10.サマリア陥落・イスラエル王国の滅亡

エピソード文字数 1,527文字

エリシャの死からサマリアの陥落までは駆け足だ。

ヨアシュの子、ヤロブアム2世はそれなりに活躍した。

ダマスカスを取り戻しさえしたと書かれている。

しかし彼は偶像崇拝をやめなかったため、神の裁きを受けたとされる。

彼の子ゼカルヤが王位を継いだけれど、在位6ヶ月程度で死んでしまった。

シャルムの謀反にあって殺されたのさ。

対外的には強かったのに、内政でしくじったんやろか。
こういうごたごたは、外国からすれば嬉しいニュースやろな。
そしてシャルムも謀反にあって死ぬ。

彼の在位は1ヶ月だ。

明智光秀の13日間の倍程度ですわね。

ならば「六日天下」といたしましょう。

明智光秀基準やめたりや。

2020年にはNHKで大河ドラマになるんやで。

「七日」とせず「六日」としたのは、「完璧」に及ばずという意味ですわよ。
また妙なところにこだわりを……。
シャルムを殺したのがメナヘム。

彼はとても残酷なキャラクターとして描かれている。

ティフサという町を攻めた時、「すべての妊婦を切り裂いた」とある。

戦争で人を殺すんはええ。

それは誉れや。

せやけど子殺しはあかん。

大将のせがれならまだしも、市井のもんに手ぇ出すのは許されへん。

メナヘムはアッシリア王ティグラト・ピレセル3世の支援により支配を強化した。

イスラエルの資産家から金を取り立て、アッシリアに貢いだんだ。

それでは、国内の資金が他国に流れてしまうではないのかしら。

国が弱体化しますわよ。

ティグラト・ピレセル3世はアッシリアの最盛期、その端緒を開いた王だ。

強大な王国の出現に、イスラエル王国は身の振り方を迫られただろうね。

滅びを避けるには朝貢は避けられない。

苦渋の選択だったんじゃないかな。

メナヘムの子ペカフヤがイスラエルの王となった。

彼は2年間王位にあったが、謀反にあって死んだ。

ペカが代わって王となった。

謀反多すぎちゃう?

アッシリア王国の脅威があんのに、そんな場合ちゃうで。

ミカちゃんの心配どおり、ペカ王の時代にティグラト・ピレセル3世が攻めてきた。

数多くの町が奪われ、住民たちはアッシリアに移送された。

負けて連れ去られる。

まあ、奴隷でしょう。

ペカも謀反にあって死ぬ。

彼を殺したのはホシェア。

イスラエル王国最後の王だね。

ティグラト・ピレセル3世の子シャルマナサル5世が王位についた。

そしてホシェアが自分に逆らい、エジプトと通じていることに気付く。

エジプトなんか遠いやろ。

そんな遠い国よか、近くのユダと仲良うしたらええのに。

ユダ王国とは仲良くするどころか、今まで以上に険悪な関係だった。

特にユダ王アハズはアッシリアと通じて、イスラエルへの攻撃を援助さえしていた。

アハズは「自分の息子に火の中を通らせる」ような王だったと言う。

おそらく、子供を生贄に求めるケモシュ(モレク)に仕えていたのだろうね。

北も南もこれでは、神の威光などどこ吹く風。

これが『聖書』の物語であることを忘れてしまいそうになりますわね。

シャルマナサル5世はサマリアを包囲。

イスラエル人たちを捕囚としてアッシリアやメディアの町に連れて行った。

サマリアは陥落し、ここにイスラエル王国は滅亡する。

こうなったのも全ては神の意思に背いたせいだ。

聖書にはそのように書かれている。

弱かったから滅びた。

外交力も、軍事力も、都市を発展させる力も全てが劣っていた。

それだけのことですわ。

位置的にも苦しいとこやな。

周辺諸国は敵だらけ。

小国が生き延びるにはもうちょっとお仲間を増やしとくべきやった。

それだって、力さえあれば解決するよ?

小国であっても、周囲が敵だらけでも、力がものを言うのさ。

ともあれ、彼らは滅びた。

これはもう覆しようがない。

次があれば、次こそはちゃんとやろう。

そんな風に思ったかもしれないね。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色