4.殉教

エピソード文字数 1,134文字

「殉教」とは、信仰のために命を失うこと。

例えば日本では豊臣秀吉の命令によって長崎で26人の殉教者が生まれている。

日本人20名、スペイン人4名、メキシコ人1名、ポルトガル人1名。

「日本二十六聖人」と呼ばれているね。

日本でキリスト教を広めようと頑張ってたんやな。

何も殺すこともなかったやろに。

ただ個々人がイエスを信じているだけなら良かった。

しかしキリスト教徒たちは日本において偶像崇拝の撲滅を図った。

つまり、神社仏閣の破壊や坊主の迫害を行ったのさ。

唯一絶対の神を拝むんやから、そら寺も社もいらんわな。
「キリストの教えはただ天地創造の一真神を崇拝するにより、殿下は日本人のキリスト教に入るを許し、偶像を拝するを禁じ、而して真神に害する所あるを以てその社寺を毀つを許されしなり」

(『日本西教史上巻』ジアン・クラツセ著を参照)

布教を認められたことを、すなわち既存宗教の廃絶許可とみなしている。

これには秀吉も驚いたろうね。

と言うか、現代の日本人でもびっくりするんじゃないかな。

後からのこのこやって来て、優しさに付け込んで好き勝手。

しかも彼らはそれを「善」と信じて疑わない。

げに、あさましき草どもよ。

そういうわけもあってのバテレン追放令だ。

定説は無いけれど、その他にも様々な理由が語られている。

このへんの背景をまるっと抜かして弾圧を詰るのはアンフェアもいいとこさ。

キリスト教が成立するよりも前。

『マカバイ記』においても宗教弾圧が行われた。

いくつかの殉教例が語られるんだけど、その一人目の名を律法学者エレアザルと言う。

エレアザルは無理やりに豚肉を食べさせられようとした。

しかし彼はそれを拒み、進んで拷問台のもとに行って、その肉を吐き出した。

拷問の係の者たちはエレアザルの知人であり、彼を助けようとした。

問題の無い肉を用意し、律法に反する肉を食べるふりをさせようとした。

しかしエレアザルはその助けを拒んだ。

若い者たちに、異教の風習に従う姿を見せるべきでないと考えたためである。

彼は鞭打ちによって死んだ。

代わりに勇気の模範と徳の形見を残した。

うまくすれば神の教えを守りながら、助かる道があったかもしれない。

しかしそんなことで助かっても、尊厳が守られなければ無意味。

なんて風に思ったのだろうね。

愚かなこと、……と申したいところですけど。

信念を貫き通す様は嫌いではありませんわ。

信仰とは己一人のものではない。

それゆえの抵抗。

まさに愛のなせる業(わざ)と申しましょう。

その後も多くの人が信仰のゆえに殺された。

アンティオコス4世・エピファネスは時に金銭による誘惑までした。

それでも子供から老人に至るまで、ユダヤ人たちは抵抗し続けた。

ユダヤ人たちの苦難は続く。

彼らはさらに多くの命を失うことになる。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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