15.ある金持ちと貧乏人のラザロ
文字数 1,243文字
この金持ちの門前に、ラザロという、体中にできもののある貧乏人が座っていた。
ラザロは金持ちの食卓から零れ落ちるものを求めていたのだ。
やがて、この貧しい男は死に、アブラハムのふところへと連れていかれた。
また、金持ちも死んで葬られた。
金持ちは叫んで言った、
「父アブラハムよ、わたしを憐れんでください。
ラザロを遣わして、その指先を水に浸し、わたしの舌を冷やさせてください。
わたしはこの炎の中で悶え苦しんでいます」。
自分と同じ苦しみを味わうことのないよう、きびしく言い聞かせてくれと。
しかしアブラハムは「モーセと預言者たちがいる」から問題無いと言った。
「もし、モーセや預言者たちに耳を傾けないなら、たとえ、
誰かが死者の中から生き返っても、彼らはその言うことを聞かないであろう」。
その理屈は、人は審判の日を待って天国と地獄とに分けられるからだ。
その日がまだ訪れていないのに、炎で焼かれるのはおかしい。
だからルター曰く、この陰府は良心の呵責を表すものだと言う。