第21話 詐術(さじゅつ)
文字数 1,754文字
弱いところばかりを──────!!!
もう目眩 の先に正しき像が見えてこない。
それが疲れからか意識に重くのしかかってくる。
襲いかかってきた複数の銀眼の魔女をアイリの活躍で退けたもののこの人数で魔女成敗に訪れたことに不満が居座った。
「幻覚のくせに」
言い捨てたヘルカ・ホスティラにイルミ・ランタサルが言い聞かせた。
「ヘルカ、襲ってきた魔女らは幻覚ではありませんよ。刃 に血を流し倒れ命なくす幻覚がどこにいます?」
それをわかっているからこその不満をあらわした表情にアイリが気づかった。
「ヘルカ、頑張って早く帰れるようにしよう」
その気づかいを女騎士は理解し少女に頷 いた。
「策 が必要です。また魔女が複数来たらこの次は我々は負けてしまうでしょう」
イルミ王妃 が注意喚起するとテレーゼが発言した。
「あの双子のような魔女の一群は魔法によるものかもしれない。最大10人いたが残った数人が合わさり1体の魔女になった──」
それをアイリは年長者の意見だと謙虚 に聞いていた。
「──最初は複数いるのが幻覚だと思ったが幻覚とは刃 打ち合わせることは不可能だし、王妃 様が言うように血を流し倒れることもない。魔女が複数いたら実像だと警戒すべきだ」
皆 の不安げな面もちを見回しノッチが発案した。
「たとえ銀眼の魔女が先の3倍で来てもアイリが勝てる」
それを聞きイルミ・ランタサルが群青の少女に聞いた。
「アイリ、あなたはさらに速く動けているようですが何かあったのですか?」
王妃 に問われアイリはノッチの方を見て彼が頷 いたのでアイリは説明しだした。
「天使様が戦 にでるとき、尋常でない速さで戦う。わけあってその力を授かっているけど、無敵じゃない。銀眼は天使様2柱を捕らえ自由を奪っている。つまり天使様より強ぇえわけだ」
「あ、アイリ────あ、あなたどうやって天使様の力を────」
王妃 がどもりながら少女に尋 ねた。
「今はそんなこと関係ない。あの魔女を倒すことが先決だよ」
「囮 はどうですか?」
そう提案したのはヘルカ・ホスティラだった。
「我と王妃 様とでこの魔女の城を探索しつつ残りのものがすぐ駆けつけられる状態で現れる魔女を総動員で倒すのです」
聞いていたアイリが唇をねじ曲げた。
策 でもなんでもないじゃん。下手するとくるんくるん持っていかれる。
「囮 ならアイリの方が向いていよう。あの魔女これまでの立ち振る舞い──アイリにひどくご執心 のようで。アイリやれるな」
ノッチがそう言い出しイルミ・ランタサルは妻を危険にさらすのかと眼を丸くした。
「ああ、いいよ」
────☆─☆─☆────
「いいですかアイリ。この城の作りは普通のものに合わせていません。他の部屋にいたる出入り口は我々で見つけなくてはなりません。壁をこうやって叩 いてゆけば軽い音がする場所を穿 てば通路になります」
「わかった。くるんくるん気をつけろ。魔女はお前を狙っていた」
「ええ貴女 もお気をつけなさい」
そう言ってイルミは少女のみ頬 に手のひらで触れその手を引いた。
アイリは氷づけの標本が置いてあった部屋をすべて調べて周り出入り口がないとなると通路に出て壁を叩 き始めた。
剣 の握り手の 尻で壁をこんこんしてまわるアイリに二部屋分離れイルミ・ランタサルらは付いてまわった。
半時ほど調べると音の軽い壁をみつけアイリは剣 を引き抜くと壁から離れ長剣 を振り回し始めた。その刃 が見えなくなった直後、白銀の帯がアイリの背後から伸びて軽い音を立てた壁へ刃口 を振り向けた。
轟音が響き廊下の壁が崩れるとそこに部屋があった。
アイリは剣 引き抜いたままその部屋を覗き込み驚き顔になり横を振り向きイルミ・ランタサルらを呼んだ。
「来て見ろよ」
距離をおいていたイルミらが廊下の壁に穴開いた場所へ行くと中を覗き込んだ。
また、氷づけの標本が並べられていた。
人が入ったものや、獣が氷づけになったものもあった。
なにが狙いでこんなことをするとイルミ王妃 は顔を強ばらせその際 からヘルカやテレーゼらが覗き込み唸 った。
「皆 で壊しましょう」
そう命じるとアイリらは室内に入り片っ端から氷づけの標本を壊し始めると5つ部屋に渡る標本を壊しきる前に銀眼の魔女が姿あらわした。
だが困惑したのは銀眼の魔女が襲ってこなかったことだった。
もう
それが疲れからか意識に重くのしかかってくる。
襲いかかってきた複数の銀眼の魔女をアイリの活躍で退けたもののこの人数で魔女成敗に訪れたことに不満が居座った。
「幻覚のくせに」
言い捨てたヘルカ・ホスティラにイルミ・ランタサルが言い聞かせた。
「ヘルカ、襲ってきた魔女らは幻覚ではありませんよ。
それをわかっているからこその不満をあらわした表情にアイリが気づかった。
「ヘルカ、頑張って早く帰れるようにしよう」
その気づかいを女騎士は理解し少女に
「
イルミ
「あの双子のような魔女の一群は魔法によるものかもしれない。最大10人いたが残った数人が合わさり1体の魔女になった──」
それをアイリは年長者の意見だと
「──最初は複数いるのが幻覚だと思ったが幻覚とは
「たとえ銀眼の魔女が先の3倍で来てもアイリが勝てる」
それを聞きイルミ・ランタサルが群青の少女に聞いた。
「アイリ、あなたはさらに速く動けているようですが何かあったのですか?」
「天使様が
「あ、アイリ────あ、あなたどうやって天使様の力を────」
「今はそんなこと関係ない。あの魔女を倒すことが先決だよ」
「
そう提案したのはヘルカ・ホスティラだった。
「我と
聞いていたアイリが唇をねじ曲げた。
「
ノッチがそう言い出しイルミ・ランタサルは妻を危険にさらすのかと眼を丸くした。
「ああ、いいよ」
────☆─☆─☆────
「いいですかアイリ。この城の作りは普通のものに合わせていません。他の部屋にいたる出入り口は我々で見つけなくてはなりません。壁をこうやって
「わかった。くるんくるん気をつけろ。魔女はお前を狙っていた」
「ええ
そう言ってイルミは少女のみ
アイリは氷づけの標本が置いてあった部屋をすべて調べて周り出入り口がないとなると通路に出て壁を
半時ほど調べると音の軽い壁をみつけアイリは
轟音が響き廊下の壁が崩れるとそこに部屋があった。
アイリは
「来て見ろよ」
距離をおいていたイルミらが廊下の壁に穴開いた場所へ行くと中を覗き込んだ。
また、氷づけの標本が並べられていた。
人が入ったものや、獣が氷づけになったものもあった。
なにが狙いでこんなことをするとイルミ
「
そう命じるとアイリらは室内に入り片っ端から氷づけの標本を壊し始めると5つ部屋に渡る標本を壊しきる前に銀眼の魔女が姿あらわした。
だが困惑したのは銀眼の魔女が襲ってこなかったことだった。