20.イエスの苦しみ
文字数 1,165文字
ユダは金銭を対価とし、イエスを祭司長らに引き渡す機会を狙っていた。
実はユダは少年時代にサタンに取りつかれたとされる話がある。
正典ではなく、外典の『シリア語の幼少期福音書』に書かれている。
この福音書は『トマスによる幼少期福音書』をベースとしていると言われている。
『トマスによる福音書』とは別物だから、混同しないようにね。
すると、み使いが天から現れて、イエスを力づけた。
イエスは苦しみ悶え、さらに熱心に祈られた。
汗が血の滴(しずく)のように大地に滴(したた)り落ちた。
イエスのこの苦しみもまた同じようなものとして考えられる。
しかし、この箇所は多くの学者にとって議論の的となっているんだ。
どうやら初期の写本ではこの箇所が抜け落ちていたりするらしい。
これはいわゆるキリスト仮現説に対抗するための文章だと考えたんだ。
仮現説は、イエスは幻のようなもので実在しないという説だね。
もちろん異端とされている。