第4話 前例
文字数 1,674文字
「き、貴様かぁ青髪ぃぃい! 儂 を生き埋めにしおったのは!?」
あ────ぁ、ババァはめんどくさい。
怒鳴られてアイリ・ライハラは兜 の面覆い を跳ね上げると指さす魔女ミルヤミ・キルシに言い返した。
「やい黒爪! お前こそ山投げてきたり、魔物差し向けてきたり、爆裂魔法をバカスカ打ち込みやがって!」
そこまで喚 いてアイリはふと気づいた。兜 被ってるのになんでこいつ俺を青髪と知ってるんだ!?
「おい──キルシ────お前、何で俺だとわかった?」
「簡単だぁ! イズイ大陸広 といえど、そんな真っ青 な甲冑 着てる阿呆はお前だけだぁ」
アホウだぁ!?
こいつ上から目線で──ババァだから仕方ないじゃ済ませられねぇ! それに相変わらず左手を腰にあて伸ばした右腕で偉そうに指さす態度にアイリは段々と腹が立ってきた。
いきなり蒼 い瞳が座るとアイリ・ライハラは魔女に言い切った。
「魔女ミルヤミ・キルシ──貴様を討伐 せよと命が下っている。大陸1の悪女──悪いがその首いただくぞ」
言いながらアイリ・ライハラはこいつの首を斬 り落とすのかとキモくなった。だが悪友イルミ・ランタサルの命脅かす奴を野放しにはできない。ここでケリをつけるしかなかった。
今や右にでるものがいなくなった騎士団長は腰ものに手をかけゆっくりと長剣 を引き抜いた。
その剣 を指さし魔女ミルヤミ・キルシが大声で指摘した。
「なにが悪女だぁ! 見よその血塗られた己 の刃 を! 貴様こそ人の命を奪い続ける極悪人ではないか! 己 の首を己 で刎 ね贖罪 せよ!!」
アイリは両手で前に構えた長剣 の見つめ刀身がヌラヌラの赤い血で染まっていることに眼を丸くした。
そうか────たくさん殺 めてきたんだ。
人の道から外れたのは俺だったんだ。数え切れないほど殺してきた殺人鬼。詫 びをしなきゃ。
アイリ・ライハラは長剣 のハンドルを右手1つで握りしめ肘 を曲げ刃 の付け根近くを自分のアダマンタイトを編み込んでできた兜 の下から肩を覆うカマイユの喉の部分に押し当てた。
もがき土を押しのけ地面から脚を突き出し逆さまに半埋まりになっていた女大将ヒルダ・ヌルメラはやっとのことで這い出し地面に座り込むと頭を振って兜 に入った土を外に飛ばし口に残っている砂を吐きだした。
「げほげほ────く、くそうドジったですよ──まさか地崩 れに巻き込まれるとはイルブイ戦闘団総大将の名折れ────げほ────アイリ殿はどうされたか?」
アイリのことを思い出し、周り見回し振り向いたヒルダは大陸1悪辣 な魔女と向き合う青い甲冑 の騎士を眼にして顔を強ばらせた。
アイリ・ライハラが自分の首に長剣 の刃 を押し当てていた。
魔女にそそのかされいる!!!
「な、なにをやってるですかアイリ殿ぉ! お、お止めしないと!」
止めに走るには距離がありすぎた。そのことにすぐ気づいた女大将ヒルダは膝 傍 らの子供の頭ほどのでかい石を右手で鷲掴 みして振りかぶった。
アイリの甲冑 の背にぶつけるつもりでヒルダは地面に座ったままほとんど腕力で投げきった。
ヒルダの投擲 はノーコン実証済み。
びゅうと風を唸 らせて強速で飛ぶ子供の頭ほどの大石はアイリ・ライハラの兜 上を飛び越えた。
「あぁ、しまったぁでござる!」
ごいん、と大きく鈍い音が聞こえてきてヒルダは素早く立ち上がり横に大股で身体乗り出しアイリ・ライハラの甲冑 の陰から先を見て何に当ててしまったのかを確かめた。
寸秒、顔面にどでかい石が命中し両脚を振り上げた魔女ミルヤミ・キルシが地面に後頭部から落ちた。
とたんに呪縛が解けたアイリ・ライハラが起きた事態に気づきゆっくりと半身振り向くとヒルダと眼が合った。
「お前かぁヒルダぁ!? また石投げたのはぁ! あんなどでかい石が俺に当たったら怪我じゃすまねぇだろうがぁ! ちょっとこっち来い!!!」
「いえぇ! アイリ殿ぉ! 魔女キルシを狙いましたですよ────ぉ──ござる」
本当ぽく言い繕 ったつもりの女大将ヒルダを左手の人さし指1つ曲げ招いたアイリ・ライハラが長剣 をぶんぶん振り回し始めヒルダ・ヌルメラは青ざめた。
あ────ぁ、ババァはめんどくさい。
怒鳴られてアイリ・ライハラは
「やい黒爪! お前こそ山投げてきたり、魔物差し向けてきたり、爆裂魔法をバカスカ打ち込みやがって!」
そこまで
「おい──キルシ────お前、何で俺だとわかった?」
「簡単だぁ! イズイ大陸
アホウだぁ!?
こいつ上から目線で──ババァだから仕方ないじゃ済ませられねぇ! それに相変わらず左手を腰にあて伸ばした右腕で偉そうに指さす態度にアイリは段々と腹が立ってきた。
いきなり
「魔女ミルヤミ・キルシ──貴様を
言いながらアイリ・ライハラはこいつの首を
今や右にでるものがいなくなった騎士団長は腰ものに手をかけゆっくりと
その
「なにが悪女だぁ! 見よその血塗られた
アイリは両手で前に構えた
そうか────たくさん
人の道から外れたのは俺だったんだ。数え切れないほど殺してきた殺人鬼。
アイリ・ライハラは
もがき土を押しのけ地面から脚を突き出し逆さまに半埋まりになっていた女大将ヒルダ・ヌルメラはやっとのことで這い出し地面に座り込むと頭を振って
「げほげほ────く、くそうドジったですよ──まさか
アイリのことを思い出し、周り見回し振り向いたヒルダは大陸1
アイリ・ライハラが自分の首に
魔女にそそのかされいる!!!
「な、なにをやってるですかアイリ殿ぉ! お、お止めしないと!」
止めに走るには距離がありすぎた。そのことにすぐ気づいた女大将ヒルダは
アイリの
ヒルダの
びゅうと風を
「あぁ、しまったぁでござる!」
ごいん、と大きく鈍い音が聞こえてきてヒルダは素早く立ち上がり横に大股で身体乗り出しアイリ・ライハラの
寸秒、顔面にどでかい石が命中し両脚を振り上げた魔女ミルヤミ・キルシが地面に後頭部から落ちた。
とたんに呪縛が解けたアイリ・ライハラが起きた事態に気づきゆっくりと半身振り向くとヒルダと眼が合った。
「お前かぁヒルダぁ!? また石投げたのはぁ! あんなどでかい石が俺に当たったら怪我じゃすまねぇだろうがぁ! ちょっとこっち来い!!!」
「いえぇ! アイリ殿ぉ! 魔女キルシを狙いましたですよ────ぉ──ござる」
本当ぽく言い