第12話 感涙(かんるい)
文字数 1,808文字
2日間飛ばし続け1夜休む。4日目の午前中にノーブル国の城門に着きディルシアクト城の中にアイリ・ライハラとノッチは入った。
辺りを見まわして不穏 な空気は感じられず、アイリは騎士の居館 へと向かい馬を下りた。
イラ・ヤルヴァは珍しく壁ぬけせずアイリらと一緒に出入り口から入った。
「騎士団長、お帰りなさいませ。視察なのですか? デアチ国の統治でお忙しいと────」
若い騎士2人が長いすから腰を上げ出迎えた。その落ち着いた雰囲気にアイリは切り出しにくく感じたので旧騎士団長に話を持ちかけようと思った。
「視察ではないよ。リクハルド・ラハナトス殿はどこにおられるだろうか」
「あぁ、ラハナトス殿はこの時間城内の農園におみえです」
「案内して」
城内に農園!? アイリは驚いた。ちょっと足を運ばなかったあいだに大きく様変わりしている。騎士の1人が案内役を買って出たのでアイリらはついて行きながらその若い騎士にアイリは尋 ねた。
「農園はいつ頃からやってるの」
「あ、春の終わり頃です。イルミ・ランタサル王女がデアチ国を統治されてノーブル国は大国の加護で物騒なことがほとんどなくなり、あちこちで農園が流行っているのです」
いやぁ、足を運ばずにすまなかったとアイリは素直に反省した。
「それじゃあ、魔女がらみの物騒なこともか?」
「魔女!? 裏の魔女の噂もしばらく聞いておりません。あぁ、騎士団長、この農園です」
眼にしたアイリは驚いた。城内の居館 をいくつかつぶして農地にしてあった。
「ありがとう。後は自分で探すよ」
そうアイリが告げると若い騎士は一礼し立ち去った。
「リクハルド! どこだリクハルド!」
大声で名を呼ぶと奥の枝豆らしき葉々の陰から元騎士団長が顔をひょいと上げた。
「おお、アイリ! こっちゃ来い! 遅取りの枝豆のわけてやるぞ」
いや、農作物をたかりに来たのではないとアイリは苦笑いした。
そばまで行くと衣装まで農夫になりきったリクハルド・ラハナトスが手の土をはらった。
「おうアイリ殿、聞いておるぞ裏の魔女ミルヤミ・キルシを捕まえたらしいではないか。その若い衆は誰だい?」
「やだなおっさん。殿はやめてほしい。こいつはノッチ。俺の旦那 。実はその裏の魔女がらみで表の魔女────」
いきなりリクハルドが手を振ってアイリの話しを遮 った。
「畝 を回り込んでこっち来い」
アイリとノッチが回り込んでくるとリクハルドが声をひそめて話し始めた。
「表の魔女の何を知っておる? 実は城下も含めて広い範囲に呪いをかけられておるのじゃ」
「おるのじゃ ? おっさん本物の爺さんになったか? 呪い? なんともねえぞ」
「魔女の通り名か本名を喋っただけで命落とす」
あん? 命落とす? あれの名前なんて何10回も言ったぞ。死んでないじゃんとアイリは鼻を鳴らした。
「そいつを倒したんで、もう呪い解けたんじゃないの?」
アイリに言われ元騎士団長は情けない顔になって説明した。
「1人死ぬごとにウルマス国王の首に回ったチョーカーが閉まってゆくんです」
「チョーカー!? なんでそんなもん着けたんだ?」
「その魔女に唆 されたんです。でないと王女が死ぬと」
ああ、くるんくるんがらみかぁ!
アイリは両目燃えたぎらせなんだか読めてきた。くるんくるんをそそのかし、その親に別の枷 をかけて双方をスパイラルの罠に落とす。
「バッかじゃないのか!? 親子して乗せられやがって」
「リクハルド、ウルマス国王に会いにゆくぞ!」
俺が困るならなんでもいいんだよ。
なんでそこまで俺を憎む!?
ついた泥を落としながらリクハルドは王室のある居館 へ向かいながらアイリに説明した。
「アイリ、チョーカーを切り落とそうとするな。握った手が腐りおちるぞ」
「手が落ちたやついるんだな。そいつバッかじゃねぇか。宝箱の形したミミックに頭突っ込むような馬鹿じゃん」
「そういうな。うちの騎士団にも数人────」
「あぁ? いっぺん締め直してやろうか?」
「アイリ、そちの旦那 さん腕は立つのか?」
「そこそこ──痛ぃいいい!」
後頭部にチョップ食らいアイリは顔引き攣 らせ半身振り向いた。
「我 がそこそこならお主──赤子だ」
「おお、良い旦那 さんを見つけたな、アイリ」
「妻殴る奴なんてクソだぁ。くそ、糞!」
もう一発チョップ食らいアイリはよろめいた。
「我 が糞なら、お前は反吐 だな」
2人を見て良い夫婦 だとリクハルド・ラハナトスは涙目になった。
辺りを見まわして
イラ・ヤルヴァは珍しく壁ぬけせずアイリらと一緒に出入り口から入った。
「騎士団長、お帰りなさいませ。視察なのですか? デアチ国の統治でお忙しいと────」
若い騎士2人が長いすから腰を上げ出迎えた。その落ち着いた雰囲気にアイリは切り出しにくく感じたので旧騎士団長に話を持ちかけようと思った。
「視察ではないよ。リクハルド・ラハナトス殿はどこにおられるだろうか」
「あぁ、ラハナトス殿はこの時間城内の農園におみえです」
「案内して」
城内に農園!? アイリは驚いた。ちょっと足を運ばなかったあいだに大きく様変わりしている。騎士の1人が案内役を買って出たのでアイリらはついて行きながらその若い騎士にアイリは
「農園はいつ頃からやってるの」
「あ、春の終わり頃です。イルミ・ランタサル王女がデアチ国を統治されてノーブル国は大国の加護で物騒なことがほとんどなくなり、あちこちで農園が流行っているのです」
いやぁ、足を運ばずにすまなかったとアイリは素直に反省した。
「それじゃあ、魔女がらみの物騒なこともか?」
「魔女!? 裏の魔女の噂もしばらく聞いておりません。あぁ、騎士団長、この農園です」
眼にしたアイリは驚いた。城内の
「ありがとう。後は自分で探すよ」
そうアイリが告げると若い騎士は一礼し立ち去った。
「リクハルド! どこだリクハルド!」
大声で名を呼ぶと奥の枝豆らしき葉々の陰から元騎士団長が顔をひょいと上げた。
「おお、アイリ! こっちゃ来い! 遅取りの枝豆のわけてやるぞ」
いや、農作物をたかりに来たのではないとアイリは苦笑いした。
そばまで行くと衣装まで農夫になりきったリクハルド・ラハナトスが手の土をはらった。
「おうアイリ殿、聞いておるぞ裏の魔女ミルヤミ・キルシを捕まえたらしいではないか。その若い衆は誰だい?」
「やだなおっさん。殿はやめてほしい。こいつはノッチ。俺の
いきなりリクハルドが手を振ってアイリの話しを
「
アイリとノッチが回り込んでくるとリクハルドが声をひそめて話し始めた。
「表の魔女の何を知っておる? 実は城下も含めて広い範囲に呪いをかけられておるのじゃ」
「
「魔女の通り名か本名を喋っただけで命落とす」
あん? 命落とす? あれの名前なんて何10回も言ったぞ。死んでないじゃんとアイリは鼻を鳴らした。
「そいつを倒したんで、もう呪い解けたんじゃないの?」
アイリに言われ元騎士団長は情けない顔になって説明した。
「1人死ぬごとにウルマス国王の首に回ったチョーカーが閉まってゆくんです」
「チョーカー!? なんでそんなもん着けたんだ?」
「その魔女に
ああ、くるんくるんがらみかぁ!
アイリは両目燃えたぎらせなんだか読めてきた。くるんくるんをそそのかし、その親に別の
「バッかじゃないのか!? 親子して乗せられやがって」
「リクハルド、ウルマス国王に会いにゆくぞ!」
俺が困るならなんでもいいんだよ。
なんでそこまで俺を憎む!?
ついた泥を落としながらリクハルドは王室のある
「アイリ、チョーカーを切り落とそうとするな。握った手が腐りおちるぞ」
「手が落ちたやついるんだな。そいつバッかじゃねぇか。宝箱の形したミミックに頭突っ込むような馬鹿じゃん」
「そういうな。うちの騎士団にも数人────」
「あぁ? いっぺん締め直してやろうか?」
「アイリ、そちの
「そこそこ──痛ぃいいい!」
後頭部にチョップ食らいアイリは顔引き
「
「おお、良い
「妻殴る奴なんてクソだぁ。くそ、糞!」
もう一発チョップ食らいアイリはよろめいた。
「
2人を見て良い