天使と悪魔の聖書漫談

2.全イスラエルの王ダビデ

エピソードの総文字数=1,158文字

アブネルはダビデと協定を結び、立ち去った。

しかし弟アサエルを殺されたことをヨアブは許せなかった。

彼はアブネルの腹を突き刺して殺した。

戦場での死は誉れや。

その血を血であがなうのは単なる私情やで。

ヨアブは優れた軍人のはずやけどな。

大事な弟のことに関しては冷静でおれんかったか。

このことを知ったダビデは、アブネルに対して哀悼の意を送る。

そしてヨアブに呪いの言葉をかけた。

サウルの子イシュ・ボシェトはアブネルの死を知って落胆した。

レカブとバアナの兄弟はイシュ・ボシェトの寝込みを襲い、彼の首をはねた。

あら、裏切り?

いよいよ国が追い詰められたというわけですのね。

大将の首を持って行けば恩賞にあずかれるとでも思ったのでしょう。
まあ、その通りだろうね。

彼ら兄弟はイシュ・ボシェトの首を持ってダビデのところに来た。

しかしダビデは彼らを殺してしまうんだ。

「悪人が正しい人を寝床で殺した」ならば、それを討たねばならないと言ってね。

ご褒美もらえると思ったら、逆に殺されてもうたんか。

あてが外れるにも、ほどがあるわ。

しかし、なんやかやでダビデが王になるのに邪魔な連中が死んでいったな。

サウルは戦争で死んで、息子のイシュ・ボシェトは暗殺された。

どっちも、ダビデ自身は手を下してへん。
ダビデには後ろめたいことなんか何もない。

想像だけれど、彼が王になるための正統性が示されているんだろう。

正統性?
政治権力の確立、権威を正当化する概念のことだよ。

仮にダビデ自身がサウルやイシュ・ボシェトを殺していたとしたら?

それは王位の簒奪だ。

だけど彼らはダビデの与り知らぬところで勝手に死んだ。

そしてダビデ自身はサムエルに油を注がれ、ユダの王でもある。

今この瞬間、全イスラエルを支配するに相応しいのはダビデを置いて他にいない。

そういう筋書きがなされているのさ。

イスラエルの長老は全員、ヘブロンにいるダビデのところに来た。

そして長老たちはダビデに油を注ぎ、彼をイスラエルの王とした。

ダビデ、30歳の時のことである。

ああ……。

あの美少年が、ひげもじゃのおっさんになってもうた。

誰だって子供のままではいられないからね。

これは16世紀後半から17世紀のフランス人彫刻家、ニコラス・コルディエの作品。

ローマのカトリック教会、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂に飾られているよ。

右手に持っているのは王笏(おうしゃく)で、権威の象徴。

その下にはダビデを表す竪琴が飾られているね。

彼は竪琴の名手だった。

ちゅうことは、右足に隠れてるんは、ゴリアテの首やな?
そこまでは分かりますけれど。

左手で指差しているガキは何なのかしら。

にやついて、いやらしい。

この子供はダビデの子孫を表している。

カトリックの大聖堂でダビデの子孫と言えば、かの救世主を置いて他にいない。

ジーザス・クライスト……。

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