8.新しいエルサレム

エピソード文字数 959文字

『エゼキエル書』は最後に、新たなエルサレムの姿について語る。

それは神がエゼキエルに見せた幻だったけれど、将来への希望とも言える。

神の幻の中で、わたしをイスラエルの地へ連れていき、非常に高い山の上へと導いた。

山の南には、都とおぼしき建造物があり、わたしはそこへ連れていかれた。

「高い山の上」とは、『イザヤ書』でも見た表現ですわね。
『イザヤ書』第2章2節

来たるべき時に、主の神殿の山は山々の頂(いただき)として固く立てられ、

いかなる峰よりも高く上げられる。

なんせ神様の神殿やからな。

いっちゃん高いところにあるべきやろ。

これは幻の中での話だけどね。

高い山はエルサレムの栄光、その回復を象徴するとされる。

エゼキエルは天使の案内で幻の神殿を見学してまわるんだ。

1.東の門(外側)

2.外庭

3.北の門(外側)

4.南の門(外側)

5.南の門(内側)

6.東の門(内側)

7.北の門(内側)

8.犠牲の準備室

9.祭司の部屋

10.前廊

11.聖所

12.脇室

13.西側の建物

14.聖域と外壁に面した部屋

細かく区切って見てるんやな。
それぞれ、高さやら奥行きやらを詳しく調べている。

文章しかないけれど、まるで設計図のような細かさだよ。

最初と最後のエリアは、やはりそれなりに重要なところなのかしら。

まず聖域と外壁に面した部屋について。

天使が言うには「祭司が聖なる供え物を食する所」だそうだよ。

聖所の周囲である、聖域の北側と南側にある。

そして東の門については特別に規定がある、

基本的には閉じたままにしなければいけないんだ。

それは東の門は神が入った門だからだと言う。

いけずやなあ。

でも、神聖な場所を大事にしときたい気持ちは分からんでもない。

東の門は後の世で「麗しの門」と呼ばれたりしている。

『使徒言行録』にそういった表現が書かれているね。

他には「黄金の門」とも。

ただし全く通れない門というわけではない。

祭司の儀式に関することであれば当然開けなければならない。

また、安息日と新月の日には国民は門の前で礼拝することになっている。

後は祭儀についての取り決めや、土地の分配について語られる。

まったく、まだ土地を取り戻してもいないのに気の早いことだね。

大事なことやからな。

早いうちに決めときたい気持ちは分かるで。

その日から、都の名は次のようになる。

『主はここにおられる』

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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