2.モーセ逃亡

エピソード文字数 882文字

成人したモーセはある日、同胞のヘブライ人たちの強制労働を目の当たりにした。

モーセは同胞を鞭打つエジプト人を殺し、砂の中に埋めた。

次の日、ヘブライ人同士の諍いを止めようとすると、一人のヘブライ人が言った。

「お前はエジプト人を殺したように、私も殺そうというのか」

モーセはファラオの娘に育てられて、エジプト人の仲間として育った。

おそらく、ヘブライ人が強制労働をさせられていることを知らずに。

でも成人して、現実を見てしまった。

そんで、自分の同胞が痛めつけられてるのに怒って、

監督役のエジプト人を殺してしもうたんやな。

気持ちは分からんでもないけど、これは悪手やな。

監督役はただの監督役で、別に悪いことしとったわけやないし。

そうだね。

実際、モーセからすれば助けたつもりのヘブライ人にそのことを指摘されている。

ファラオはこのことを聞き、モーセを捜し求めて殺そうとした。

モーセはファラオのもとから逃れて、ミディアンの地にたどりついた。

ファラオからしたら殺人犯は処刑せなあかんからな。
ちなみに古代エジプトでは猫を殺せば死刑だからね。
九つも魂を持ってる猫を殺すのは難儀なことやで。

サタニャエルくんを殺すには好奇心でもくすぐればええんか?

ミディアンの祭司レウエルには7人の娘がいた。

娘たちは羊に水を飲ませようとしたが、羊飼いたちと揉めて追い払われてしまった。

モーセは彼女らを助け、羊の群れに水を飲ませた。

なんとなく暗示に満ちた場面って感じやな。
神話の解釈は神話を読む醍醐味でもあるね。

この場面はこれこれこういう意図があるんじゃないかって。

仮説を立てて、状況証拠を2~3個も提示できれば立派な説だよ。

よく分からないものを何でも「祭祀」でひっくるめるようなのも多いけどね。

あとは無理やりな解釈とか。

この場面も羊は喩えで、小国家同士の対立があったとか言えそうだよね。

言うてるだけならええけどな。

それこそが「真実」とか言い始めたらちょっと困るか。

レウエルはモーセに感謝し、娘のツィポラを彼に与えた。

ツィポラに男の子が産まれ、ゲルショムと名づけた。

女の子を助けて、その女の子と結婚する。

王道やで。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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