第1話 闇歴史
文字数 2,044文字
答えはどこ?
ポンポンと連合の役人相手に話すすめる女騎士をアイリ・ライハラは睨 みつけた。
イルベ連合に義理立てする理由がわからん。
魔物の軍団だぁ!?
「いくらイルベ連合が防波堤になり魔族の軍団を長年ノーブル国へ食い止めてきたとはいえ、たった2人でそんな軍団に立ち向かえるかぁ!」
少女は声を振り絞って女騎士と役人に言い張った。
「いえ、お2人ではございません。イルベ連合の兵団を派兵させます」
そう次長が説き伏せようとする。
「最後に魔族らが攻めてきたのはいつです?」
ヘルカ・ホスティラが役人に尋 ねた。
「わたくしが子どものころです」
40年以上も前だとアイリは一縷 の望みを見た。そんなに長い間、魔族らは攻めて来なかったらもう襲っては来ないかもしれない。
「魔族はもうあきらめたんじゃねぇかぁ!?」
アイリが指摘すると次長が恐ろしい話をし始めた。
「魔族ら率いる六災厄が一人──火刑人のヴェラは数百年に渡り都度つど連合に襲いかかってきたと伝承にあります。ヴェラは噂では千年近く魔族らを率いていると云われ執念 のように連合を狙っています」
千年だぁ!?
冗談だろうとアイリは思った。そんな古株の強者 を相手にできるわけがない。連合がそれほど古くから魔族らの襲撃を受けていたのかと少女は肝を冷やし言い張った。
「無理むり! 手に負えん!」
アイリがごねるとヘルカ・ホスティラが役人に説明した。
「本人はこう申していますが、やる気満々です」
少女は顎 を落とし眼を丸くして女騎士へ顔を振り上げ怒鳴った。
「やい! ヘルカ! てめぇ、勝手に決めるなよぉ!」
突然、ヘルカ・ホスティラはしゃがみこんでアイリの頭へ腕を回すと締め上げた。
「で、いつ兵を出して頂けます?」
もがき暴れる少女を腕力で押さえつけ女騎士は次長に尋 ねた。
「大将にすぐにでも──」
役人が大部屋の出入り口へ振り向いた隙 にヘルカはアイリに顔を寄せ囁 いて腕をほどいた。
「とんずらするに決まっているだろ」
へ!? 少女が愕 き顔になってすくっと立ち上がってヘルカに問うた。
「本気かぁ?」
女騎士が頷 き立ち上がると役人らが部屋を出た。その後をアイリとヘルカそれにリーナが続いた。
飄々 と砂混じりの風が青髪をかき乱す。
腕を組んで遠方を見つめるアイリ・ライハラは唇をへの字に曲げ砂漠を見つめた。
な────にがとんずらだぁ。
「ほんとに魔族ら来んのかぁよぅ!?」
そう青髪の少女はイルベ連合のカンナス大隊長に尋 ねると大将は肩をすくめた。
「さあ、45年も攻めて来なかったですから」
アイリは顔を横に向けて鼻筋に皺 を刻んだ。
「お前らのお役人が魔物らがすぐに襲って来るような話してたんだぞ」
カンナス大隊長が困惑げな面もちになった。
「魔族らと最後に戦ったのは爺さんらの世代なもんで、役人達は何もわかっちゃいない」
担ぎ出されたことも腹立たしいが、ポンポン話進めていたヘルカ・ホスティラが別部隊の先陣にいることもアイリは気に食わなかったので腹立ちまぎれに少女は狼娘に話を振った。
「おい、リーナ。お前らの大将が死んだのを魔族らどうやって知るんだよ」
リーナが右手を顔の前に上げて人さし指を立てた。
「雰囲気でちゅ」
それを聞いてアイリは眼を点にした。
そんないい加減なぁものなのかぁ? と困惑げなアイリは連合兵団の最高指揮官に問うた。
「なぁカンナス大隊長、魔族らが攻めて来るまでここで待つの?」
「ええ、アイリ殿。新しく任命された連合総括官代理は連合最大の危機だと深く憂いています。万全を持って対処するよう命じられております」
あ──あ、帰れないじゃん、と思って少女はため息をついた。
「火刑人のヴェラって数百年も襲ってきてるんだろ。何で連合は攻め落とされなかったんだ?」
率直な疑念だったそれをアイリはカンナス大隊長に尋 ねた。
「その昔、この地に大魔法使いシルヴァと云われたものがおったと伝えられております。その大魔法使いが砂漠に複雑で広大な結界防壁を構築し、最初の魔族らを食い止めたとされております」
結界防壁? それが今も残ってるなら火刑人のヴェラの軍団も来れないじゃん!
合う甲冑 がなかったのは仕方ないとして騎士に劣る兵団を率いなければならぬ不満たるや。
アイリ率いる兵団と二方面に別れて魔族らに対処しなければならぬとは思いもしなかったと女騎士ヘルカ・ホスティラは唇をへの字に曲げた。
2人で逃げだすにも連絡がとれず連合の前線にいたる。
「なあ、必ず来るのか? このまま魔族らが来なかったらどうする?」
ヘルカがそう傍らに立つセタラ連隊長に尋 ねた。
「ホスティラ殿、魔族らが攻めて来なかったのは45年足らず。奴らはいつでも好機を待っていたと思われます」
それは魔族らが攻めてくるという証明ではない。
ヘルカがそうセタラ連隊長に指摘しようとして口を開いた矢先、城3つ先の砂丘の頂に2人の人影が現れた。
2人の額に双角 があるのを気づいたヘルカ・ホスティラは長剣 を鞘 から引き抜いた。
ポンポンと連合の役人相手に話すすめる女騎士をアイリ・ライハラは
イルベ連合に義理立てする理由がわからん。
魔物の軍団だぁ!?
「いくらイルベ連合が防波堤になり魔族の軍団を長年ノーブル国へ食い止めてきたとはいえ、たった2人でそんな軍団に立ち向かえるかぁ!」
少女は声を振り絞って女騎士と役人に言い張った。
「いえ、お2人ではございません。イルベ連合の兵団を派兵させます」
そう次長が説き伏せようとする。
「最後に魔族らが攻めてきたのはいつです?」
ヘルカ・ホスティラが役人に
「わたくしが子どものころです」
40年以上も前だとアイリは
「魔族はもうあきらめたんじゃねぇかぁ!?」
アイリが指摘すると次長が恐ろしい話をし始めた。
「魔族ら率いる六災厄が一人──火刑人のヴェラは数百年に渡り都度つど連合に襲いかかってきたと伝承にあります。ヴェラは噂では千年近く魔族らを率いていると云われ
千年だぁ!?
冗談だろうとアイリは思った。そんな古株の
「無理むり! 手に負えん!」
アイリがごねるとヘルカ・ホスティラが役人に説明した。
「本人はこう申していますが、やる気満々です」
少女は
「やい! ヘルカ! てめぇ、勝手に決めるなよぉ!」
突然、ヘルカ・ホスティラはしゃがみこんでアイリの頭へ腕を回すと締め上げた。
「で、いつ兵を出して頂けます?」
もがき暴れる少女を腕力で押さえつけ女騎士は次長に
「大将にすぐにでも──」
役人が大部屋の出入り口へ振り向いた
「とんずらするに決まっているだろ」
へ!? 少女が
「本気かぁ?」
女騎士が
腕を組んで遠方を見つめるアイリ・ライハラは唇をへの字に曲げ砂漠を見つめた。
な────にがとんずらだぁ。
「ほんとに魔族ら来んのかぁよぅ!?」
そう青髪の少女はイルベ連合のカンナス大隊長に
「さあ、45年も攻めて来なかったですから」
アイリは顔を横に向けて鼻筋に
「お前らのお役人が魔物らがすぐに襲って来るような話してたんだぞ」
カンナス大隊長が困惑げな面もちになった。
「魔族らと最後に戦ったのは爺さんらの世代なもんで、役人達は何もわかっちゃいない」
担ぎ出されたことも腹立たしいが、ポンポン話進めていたヘルカ・ホスティラが別部隊の先陣にいることもアイリは気に食わなかったので腹立ちまぎれに少女は狼娘に話を振った。
「おい、リーナ。お前らの大将が死んだのを魔族らどうやって知るんだよ」
リーナが右手を顔の前に上げて人さし指を立てた。
「雰囲気でちゅ」
それを聞いてアイリは眼を点にした。
そんないい加減なぁものなのかぁ? と困惑げなアイリは連合兵団の最高指揮官に問うた。
「なぁカンナス大隊長、魔族らが攻めて来るまでここで待つの?」
「ええ、アイリ殿。新しく任命された連合総括官代理は連合最大の危機だと深く憂いています。万全を持って対処するよう命じられております」
あ──あ、帰れないじゃん、と思って少女はため息をついた。
「火刑人のヴェラって数百年も襲ってきてるんだろ。何で連合は攻め落とされなかったんだ?」
率直な疑念だったそれをアイリはカンナス大隊長に
「その昔、この地に大魔法使いシルヴァと云われたものがおったと伝えられております。その大魔法使いが砂漠に複雑で広大な結界防壁を構築し、最初の魔族らを食い止めたとされております」
結界防壁? それが今も残ってるなら火刑人のヴェラの軍団も来れないじゃん!
合う
アイリ率いる兵団と二方面に別れて魔族らに対処しなければならぬとは思いもしなかったと女騎士ヘルカ・ホスティラは唇をへの字に曲げた。
2人で逃げだすにも連絡がとれず連合の前線にいたる。
「なあ、必ず来るのか? このまま魔族らが来なかったらどうする?」
ヘルカがそう傍らに立つセタラ連隊長に
「ホスティラ殿、魔族らが攻めて来なかったのは45年足らず。奴らはいつでも好機を待っていたと思われます」
それは魔族らが攻めてくるという証明ではない。
ヘルカがそうセタラ連隊長に指摘しようとして口を開いた矢先、城3つ先の砂丘の頂に2人の人影が現れた。
2人の額に