5.サマリア攻囲戦

エピソード文字数 1,039文字

アラムの王、ベン・ハダドは全軍をもってサマリアを攻囲した。

サマリア内は物資不足にあえぎ、自らの子を食べる者まで出た。

自分の子供を?
サマリアの悲惨な状況が目に浮かぶようだね。

とある女が別の女に持ちかけたのさ。

自分たちの息子を食べようとね。

初日は声をかけられた方の女の息子を煮て食べた。

しかし次の日、声をかけた女は息子を隠してしまった。

最初から騙すつもりで近づいたのか。

それともいざとなって怖気づいたのか。

それにしても王ヨラムを何をしているのかしら。

さっさと敵の攻囲を断ち切るべきでしょうに。

こちらはギュスターヴ・ドレによる「サマリアの飢饉」

ギュスターヴ・ドレは19世紀のフランスで活躍した画家だったね。

なんやろ。

なんか、違和感あるなあ……。

ああ、分かったわ。

飢饉や言うてるのに、倒れとる人らがえらいむきむきなんやな。

あと一週間は余裕で生き延びれそうな肉体ですわね。
まあ、これは本の挿絵だから。

あまりリアルにやせこけた人を描いたらクレームが来るんだよ。

たぶん。

女たちの悲惨な状況を聞き、王ヨラムはエリシャを殺そうとする。

こんな状況に陥ったのは、エリシャが奉じる神のせいではないかと言ってね。

情けない!

己の不甲斐なさを神の責にするなんて。

気持ちは分からんでもない。

うちもしょっちゅう、「神様、なんでやねん」思うとるからな。

な……、なんでやねん……。
エリシャは王ヨラムに、飢饉は明日にも終わると預言を与えた。

主は大軍の音を鳴らしアラムの陣営に響かせた。

アラム人たちは援軍が来たと思い、夕暮れに逃げていった。

アラム人たちの陣営は物資がそのままであった。

イスラエルの民たちはその陣営を略奪し、食糧を手に入れた。

エリシャが告げた言葉の通りになった。

イスラエル王国は危機を脱した。

しかもアラム王ベン・ハダドは病に倒れる。

これでしばらくはサマリアも平和になるな。
ベン・ハダドが病の時、エリシャはダマスカスにいた。

なんでそんなとこに来たんだよって突っ込み入れたいところだね。

ベン・ハダドはエリシャに病が治るかどうか……。

アラムの高官ハザエルに聞いてくるように命じた。

エリシャはハザエルに王の病は治ると言った。

しかし同時に王は死ぬとも告げた。

病やのうて死ぬ……。

暗殺か。

ご明察。

エリシャはハザエルこそが次のアラム王になると言った。

このハザエルがアラム王ベン・ハダドを殺すのさ。

ハザエルは王ベン・ハダドに病は治ると伝えた。

その次の日、水に濡れた布で王の顔を覆って殺した。

ハザエルが彼に代わり王となった。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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