第6話 思いやり
文字数 1,793文字
それを唖然と見つめている騎士らから少女は
仕方なく共に走り出したイルミは皆から十分に離れるとどっと泣き始めた。
「お、おめぇ、くるんくるん! 走りながら泣くのはいいけど、
文句たれるアイリの鼻っ面を金属の棘がひゅんと
「だぁってぇ──ぐすぐす────この国のものって馬鹿ばっかしで──ずるずる──盗賊の頭領になった気が────してくるのぉ」
何を
「
「だぁってぇ──ぐすぐす────圧制の王さえ──ずるずる──いなくなったら────
こいつ阿呆かと少女は眉根しかめた。
そんな連中がたくさんいる国なら、侵略狂いの王制をとっくの昔にひっくり返しているだろう。
「うぉっ!」
跳ね上がった打撃部が少女の眼の前で踊った。
廊下を数回曲がり、人気がなくなると少女はいきなり立ち止まり遅れて足を止めた
「やい! くるんくるん! 盗賊は頭すげ替えても盗賊なんだよ。それを下っ
寸秒イルミは
「いえ、アイリ。それは違います事よ。生まれついての盗賊がいない様に、更正できない盗賊は世の中にいませんのよ」
アイリ・ライハラは
「お前ぇ、盗賊にやり直せと力説してる
イルミ
「あら!? あなたも生まれながらにして騎士ではなかったでしょう?」
うぅぅ、話をすり替えられたようだとアイリは眼を寄せ考え込んだ。またこいつ、いいように丸め込もうと──少女はイルミの手を盗み見たが怪しく
そう。物心ついた頃には家業が鍛冶屋で、自分も跡を継ぐんだと思っていた。
その娘に父はあろう事か、真っ赤に焼けた
「イルミ、お前ぇ、子供心に国を継ぐんだと思ったのか?」
「いずれ王位を継承すると思っていたわ。でもそれはノーブル国の事でよ。王たる殿方を見つけ2人して国を治めるのだと理解していたのは本当よ」
それが曲がってしまったのは、大国デアチの君主が大陸制覇の野望を抱いたせいだとアイリは思った。
要地にあるノーブル国に食指を動かしイルミ王女やウルマス国王の配下を抱き込み、魔女を差し向けたからだ。
くるんくるんも、大陸の闇に巻き込まれた1人なんだ。
「なぁイルミ────お前ぇぜんぶ投げだして逃げるなら活路を開いてやるぞ」
少女がぼそりと提案した寸秒、イルミ・ランタサル
「気持ちだけにしておくわ、アイリ」
2人が走って来た廊下の方から
「リディリィ・リオガ王立騎士団はいつもあんたと共にある。もっと自信を持ってこの国を引っ掻き回せよぉ」
少女がそう告げると