1.マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

エピソード文字数 1,397文字

おそらくその名を知らぬ者はいないだろう。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア。

アメリカの黒人としては世界一有名じゃないかな。

元々、彼の父親はマイケル・ルーサー・キングと言った。

宗教改革で知られるマルティン・ルターに深く共鳴し、

その名をマーティン・ルーサー・キングと改めたんだ。

マルティン・ルターとマーティン・ルーサー……。

ドイツ語読みと英語読みってだけで実は一緒の名前やってんな。

学校の教科書などでは相手国の呼び方などを尊重いたしますものね。

それを言えば英語のマイケルはドイツ語でミヒャエル。

ヘブライ語でミカエルですわ。

なんや……。

うちよりもルターさんがお気に入りやってんな。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアとは区別して、

父をマーティン・ルーサー・キング・シニアと呼ぶ。

彼はアフリカ系アメリカ人公民権運動の創設期メンバーでもあった。

そういう父親の元で育って、ああいう息子に成長したんやな。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは運動の中心人物となる。

そして彼の名演説「I have a dream(私には夢がある)」は絶大な評価を受けた。

I have a dream...

この演説の中に『イザヤ書』の引用が含まれているんだ。

I have a dream that one day every valley shall be exalted, and every hill and mountain shall be made low, the rough places will be made plain, and the crooked places will be made straight, and the glory of the Lord shall be revealed and all flesh shall see it together.
私には夢がある。それは、いつの日か、あらゆる谷が高められ、あらゆる丘と山は低められ、でこぼこした所は平らにならされ、曲がった道がまっすぐにされ、そして神の栄光が啓示され、生きとし生けるものがその栄光を共に見ることになるという夢である。
『イザヤ書』第40章4節および5節

苦しむイスラエルを慰める呼びかけとして書かれている。

この箇所をマーティン・ルーサー・キング・ジュニアは平等の表現として引用した。

「あらゆる谷が……」以降の箇所がそれだよ。

道端の草が高い低いで争うなど、喜劇でしかありません。

草は草同士、仲良くいたしませ。

1963年8月の演説だ。

しかしその約5年後、1968年4月に彼は白人男性に殺される。

悲しいなあ。
さらにマーティン・ルーサー・キング・シニアに不幸が降りかかる。

息子を失った6年後の1974年6月、妻アルベルタが”黒人”青年によって殺された。

黒人に?

彼らは黒人のために戦っていたのではなくって?

犯人の言葉によれば、「全てのキリスト教徒は私の敵」だそうだ。

黒人もまた一枚岩ではなく、宗教による対立が存在していたわけだ。

あの有名なガンジーかて黒人には差別的やったって聞くこともある。

敵味方区別なく治療した言うナイチンゲールも有色人種は後回しや。

何かに反対したかて、結局はまた別の対立が生まれる。

対立は細分化されたりくっついたりやけど、きりあらへん。

うちには夢がある。

人が人を人として見るっちゅう、ちっぽけな夢が。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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