1.イエスの嘲笑
文字数 1,350文字
弟子たちは言った。
「先生、あなたこそは、[……]わたしたちの神の子です」。
イエスは弟子たちに言った。
「あなたたちにどうして私がわかるのですか。まことに、私はあなたたちに言います。
あなたたちのなかには私をわかる者はひとりとしていないでしょう」。
(『『ユダ福音書』の謎を解く』
エレーヌ・ペイゲルス、カレン・L・キング(著) 山形孝夫・新免貢(訳) 参照)
それに対し弟子たちは何故笑うのかと問う。
イエスは、その祈りは自発的ではなく、『神』に強いられたものだと言う。
そしてそれによって「あなたたちの」『神』が褒め称えられるのだと。
しかし弟子たちは、いや弟子たちの霊はイエスの前に立つ勇気さえも失っていた。
ただ一人、イスカリオテのユダだけがイエスの前に立つことが出来た。
イエスを正視することは難しかったけれど、弟子の中で抜きんでていたのさ。
ユダがイエスに言った。
「私は、あなたがどなたであるか、そして、あなたがどこから来られたかを知っています
――あなたは、不死の王国バルベーローから来られました――。
しかし、私には、あなたを遣わされた方の名前を口にするだけの値うちさえありません」。
(『『ユダ福音書』の謎を解く』
エレーヌ・ペイゲルス、カレン・L・キング(著) 山形孝夫・新免貢(訳) 参照)