24.アグリッパ2世
文字数 1,342文字
正式な名を、マルクス・ユリウス・アグリッパと言う。
彼こそはヘロデ朝最後の統治者。
ユダヤ戦争では後にローマ帝国皇帝となるティトゥスに味方している。
彼の妹ドゥルシラは先のユダヤ総督フェリクスの第二婦人だ。
そして聖書にもその名を記されたベルニケはティトゥスの愛人だったとされる。
ローマ市民がユダヤ人妃に反対したため結婚には至らなかったけどね。
ジャン・ラシーヌやピエール・コルネイユといった劇作家が題材としました。
20世紀にはロベール・ブラジヤックが『女王ベルニケ』を書いていますわね。
カイサリアでのパウロは総督フェストゥスに身の潔白を訴えた。
そして自分は「皇帝の法廷に立っている」と主張したんだ。
フェストゥスは「皇帝に上訴したのだから、皇帝のもとに行け」と応じた。
フェストゥスはパウロのことをアグリッパ王に伝えた。
イエスが生きていると主張するパウロを、ローマに送るまで留めているのだと。
アグリッパ王はパウロの話を聞いてみたいと言った。
しかしこれは、まるでイエスがヘロデ・アンティパスに語った時のよう。
あちこちで奇跡を起こし、ユダヤ人と対立しながら、潔白を主張する。
イエス・キリストの行程を辿る旅といった趣がありますわね。
「使徒パウロの裁判」だ。
左側中央に座っているのがアグリッパ2世だね。
彼の右手にいるのがフェストゥスで、左手の女性がベルニケだ。
「パウロよ、お前は気がふれている。博学がお前を狂わせたのだ」。
それに対してパウロは「真理と良識の言葉」を語っているのだと言った。
「あの男は死や投獄に値することは何もしていない」と言った。
アグリッパ王はフェストゥスに、
「あの男が皇帝に上訴していなければ、釈放されることができたであろうに」と言った。