第24話 狡猾(こうかつ)王女
文字数 1,863文字
「止めなさい! ストップ、ストッ────プ!」
両腕広げ剣 打ち合う4人へイルミ・ランタサルが近寄ると全員が慌てて刃口 を下ろし王妃 へ振り向いた。
「貴方 がた、魔女倒す良い方法を思いつきました」
最善策と聞き皆 は剣 を鞘 に戻し耳を傾けた。
「いいですか、銀眼の魔女はとても素速く貴方 がた1人ひとりが刃 ぶつけ合い魔女共々剣 を弾き返されそれを引ききらずともそこからさらに剣 を打ち下ろします。魔女とはいえあれ も人──一旦 打ちだした刃 は振り戻さないと打ち出せません」
そう説明しながらイルミ・ランタサルは剣 を持った手つきで1度見えない剣 を振り下ろしてみせそれを頭上に振り上げ腕を止めた。
「どれだけ速かろうとリズムがあり襲いかかるものに合わせ1度振り抜いた剣 をまた振り下ろすまでに一瞬の間 が存在します。あ奴が持つ剣 は腕の数2本に合わせ2振り 」
王妃 は怪しく指蠢 かせる腕を左右に広げそれを頭上に振り上げさらに左右へ振り下ろした。
「魔女前後の1人目が剣 をぶつけられ振り戻し刃 をさらに魔女へ振り向けるよりも────」
「剣 弾かれたのと同時に1人目の背後に控える2人目と立ち位置を換え2人目が即座に剣 を打ち抜きます」
「どれだけ銀眼の魔女が速かろうと剣技 あろうとも間合い一瞬で連続し襲ってくる攻撃を防ぎ様があろうものですか────それに────」
イルミは頭上から右腕を振り下ろしそれを振り上げながら横からもう片方の左腕を振り抜いた。
「──初撃を縦に振って弾き上げられたなら背後から進み出たもう1人は魔女が剣 を遠ざけた太刀筋 とは異なる横から襲いかからせます。そうすることで魔女の対応を混乱の極地に追い込むのです」
すげぇ────こいつこんな卑怯 なことよく考えつくなぁ、とアイリは呆 れかえった。
皆 が眼を丸くし言葉なくしているので不安になりイルミは問いかけた。
「駄目──ですかぁ?」
「すげぇ!」、「イケますとも!」、「王妃 様ぁほんとに剣 打ち合えないんですか!?」、「面白そうだ。やってみよう」
4人が言葉違えども賛辞を口にしていることにイルミ・ランタサルは満足して微笑んだ。
「魔女の前後でその交代をやりあいつの前後ろで2撃目を打ち込みそれに万が1魔女が合わせてきても、続けて交代し3撃を打ち込めばあの銀眼は対応できぬだろう」
ノッチがそう告げ微笑んで見せるとイルミ・ランタサルは頬 を赤くして扇子 取り出し広げ顔を隠し告げた。
「な、何か疑問のあるものは申し出て下さい。改善は厭 いません」
「なんで顔隠すんだよ、くるんくるん」
王妃 が扇子 を鼻先まで下ろすとアイリが下唇をつきだして眉根しかめていた。
「交代して剣 打ち出すのは問題ない。皆 すぐに取り入れることができるだろう。だったら魔女の住処 だったと云われている場所に急ごう」
そうノッチが勧めるとテレーゼが先頭になり島に上陸した浜へ向かい皆 が歩きだした。
しばらく歩いていて前を歩く王妃 にアイリが問いかけた。
「おい、くるんくるん──お前、他人の旦那 に────色目使うんかい?」
半身振り向いたイルミ・ランタサルが眼を丸くして片瞼 を引き攣 らせていた。
「だぁ、だぁれがぁ、色目などぉ!」
「じゃあなんで声裏返させるんだぁ? 図星じゃん────ノッチはやらんよ」
イルミ・ランタサル王妃 はこれでもかというほど両瞼 吊り上げアイリ・ライハラから顔を逸らした。
寸秒、アイリの両肩にノッチが手をかけ問い質 したので少女は半身振り向いた。
「何か楽しげな話しているな。何の話だ?」
「お前を、やる、やらんの話、してた」
「我 はものではないぞ」
「めんどくさ」
言い捨てアイリ・ライハラは眼を座らせて両肩の手をはらいのけた。
凍らせた12本の骨を鏡台にばら撒 いた。
それぞれの向き、絡 み具合、上になる骨の表裏側面が重要な意味合いを持つ。
抜きん出て太く長い骨が天上界を指し示す。
意味は色々と暗示すれど天上人 を強く意識した。
あの2体と同じだと銀眼を細めにやつく 。
性懲 りもなくまた関わってきた。
だが2つが3つになるだけだと伝承の女は軽く考えた。問題はその長い骨に寄り添うようにぴったり付く細短い骨だ。
多くの場合、細短い骨は子供を意味する。
ならそれはあの青だと銀眼を細める。
おそらくは連れだったもう1人の青が天上人 なのだろう。
理解が決断に繋がるとルースクース・パイトニサム銀眼の魔女は鏡台に散った骨をかき集めながら鏡を覗 き込んだ。
冷え切った鏡に映る己 の半身を眺め青は論外だと決めつけた。
我 以外は虫酸 が走ると腕を回し抱きしめ身震いした。
両腕広げ
「
最善策と聞き
「いいですか、銀眼の魔女はとても素速く
そう説明しながらイルミ・ランタサルは
「どれだけ速かろうとリズムがあり襲いかかるものに合わせ1度振り抜いた
「魔女前後の1人目が
「
「どれだけ銀眼の魔女が速かろうと
イルミは頭上から右腕を振り下ろしそれを振り上げながら横からもう片方の左腕を振り抜いた。
「──初撃を縦に振って弾き上げられたなら背後から進み出たもう1人は魔女が
すげぇ────こいつこんな
「駄目──ですかぁ?」
「すげぇ!」、「イケますとも!」、「
4人が言葉違えども賛辞を口にしていることにイルミ・ランタサルは満足して微笑んだ。
「魔女の前後でその交代をやりあいつの前後ろで2撃目を打ち込みそれに万が1魔女が合わせてきても、続けて交代し3撃を打ち込めばあの銀眼は対応できぬだろう」
ノッチがそう告げ微笑んで見せるとイルミ・ランタサルは
「な、何か疑問のあるものは申し出て下さい。改善は
「なんで顔隠すんだよ、くるんくるん」
「交代して
そうノッチが勧めるとテレーゼが先頭になり島に上陸した浜へ向かい
しばらく歩いていて前を歩く
「おい、くるんくるん──お前、他人の
半身振り向いたイルミ・ランタサルが眼を丸くして
「だぁ、だぁれがぁ、色目などぉ!」
「じゃあなんで声裏返させるんだぁ? 図星じゃん────ノッチはやらんよ」
イルミ・ランタサル
寸秒、アイリの両肩にノッチが手をかけ問い
「何か楽しげな話しているな。何の話だ?」
「お前を、やる、やらんの話、してた」
「
「めんどくさ」
言い捨てアイリ・ライハラは眼を座らせて両肩の手をはらいのけた。
凍らせた12本の骨を鏡台にばら
それぞれの向き、
抜きん出て太く長い骨が天上界を指し示す。
意味は色々と暗示すれど
あの2体と同じだと銀眼を細め
だが2つが3つになるだけだと伝承の女は軽く考えた。問題はその長い骨に寄り添うようにぴったり付く細短い骨だ。
多くの場合、細短い骨は子供を意味する。
ならそれはあの青だと銀眼を細める。
おそらくは連れだったもう1人の青が
理解が決断に繋がるとルースクース・パイトニサム銀眼の魔女は鏡台に散った骨をかき集めながら鏡を
冷え切った鏡に映る