第4話 七癖の力
文字数 1,756文字
「そこら辺の魔女と一緒にしない方がいい」
そうノッチが切りだし王妃 イルミ・ランタサルと女騎士ヘルカ・ホスティラ、それにテレーゼ・マカイが耳を傾けた。アイリ・ライハラは興味なさそうな顔でそっぽを向いた。
「どこへでも出入りし、とんでもない剣技 を持ってるなど大したことことではない。あれの恐ろしさは自然界の秩序に従わぬ能力にある」
イルミ・ランタサルが問いかけようとするとノッチが片手を上げ静かにするように制した。
「仮に騎士10万を束 ね銀盤の魔女に立ち向かったとする」
「あれは同時に斬 りかかれるのが10人もいないと寸秒で見抜く。あれにとって10人倒すなど雑作もなく、殺し続けて2日目には2万人も騎士は残っていない。残りは陽が昇り朝食を食べる前にはすべて殺し終える」
イルミ・ランタサルが異を唱えた。
「そんなことはないわ。どんな盾 を構えていようとも雪崩込 むように斬り込めば1撃を入れられる」
それを聞きノッチは足元へ視線を1度下ろすと顔を上げて説明した。
「貴女 は勇 ましい────」
ノッチは目尻下げるとイルミへ微笑んだ。
「────だが剣戟 を勘違いなさってる」
イルミ王妃 は1度驚いた面もちになり顎 を引いて上目遣 いにノッチを睨 みつけた。
「人の持つ処理能力は神経の伝達速度に左右される。騎士らは鍛え上げられてるので、反射行動のプロセスが異なり普通の人より幾分速く立ち回れる」
「だが銀盤の魔女は鍛え上げられてる騎士らよりも数十倍速く知覚や手足を制御するやり取りを行える。つまり騎士らが他の騎士らを乗り越え剣 振り下ろすために腕を振り上げるずっと前にあれは氷の剣 を振り抜いている」
「追いつけない。そんな人間がいたらそれはもう人ではないわ」
今度は王妃 は素直に認めた。
「我 は1度もあいつが人だと言ってはいない」
「だから!? 人の摂理で考え、人の対処方法で倒せないと?」
ノッチは頷 いた。
「例えるなら鍛え上げられた勇者級の騎士が攻撃しようと腕を上げきるまでにあの銀盤の魔女は10数回その騎士を斬 り刻める────それに──────」
聞いているイルミ・ランタサルは息が荒くなっていた。銀眼の魔女はサタンよりももっと危険なものだと今、知ってしまった。
なら、なおのこと生かしてはおけないとイルミ王妃 は思った。人の存続や社会を壊すであろうものを野放しにできるわけがなかった。
「あれはその能力の10分の1も出していな────」
言い掛けている途中でノッチの首が横滑りし、青い鮮血が吹き出した。
その頭なくしてもなお立ち続けるアイリ・ライハラの亭主の首を引き裂いて真っ白な手袋をつけた細腕が上に出てきて首の切れ口を広げると銀眼の魔女がノッチの肩に手をかけて首の切れ口から出てきて腹の立つ笑い声を上げた。
「フハハハハハっ────知ったか? 待ちわびていたぞ。お前らはどうすることもなくこの青髪の男のようになるのだ」
ヘルカ・ホスティラが剣 引き抜くとテレーゼとアイリも剣 を引き抜いた。
イルミ・ランタサルの案を試すことはノッチがいなくなりできなくなったが応用はできた。
ノッチの頭なくした身体から銀眼の魔女が抜け出せる前にまずヘルカ・ホスティラが斬 りかかった。
その刃 を銀眼の魔女は氷の長剣 で弾き上げ、女騎士は剣 を引きながらテレーゼに場所を譲った。
女剣士が斬 り込むのと銀眼の魔女が双刀を振り下ろすのが同時で白色の髪した女は交差させた氷の長剣 の谷でテレーゼの剣 を受け止めた。
寸秒、急激にテレーゼ・マカイの身体躱 し回り込んで前へ出てくるアイリ・ライハラが引いていた刃 を駆け込む勢いで凄まじい勢いで突き出した。
その刃口 が銀眼の魔女の胸中央に突き立つと蒼白な顔を振り下ろし女は自分の胸元を見つめ呟 いた。
「ほう!? 工夫したな────」
「だがまったく──────」
「────────────足りない」
テレーゼの剣 を弾き上げ氷の長剣 を放りだしアイリ・ライハラの突き立てた剣 を両手でつかみ引き抜き始めた。
「しゃがめアイリ・ライハラ!」
屈 んだ少女の左右から横様に剣 振り抜くヘルカとテレーゼが魔女の首左右から斬 り込んで吹き出した白い血に3人は驚いた。
上下で交差し横へ振り抜いた刃 の反動でノッチの身体の前を落ちながら銀眼の魔女の首が耳障りな笑い声を上げた。
そうノッチが切りだし
「どこへでも出入りし、とんでもない
イルミ・ランタサルが問いかけようとするとノッチが片手を上げ静かにするように制した。
「仮に騎士10万を
「あれは同時に
イルミ・ランタサルが異を唱えた。
「そんなことはないわ。どんな
それを聞きノッチは足元へ視線を1度下ろすと顔を上げて説明した。
「
ノッチは目尻下げるとイルミへ微笑んだ。
「────だが
イルミ
「人の持つ処理能力は神経の伝達速度に左右される。騎士らは鍛え上げられてるので、反射行動のプロセスが異なり普通の人より幾分速く立ち回れる」
「だが銀盤の魔女は鍛え上げられてる騎士らよりも数十倍速く知覚や手足を制御するやり取りを行える。つまり騎士らが他の騎士らを乗り越え
「追いつけない。そんな人間がいたらそれはもう人ではないわ」
今度は
「
「だから!? 人の摂理で考え、人の対処方法で倒せないと?」
ノッチは
「例えるなら鍛え上げられた勇者級の騎士が攻撃しようと腕を上げきるまでにあの銀盤の魔女は10数回その騎士を
聞いているイルミ・ランタサルは息が荒くなっていた。銀眼の魔女はサタンよりももっと危険なものだと今、知ってしまった。
なら、なおのこと生かしてはおけないとイルミ
「あれはその能力の10分の1も出していな────」
言い掛けている途中でノッチの首が横滑りし、青い鮮血が吹き出した。
その頭なくしてもなお立ち続けるアイリ・ライハラの亭主の首を引き裂いて真っ白な手袋をつけた細腕が上に出てきて首の切れ口を広げると銀眼の魔女がノッチの肩に手をかけて首の切れ口から出てきて腹の立つ笑い声を上げた。
「フハハハハハっ────知ったか? 待ちわびていたぞ。お前らはどうすることもなくこの青髪の男のようになるのだ」
ヘルカ・ホスティラが
イルミ・ランタサルの案を試すことはノッチがいなくなりできなくなったが応用はできた。
ノッチの頭なくした身体から銀眼の魔女が抜け出せる前にまずヘルカ・ホスティラが
その
女剣士が
寸秒、急激にテレーゼ・マカイの
その
「ほう!? 工夫したな────」
「だがまったく──────」
「────────────足りない」
テレーゼの
「しゃがめアイリ・ライハラ!」
上下で交差し横へ振り抜いた