13.放蕩息子と長者窮子
文字数 1,571文字
内容はとてもシンプルで、銀貨10枚の内1枚を無くした女がいる。
家じゅうを掃いて探し、見つかったなら、皆でそれを喜ぶというものだ。
銀貨10枚はおそらく持参金とかで、急ぎ必要なものだったんだろう。
「お父さん、わたしがもらうはずの財産の分け前をください」。
そこで、父は資産を二人に分けてやった。
子と呼ばれる資格は無いから、雇い人の一人としてほしいと言う。
すると父親は彼を抱きしめ、口づけし、帰って来たことを大いに喜んだ。
祝福の宴を開き、綺麗な服を着させた。
「子よ、お前はいつもわたしとともにいる。わたしのものはすべてお前のものだ。
しかし、お前の弟は死んでいたのに生き返り、いなくなって見つかったのだから、
祝宴を開いて、喜び合うのはあたりまえではないか」。
日本人に分かるように言うと、大乗仏教の法華経のことだよ。
Saddharma Puṇḍarīka Sūtra「正しい教えである白い蓮の花の経典」
これに帰依するよう説いた宗派が日蓮宗だ。
実は彼の父親は非常に裕福で、息子を迎えるために召使をやった。
しかし息子は驚き恐れ、何かしらの報復ではないかとさえ思ってしまう。
そこで父親は親族関係を明かさず、徐々に息子を高い地位へと引き立てていく。