20.アレクサンドロス1世バラスの死

エピソード文字数 1,506文字

話を少し戻す。

デメトリオス1世ソテルはアレクサンドロス1世バラスに敗北した。

そしてバラスはエジプト王プトレマイオスの娘クレオパトラ・テアと結婚した。

イスラエルのリーダー、ヨナタン・アフスはバラスと良好な関係を築いた。

デメトリオス1世ソテルには、デメトリオス2世ニカトルという息子がいた。

ヨナタンはこのニカトルと敵対した。

ニカトルの部下アポロニオスと戦い、これを撃破したんだ。

登場人物多いし、名前もややこしいし、大変やでほんま。
歴史を追っているとよくあることさ。

これはもう繰り返し人物と名前をインプットしていくしかない。

現状を整理いたしましょう。

イスラエルのヨナタンはシリア王バラスと関係良好。

そのバラスは政略結婚によってエジプトとも縁を結んだ。

ニカトルはシリア王の地位を欲するも、容易には達成できない。

相手はシリア、イスラエル、エジプトであり、戦力差がとても大きいのだから。

このままならニカトルに勝ち目は無い。

しかし彼にとって幸運なことに、ある人物が味方についてくれた。

その人物はエジプト王プトレマイオス6世。

彼はセレウコス朝シリアを自分の支配下に加えようと画策したと聖書は語る。

プトレマイオス6世は大軍と船舶を集め、友好的な手紙を送ってからシリアに向けて出発した。

彼はアレクサンドロス1世バラスの義父であり、町々の人々は歓迎した。

しかしプトレマイオス6世はそれぞれの町に兵を駐留させた。

要所要所に自分とこの兵隊置くとか。

怪しい動きしよるで。

ヨナタンはヤッファでプトレマイオス6世を盛大に出迎えた。

互いに挨拶を交わし、そこで一夜を明かした。

プトレマイオス6世にとってヨナタンはすでに敵でしょう。

にこにこ挨拶などして、しらじらしい。

プトレマイオス6世には作戦があった。

今ここで事を起こしても彼にはメリットが無いんだよ。

プトレマイオス6世は海岸のセレウキアに至った。

そしてデメトリオス2世ニカトルに使者を遣わして言った。

「アレクサンドロスの妻となったわたしの娘をあなたに与えよう」

「そしてあなたが父の王国を治めるようにしてあげよう」

「あの男はわやしを殺そうとしたので、娘をやったことを後悔している」

まあ、言いがかりやろな。
あるいは、ニカトルを安心させるための方便かな。

裏切る理由が分からないと怪しいからね。

プトレマイオス6世はクレオパトラ・テアを取り戻し、ニカトルに与えた。

そして首都アンティオキアに入り、アジア王の冠を戴いた。

これによりプトレマイオス6世はエジプトとシリア両国の王となった。

この地域が統一されたのは、実にイスカンダル以来の偉業だったと言える。

デメトリオスを王様にしたる言うてたんは?
もちろん嘘さ。
アレクサンドロス1世バラスはキリキアの地で反乱を鎮圧するために駐留していた。

プトレマイオス6世の行いを聞くと、彼と戦うために進軍した。

しかしプトレマイオス6世に返り討ちにされ、アラビアへと逃れた。

その地でアラビア人ザブディエルによって首を切られ、バラスは死んでしまった。

ザブディエルとは何ものかしら?
ブリタニカ百科事典によるとバラスはナバテア王国の王子に殺されたとある。

ナバテアはペトラという町を中心に栄えたアラビア人の国らしい。

ペトラ。

ギリシア語で「崖」を意味しますわね。

ペトラは死海とアカバ湾の間の渓谷にある。

そのへんの景観が名前の由来かもしれないね。

ザブディエルはバラスの首をプトレマイオス6世に送った。

しかしプトレマイオス6世もその三日後に死んでしまった。

なんでや?
なんでだろうねえ。
そしてその結果、デメトリオス2世ニカトルがシリアの王となった。

エジプト・シリア統一国家は儚い夢に終わったのさ。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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