第13話 華(はな)
文字数 1,389文字
剣ぶつかり合う音の方へ駆けたアイリ・ライハラは発光石の灯りに照らし出された光景に驚き呟 いた。
「マンティドだぁ!」
人の倍ほどもある大きなカマキリの4つの大鎌 と3人の騎士が剣 をぶつけあっていた。
親父から聞いたことのある話に出てきた捕食肉食の魔物だったが、アイリは初めて眼にしたのに間違いないと確信した。
少女が助けに入ろうとも3人の騎士が邪魔になり、近寄れない。
間の岩場の陰に侍女 ヘリヤが縮こまり震えていた。
アイリがヘリヤを庇 う様に横へ回り込むと、魔物が逆三角の頭を振り向けた。
かかって来るのかと、アイリが長剣 のハンドルに手をかけるといきなりプイと顔を逸 らし騎士らを倒そうと躍起になった。
「なんかムカつく──」
アイリはそう呟 き魔物の背後に回り込むと警戒したマンティドが顔を向け、またプイと騎士らに向き直った。
「なんか腹立つんですけど──」
眉間に皺 を寄せ剣 を引き抜いた少女が背後から首を斬り落とそうと近づくと、いきなり動きを封じられた。
マンティドが上げた後足でアイリ・ライハラの画面を蹴って押さえつけ少女は「うぷぷぷ」とわめいてジタバタした。
「なんなんだコイツ! 人の顔を足蹴 に!」
アイリが逃げ出すと4本鎌 のカマキリの前で格闘してる女騎士ヘルカ・ホスティラが喚 いた。
「き、貴様ぁ! 1人で逃げるかぁ! なんとかしろこのチビ!」
少女はいきなり腕まくりして女騎士へ振り向いた。
「お前! 今、ちびと言ったなぁ! 言いましたねぇ! あんた1人でそのマンティドとやり合えばいい! そいつは捕らえた相手が諦めると一番柔らかいところから食べるんです! いいですか!? あんたの一番柔らかいところからですよ! 胸ではなくそのプリプリした尻から食べるんです! 尻ばっかりでかいのがそいつにはわかるんです!」
「きっ、貴様ぁ! 我を愚弄 するかぁ! 尻デカと愚弄 するかぁ!」
ヘルカ・ホスティラは鎌 に押しまくられ劣勢になりつつあった。
「はぁん! 俺様のことをちびだとぬかすからだ」
アイリが腕組みして頷 くと、マンティドが顔を振り向けてジッと眼が合った。少しの間をおいて魔物はプイと顔を逸 らすとアイリの方へ片足を持ち上げた。
「おっ、お前! 俺様を踏みやすいちびだと言うかぁ!」
アイリ・ライハラは激昂 し長剣 を振り回し魔物へ攻め寄ると────。
また顔を踏みつけられた。
「うぷぷぷっ」
じたばたして少女が逃げ出すと笑おうとした女騎士ヘルカ・ホスティラは力が抜け、いよいよ鎌 に押し負け両膝 を地面に落とした。
「まっ、まずい──くぬぅっ!」
ヘルカ・ホスティラは自身だけでなく2人の騎士も魔物に押し負けそうになっているのに気づいたが近衛兵副長に助けを求めるつもりは毛頭なかった。騎士の矜持 ──プライドだった。
その事にアイリは気づいた。
3度目に少女が詰め寄った時には容赦しなかった。
魔物が振り上げた後足を青い雷光がよぎった。刹那 、その幾つもの棘のある長い足が空に舞った瞬間、その隙 を女騎士ヘルカ・ホスティラが見逃さなかった。魔物の腹に刃 を打ち込むと、続いて2人の騎士も剣 を打ち込みマンティドは叫び声を上げその場に倒れた。
騎士らが安堵の表情を浮かべ、女騎士ヘルカが顔を向けると侍女 ヘリヤをアイリ・ライハラがすでに庇 っていた。それを見たヘルカは双眼を細め呟 いた。
「つまらん──華 を持たせおって」
「マンティドだぁ!」
人の倍ほどもある大きなカマキリの4つの
親父から聞いたことのある話に出てきた捕食肉食の魔物だったが、アイリは初めて眼にしたのに間違いないと確信した。
少女が助けに入ろうとも3人の騎士が邪魔になり、近寄れない。
間の岩場の陰に
アイリがヘリヤを
かかって来るのかと、アイリが
「なんかムカつく──」
アイリはそう
「なんか腹立つんですけど──」
眉間に
マンティドが上げた後足でアイリ・ライハラの画面を蹴って押さえつけ少女は「うぷぷぷ」とわめいてジタバタした。
「なんなんだコイツ! 人の顔を
アイリが逃げ出すと4本
「き、貴様ぁ! 1人で逃げるかぁ! なんとかしろこのチビ!」
少女はいきなり腕まくりして女騎士へ振り向いた。
「お前! 今、ちびと言ったなぁ! 言いましたねぇ! あんた1人でそのマンティドとやり合えばいい! そいつは捕らえた相手が諦めると一番柔らかいところから食べるんです! いいですか!? あんたの一番柔らかいところからですよ! 胸ではなくそのプリプリした尻から食べるんです! 尻ばっかりでかいのがそいつにはわかるんです!」
「きっ、貴様ぁ! 我を
ヘルカ・ホスティラは
「はぁん! 俺様のことをちびだとぬかすからだ」
アイリが腕組みして
「おっ、お前! 俺様を踏みやすいちびだと言うかぁ!」
アイリ・ライハラは
また顔を踏みつけられた。
「うぷぷぷっ」
じたばたして少女が逃げ出すと笑おうとした女騎士ヘルカ・ホスティラは力が抜け、いよいよ
「まっ、まずい──くぬぅっ!」
ヘルカ・ホスティラは自身だけでなく2人の騎士も魔物に押し負けそうになっているのに気づいたが近衛兵副長に助けを求めるつもりは毛頭なかった。騎士の
その事にアイリは気づいた。
3度目に少女が詰め寄った時には容赦しなかった。
魔物が振り上げた後足を青い雷光がよぎった。
騎士らが安堵の表情を浮かべ、女騎士ヘルカが顔を向けると
「つまらん──