10.最後の審判

エピソード文字数 1,211文字

キリストの一千年間の支配が過ぎ、サタン解放の時が来た。

サタンは諸国の民ゴグとマゴグを惑わし、戦いのために召集した。

そして聖なる人々の陣営と、愛された都とを包囲した。

しかし、戦いと呼べるほどの戦いにならなかった。

天から火が降り、ゴグとマゴグは焼き尽くされた。

そして彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄の池に投げ込まれ、限りない苦しみを受ける。

すまんなあ、サタニャエルくん。

千年の封印からようやく解放されたばっかやのに。

あっちゅうまに地獄行きやなんて。

悪役だからね。

仕方ないさ。

こうして悪魔は去り、ついには最後の審判の時が来た。

命の書をもって、死者たちを裁くんだ。

命の書とは、何でしたかしら。
そこに名を書かれた者のみが救われる、裁きの書だ。

『出エジプト記』において言及されたものと同じだろう。

『出エジプト記』第32章32-33節

今もしあなたが彼らの罪をお赦しになるなら――。

そうでなければ、どうぞあなたが書き記された書から、わたしの名を消してください」。

主はモーセに仰せになった、

「わたしに対して罪を犯した者だけどわたしの書から消す。

他には『詩編』において「生ける者の書」と書かれている。
『詩編』第69章29節

彼らを生ける者の書から消し去り、正しい者とともに記録しないでください。

そして、そこに名の記されていない者はどうなるのかしら。

復活出来ずにそのまま、とか。

そんな生易しいもんじゃない。

竜と同じく火の池に投げ込まれてしまう。

これを「第二の死」と呼ぶ。

死んでからさらに死んでしまうなんてびっくりだね。

最後の審判では「タナトス(死)」と「ハデス(陰府)」も火の池に投げ込まれる。

これによって、生き返った人々はもはや死に怯えることもない。

死という概念が完全に克服されたんだ。

わたしは新しい天と新しい地を見た。

先の天と先の地は消え去り、もはや海もない。

聖なる都、新しいエルサレムが花嫁のように支度を整え、天から降って来るのを見た。

古い女は捨てて、新しい女を手に入れたと。

それはもう、とても喜ばしいことでしょうよ。

エルサレム、めっちゃ綺麗に輝いとるな。

あちこちに宝石が散りばめられとる。

かくして世界は「呪われるべきものは何一つない」

世界は美しいものだけで覆われる。

夜はなく、太陽もなく、神の光によって生きる。

そのような世界となったのさ。

わたくしども悪魔の隠れる陰さえございませんのね。

草どもはそんなところで、はたして生きやすいのかしら。

「水清ければ魚棲まず」

孔子であれば聖書をどのように読んだかしらね。

実際に皆が生きてる世界は辛く苦しいことばかりや。

そういったもんを洗い流す未来への希望。

それが神様の光なんやと思う。

その希望を実現するため、辛くとも今を一所懸命に生きるんや。
これらのことを証しする方が、こう仰せになる、

「そうだ、わたしはすぐに来る」。

アーメン。主イエスよ、来てください。

主イエスの恵みがあなた方一同とともにありますように。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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