清少納言のトリビアが溢れかえってた。

学校の授業を聴くよりもよほど刺激的だ。

FGOは置いといて、カルデアについて詳しく見てみよう。

聖書におけるカルデアの記述は『創世記』に遡る。

ノアの息子セム、そのセムの息子にアルパクシャドがそれだ。

アルパクシャドはカルデアの都市アルファ・クサド(Arfa-ksad)のこと。

フラウィウス・ヨセフスはそんな風に考えたらしい。

なるほどなあ。

『創世記』には色んな民族が出てくるからな。

みんな元は兄弟や。

さらに『創世記』第11章28節と31節にカルデアの記述がある。

ヘブライ語ではカスディーム(Kaśdim)と言う。

『創世記』第11章28節

ハランは父テラの存命中、その誕生の地カルデアのウルで死んだ。


『創世記』第11章31節

テラは息子アブラムと、ハランの息子で自分の孫であるロトと、息子アブラムの妻である嫁サライを伴い、カルデアのウルを発ってカナンの地に向かった。ハランに着いたとき、そこに住んだ。

ん? ハランは人名と地名のどっちなんや?

神話的にどっちも同じもんやったりするんか?

関連するかもしれないけれど、いちおう両者は別物だよ。

綴りが違うんだ。

人名をハーラーン、地名をハッラーンと読めば区別しやすいかも。

こんな風に、カルデア自体の歴史は長い。

そこから新バビロニア王国へと発展を遂げるわけだ。

しかしその栄華も長くは続かない。

お前は、平然と自分の悪の中にあって安穏とし、

『わたしを見ている者はいない』と言った。

お前の知恵と知識がお前を迷わせ、

『ただわたしだけで、ほかにはいない』と心に言った。

バビロニアは呪術と魔術において秀でた国。

そのバビロニアに対して「知恵と知識」が迷わせるとは。

なかなかの皮肉だと言えましょう。

バビロンを出よ、カルデア人のもとから逃れよ。

喜びの声をもって告げ、このことを聞かせよ。

神は「ヤコブよ」と呼び掛けてイスラエルの民に語る。

「わたしは初めであり、終わりである」

つまり自身が創始者であり完成者だと宣言して、命令を聴けと諭す。

そして決め台詞はこうだ。

「悪い者には平和はない」

仮面ライダー2号かな?

世界に悪の栄えた試しは無いんやで。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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