4.結婚は二流の振る舞い

エピソード文字数 1,138文字

結婚する人々は苦難を身に受けることになります。

わたしは、あなた方をそのような目に遭わせたくないのです。

えぇ……。

聖書は昔から、産めよ増やせよがモットーちゃうんか?

結婚せんかったら繁栄もあらへんやろ。

『創世記』第1章27-28節

神はご自分にかたどって人を創造された。

人を神にかたどって創造され、男と女に創造された。

神は彼らを祝福して仰せになった。

「産めよ、増えよ、地に満ちよ、そして地を従わせよ。

海の魚、空の鳥、地を這うすべての生き物を治めよ」。

神は「人がひとりでいるのはよくない」とも言っていたね。

だからむしろ結婚はすべきで、結婚しないことは恥ずかしいとさえ思われた。

しかしパウロはむしろ結婚することのデメリットを強調している。

独身であれば男女ともに神のことに心を配ることが出来る。

しかし結婚すると、いずれも伴侶のことばかりを考えてしまう。

身に覚えのある人は多いんじゃないかな。

独身時代は天下国家について燃えていたのに、結婚して丸くなるような感情に。

情愛はむしろ信仰の妨げというわけ。

つまらない生き方ですこと。

と言って、パウロは結婚に反対したってわけじゃない。

みだらな行いを避けるためには結婚することを推奨もしていた。

基本的にはパウロのように独身でいるのが良いと言いつつね。

パウロも独身やったんか。

そら、独身仲間が欲しいんやろ。

パウロがずっと未婚で独身だったのか。

はたまた妻を亡くしたのか。

そのへんは分かっていないらしい。

それにしても、いったい何がパウロにそう考えさせたのかしら。

ユダヤ教の伝統とは思えませんわ。

おそらく、ローマ帝国の文化が強く影響している。

元々、ギリシアにおけるストア派では、性愛は互いに楽しむならば良しとされていた。

少年愛という形の同性愛が認められるくらいにね。

しかし、ローマ帝国では少々事情が異なる。

性愛への強い情動に対して否定的な見方をしていたらしい。

性愛はあくまで結婚、社会制度の維持に伴うものと強調するのさ。


(Wikipedia "Sexuality in ancient Rome" 参照。元の文献は William Loader, Sexuality and the Jesus Tradition)

なるほど。

つまり「えっちなのはいけないと思います」みたいな価値観が流入してきたと。

それやったら最初から結婚せえへん方が、手っ取り早いわ。

ただし、セックス即ち罪といった単純な言い方ではありませんわね。

ある種の節度を求めるような話となっております。

聖職者が独身であるべきというのは、現代でも肌感覚で通じる話ですし。

婚約者と結婚に踏み切る人は善いことをするわけですが、

結婚に踏み切らない人はもっと善いことをすることになるのです。

少子化が捗りましてよ。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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