5.ソロモンの第一の箴言①

文字数 962文字

知恵のある子は父を喜ばす。

しかし、愚かな子は母の悲しみ。

『箴言』は第10章から箴言「集」のようなものが続く。

短いセンテンスで従うべき大事な言葉が並べられるのさ。

その最初の二行が上のやつやな。

まあ、確かに子供があかんたれやったら、お母ちゃん泣くわ。

母親一人泣かせられない者など、何の魅力もありませんわ。

親の言いなりにならぬ強者にこそ栄光の座が用意してありましてよ。

ことわざみたいなものは、受け取り方も様々だからね。

文章も平易だし、実はさほど解説するほどのこともない。

ほな、さくっと飛ばしてまうか?
それはそれでもったいない。

気になるところをピックアップしていくスタイルで行こう。

口数が多ければ罪を避けられない。

しかし、口を慎しむ者は賢い人。

「深い川は静かに流れる(Still waters run deep)」と申します。

要するに黙っていた方が賢く見えるという小手先ですわね。

戦も同じや。

黙って、どっしり構えとった方が強そうに見える。

がやがや言うんは必要最小限でええ。

「沈黙は金、雄弁は銀」とも言うね。

昔から、しゃべりすぎでやらかした人が多かったんだろう。

正しい人の口は知恵を実らす。

しかし、ねじれた舌は切り取られる。

ねじれた舌?

つむじ曲がりとか、あまのじゃくみたいな意味か。

それを切り取るというのは、まるで抜舌地獄(ばつぜつじごく)ですわね。

仏教において、言葉によって悪さをしたものが落ちる地獄でしてよ。

よく「うそつきは閻魔様に舌を抜かれる」と言うけどね。

それ自体は俗説で、彼は亡者に沙汰を言い渡す裁判官だ。

実際の舌切りは色んな地獄、色んな方法で執り行ってもらえる。

どんな方法か調べてみると、愉快な気持ちになれるかもね。

情け深い人は自分の魂のために善をなす、

無慈悲な者は自分の身に災いをもたらす。

情けは人の為ならず。

人に情けを掛けといたら、巡り巡って自分にええことが返ってくるんやで。

お姉さまの仰る通りですが……

近頃は別の意味で使う連中が半数近くいるのだとか。

これも言葉の「乱れ」でしょうねえ。

情けを甘やかしみたいに解釈して、それだと相手のためにならないと言う。

そういう解釈が増えてきているんだね。

上の図は2012年に文化庁が連載「言葉のQ&A」で出した資料だ。

若い世代だと過半数が「その人のためにならない」と解釈しているね。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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