第9話 策士(さくし)
文字数 1,789文字
砂地に足形を残し軽やかに走っていくポイカネンに
軽快に乗りこなすアイリ・ライハラに悔しがりながらもヘルカ・ホスティラは振り落とされまいと必死だった。
体重のある自分を乗せても軽々と足を跳ね上げ暴力のように砂丘を越えてゆく。
な、なぜアイリはこんな鳥の化け物に乗り慣れているんだ!? あいつ人間のふりした魔物じゃないのか!? そうヘルカは悔しがった。
南に向かうにつれ砂丘の高さが低くなりただの
「アイリ! 乗り込んで統括官をどうするつもりだ!?」
並んで馬を走らせる女騎士が少女に
「殺すつもりじゃない。話し合う」
それでおさまらないのが交渉だとヘルカは思った。もしかしたら今度こそ終わりだと女騎士は覚悟してついてきた。アイリがいくら腕が立つといってもたった2人では取り囲まれたら最後だ。灰は灰に、土は土にかえる。
少女を
エイラ・メリラハティ統制官はじっと地図を見つめていた。
地政学的には北をノーブル、西をイルブイを押さえられており、イモルキを敵に回してしまうと三方を押さえられてしまう。実質、ノーブルの領土となったイルブイとイモルキに包囲されているのも同然だった。
左派の言うとおり浮ついたイモルキを落とすのなら今しかない。
今日、部隊を動かしてもイモルキに攻め込むのに
そう──攻め落とすのよ────。
誰に言われたのだとエイラ・メリラハティは驚いて振り向いた。
目の前に立つ白銀の髪をした少女がいつ統制官室に入ってきたのだと
「誰なの!?」
「我はルースクース・パイトニサム────銀眼の魔女と呼ぶがよい」
統制官は近衛兵を呼ぼうと横へ顔を振り向けた。
「北方の三国が
な、何を言ってるのだ!?
「北の三国の兵を取りまとめる将軍が
将軍!?
「その名をアイリ・ライハラ────青髪の小娘」
青髪? アイリ・ライハラ!?
エイラ・メリラハティ統制官は銀色の瞳に魅入られていた。
テーブルに収まりきれない地図を指さしてイルミ・ランタサルはアグネス・ヨーク
「シヒリ砂漠は城壁のようにイルベ連合とを隔てる
「我が軍の
歩兵大隊長が地図上に指を走らせ説明するとイルミ
「デアチ一個師団は二週で到着します」
驚いてイモルキの大隊長らがイルミ・ランタサルを見つめた。騎兵隊なら十日足らずで到着できるが、歩兵はそうはいかない。もし到着できるとすればデアチ国歩兵は一週間前には出兵していたことになる。
「イルミ
そうアグネス・ヨーク
それを含めてデアチ国の
「アイリ・ライハラが統括する我が軍はその迅速性で他国を上回ります。大隊総長して動きの速い騎士ですので」
少し得意そうだとアグネスはイルミ
「では陣形を説明します。陣形は
「失礼、イルミ
大隊長の1人がそうイルミ・ランタサルに問うた。
「
アグネスと大隊長数人らは