8.サウルとサムエルの決裂

エピソード文字数 842文字

サムエルはサウルにアマレク人を攻め滅ぼすように告げた。

アマレク人のみならず、その家畜をも奉納物として滅ぼせ。

それは神様の言葉である。

サムエルの言葉に従い、サウルは兵を招集する。

そしてアマレク人の町に攻め込んだ。

滅ぼせか。

毎度のことやな。

しかしサウルはその命令を破ってしまう。
なんでや。
もったいなかったから、と言う風に書かれている。

そりゃあ、せっかくの家畜を燃やして捧げるのは惜しいよね。

また、アマレク人の王アガグも生け捕りにしたまま、処刑を怠った。
あらあら。

言うことを聞かない坊やはお仕置きですわね。

サムエルの怒る姿が楽しみですこと。
主がサウルを王にしたことを悔やんでいる。

それゆえにサムエルは気持ちを高ぶらせ、夜通し主に向かい叫び求めた。

現実主義路線のサウルと、あくまで神に従うサムエルの違いが如実に出てしまった。

多かれ少なかれ似たような関係を身近に感じる人も多いだろうね。

顧客にいい顔をする営業と、技術的、労力的負荷を一気に引き受けるエンジニアとかさ。
顧客が神で、営業が預言者サムエル。

そんで、エンジニアが現場のサウルか。

分からんでもないな。
そしてイスラエル王国株式会社において顧客の声は絶対だ。

しわ寄せだけじゃなく、責任も全部現場に下りてくる。

サムエルはサウルにその罪を強く指摘した。

そしてその場を去り、主がサウルから王位を取り上げたと言った。

サウルは悔いて、主に祈りを捧げた。

サウルがアマレクの王アガグを差し出し、サムエルが切り殺した。

サウルは決して心から逆らおうとはしない。

現場の判断で神の言葉を守らないこともあるけれど、神を侮っているわけではない。

だからこうやって指摘を受ければ反省し、祈りも捧げる。

あくまで神の忠実な僕(しもべ)なんだ。

せやけど、たびたび言うこと聞かんからな。

サムエルからしたら使いにくい奴やったんやろな。

このようにしてイスラエル王国は栄光と挫折により始まる。

そして、その後を継ぐ者こそがダビデ。

彼は現代イスラエルの首都、エルサレムに都を築くことになる。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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