第12話 生き地獄
文字数 2,048文字
不安目一杯。
何を問われるのかと困惑するよりも、魔女
魔女だと白状するまで焼いた
イルミ・ランタサルが拷問人を味方にしたと言ってたけれど少し手心を加えられるだけなら、きっと辛いものになるんだろうなぁとアイリは気落ちした。
6人の近衛兵に取り囲まれ
兵が声をかけると中から叫び声さえ漏れそうもない厚いそれが開かれた。
窓もない石のブロックで覆われた部屋。少女は廊下から様々な拷問器具が並んでいるのを呆然と見つめ立ち止まってしまった。
「入れ魔女!」
背中を近衛兵の1人が押し出した。
部屋は
人の気配に少女が横へ向くと大きなゴブリンの様な体格の上半身裸の男がおり汚れきった目だしの三角帽を被っており少女を
その後ろにヘッレヴィ・キュトラ異端審問官が腕組みをして立っている。きちんとした高貴な服装がこの
少女を連れてきた近衛兵らは
「アイリ・ライハラ! 剣竜騎士団長といえど取り調べに手心はないと思え。素直に自白すれば
ヘッレヴィ・キュトラ異端審問官の忠告に『嘘でぃ!』とアイリは思った。魔女だと言ったものがどうなるか何度も耳にした事があるんだ。
魔女の
どっちも嫌だぁ!
「さあ、取り調べ台に上がれ」
拷問人が三角帽の下から押しの強そうなしわがれた低い声で命じた。
上がるも何も、部屋奥の中央に長テーブルを斜めに立てた様なものがあった。
左右と足元に革のベルトが垂れ下がっており、あれで手足を
戸惑った様にアイリ・ライハラは部屋へ視線を
尖ったものや、
「馬鹿な事をすれば、貴様と共にこの国の土を踏んだものらへも魔女嫌疑がかかると思え」
ヘッレヴィ・キュトラに警告され少女は歯ぎしりし、取り調べ台へと足を進め台に向かって手足を広げた。
「貴様、おちょくっているのか!? 背中を向けられても小さな尻ぐらいしか
ぶひっ!
尻をせめる! その手があったか! アイリは一瞬死んだイラ・ヤルヴァの父親のユリアンッティラ
ニヤニヤしながら少女が振り向くと拷問人と異端審問官が
「開き直ったな魔女め! やれ!」
そう異端審問官の女が拷問人に命じると、用心深い視線を少女の顔から外さずにその大きな男が進み出てアイリのか細い手足を台に縛りつけた。
くそう! こうなったら刺されても切られても殴られても──意地でも口を割らないぞ!
アイリは揺れる灯りに照らされる2人を
男が両手にした先に
手が止まった
「ひぃひぃひぃひぃ」
これは
もうやめて! 死んでしまう!
ぜえぜえと息を吸い込むが、腹に力が入らずきちんと空気が入ってこない。
油断させられて、またいきなり
切られたり刺されたりする方がずっと楽だとアイリは思った。
この拷問人────本当にくるんくるんは抱き込んだの!?
これはあのイカれ女の差し金なのかとお腹千切れそうなほど笑い少女はチビリそうになりながらも憎々しげに考えた。
俺は主役なんだぞとひどい仕打ちの神を呪った。
「いひひひひぃ──ひぃ────」
素直に自白すれば
「ひぃ──ひぃひぃひぃ──そうよ──ひぃひぃひぃひぃ────魔女で何が悪いの────ひぃひぃひぃひぃ────止めて────お願いだから──ひぃひぃひぃひぃ────止めてください──」
「よぉし! 以上! 異端審問を終わる!」
そう宣言し出入り口から出て行ったヘッレヴィ・キュトラが扉を閉じ際に「むふっ、報告せねば」と笑った後に
あの女審問官────絶対に裏で操ってる奴がいる!