1.エルサレムの城壁再建

エピソード文字数 1,119文字

ネヘミヤは王の献酌官を務めていた。

献酌官とは、王の杯にぶどう酒を注ぎ、吟味し、王に捧げる役目を言う。

ニサンの月(ユダヤ暦の1月)にアルタクセルクセス王がネヘミヤに尋ねた。

「暗い表情をしているが、どうかしたのか」

ネヘミヤは先祖の墓があるユダの町が荒廃したままであることを憂いていた。

王は旅の期間を聞き、ネヘミヤの派遣を良しとした。

通行許可のための書状を渡し、城壁再建のための木材提供を約束した。

献酌官ってお酒注いであげればええんか?

楽そうでええなあ。

ホストやホステスのようなものかしら。
そんなわけないでしょ。

献酌官の大事な仕事は王の毒見役だ。

けれど毒見役が裏切り者だったら意味無いだろう?

つまり、ネヘミヤは王に信頼されるに足るくらい有能だったってことさ。

そしてその能力の高さは『ネヘミヤ記』で示されることになる。

そう言えばシェイクスピアの『冬物語』にカミローという人物がいましたわ。

彼は確か貴族で、シチリア王リオンディーズの献酌官。

リオンディーズが妻との密通を誤解した親友ポリクシニーズの暗殺を命じた男。

それほど重要な命令を下せるほどに近い仲であった、ということかしら。

ネヘミヤがどれほど王の信頼を得ていたか。

異国での働きがエルサレム再建の一助になったのかもしれないね。

ネヘミヤはエルサレムに着き、その周辺を見て回った。

谷の門を通り、竜の泉と糞の門の方へ行き、城壁を調べた。

城壁は崩れ、城門は火で焼かれていた。

ネヘミヤはエルサレムで城壁や城門の無残な有様を見た。

そして城壁や城門の再建を同胞に呼びかけた。

そしてエルサレムの城壁再建が始まる。

スタートは大祭司エルヤシブによる「羊の門」の再建だ。

上記図の赤い吹き出し部分から反時計回りに進められた。

羊の門……。

そう言えば、どこぞの救世主が自分は門だとか妙なことを喋っていたような。

そのへんの解釈はよく分からないからここではやめとこう。

ただ間違いなく、それを聞いた人々は実在する「羊の門」をイメージしただろうね。

単なる羊の囲いしか浮かばないと思う方が変だ。

うちは半蔵門やで。

みたいなもんか。

ニンジャかな?
城壁再建は進められたけれど、妨害者も現れた。

アンモン人のトビヤ、サマリヤ太守サンバラトらが攻めかかってきた。

建築作業はこの妨害者たちと戦いながら続けられたんだ。

神殿にせよ城壁にせよ、再建は歓迎されない行いだったようですわね。

それを押し切って進めたのは神の指図ゆえか、はたまた……。

城壁は52日かかってエルルの月(8月から9月頃)の25日に完成した。

ユダの有力者はトビヤをほめそやし、トビヤは度々ネヘミヤを脅した。

ネヘミヤは兄弟のハナニ、城の指揮官ハナンヤの2名にエルサレムを治めるよう命じた。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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