7.サウルの息子ヨナタン

文字数 999文字

初代レイトン男爵フレデリック・レイトンによるヨナタンとダビデの絵だね。

左がヨナタンで弓を持っている。

彼は弓の名手なんだ。

そして右の少年がダビデ。

後にイスラエル国王となる。

少年らしい、筋肉質だけどどこか艶かしい足が魅力的に描かれているね。

なんか知らんけど、どことなくエロティックな感じするなあ。
それもそのはずさ。

なんせ二人は愛し合っているのだから。

男同士やのに?

それって聖書的にあかんのちゃう?

伝統的にはプラトニック・ラブだと言われている。

聖書で描かれるのは二人がキスをするところまで。

肉体的な関係は無かったろうということさ。

ただ近年は肉体的な愛も含まれていると考える向きがある。

リバプール司教ジェイムス・ジョーンズは「ダビデとヨナタンの間には、感覚的、精神的そして肉体的な友情が見られる」と2007年のエッセイに書いた。
同性愛は死刑ではなくて?
悪魔のわたくしには、どうでも良い議論ですけれど。
聖書をもって同性愛を叩く人も、日曜日に仕事をする人を非難しないさ。

人は自分に都合の良いものばかり見る癖があるね。

で?

肝心の戦はどうなったのかしら。

ヨナタンは父サウルに告げず、兵を連れてペリシテ人の前哨部隊に攻めかかった。

ペリシテ人の部隊は混乱し、恐慌に陥った。

サウルはそれを知り、戦闘に加勢し、イスラエルが勝利した。

追い詰められたり、サムエルに怒られたり。

散々やったけど、息子の活躍に助けられたな。

戦いはまだ続く。

ペリシテ人に追い討ちをかけるんだ。

その前にサウルは断食命令を発する。

神に誓うことで、何かしら力を得ようとしたんだろうね。

しかしその命令はヨナタンに届いていなかった。

彼は蜂蜜を食べてしまう。

サウルは追撃について神様に伺いを立てたが返事が無かった。

返事が無い理由を占うと、それはヨナタンが罪を犯したからであると分かった。

ヨナタンは死を覚悟した。

蜂蜜を食べた罪で死刑!

草どもの考えることはいつも愉快ですわ。

蜂蜜食べたからやのうて、断食を破ったからやけどな。

それにしても死ぬほどかって思うわ。

これが死ぬほどの罪なのか。

イスラエル人たちもそう感じたらしい。

特にヨナタンと苦楽を共にした兵士たちならなおさら。

兵たちはサウルにヨナタンの助命を願った。

イスラエル勝利の立役者を殺すことは、決して神の意に沿うものではない。

彼らの熱意に折れて、サウルはペリシテ人追撃を諦める。

深追いは禁物。

正しい判断やと思うで。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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