第10話 第二騎兵偵察小隊
文字数 1,843文字
その
「イルミさん、あなたのその
「それなりに苦労したからよ」
アグネスは不満に感じた。自分だって苦労はした。王制を打倒された訳でないイルミ
「どんな苦労をすれば────」
イルミが苦笑いした。
「
「イルミ、アイリをわたくしにください」
「へっ!? だめよ」
「いえ、しばらく預けて頂けたらわたくしも
イルミ・ランタサルは片唇を吊り上げた。
「
「ええ、アイリやヘルカがいてくれたからです」
アグネスは力説し続けた。
「じゃあもう修練は必要ないわよね」
「いえ、イルベ連合が攻めてくるなんて想定外でした」
食い下がってくるとイルミは思った。
「
「その先読みの力が必要なんです」
あ──っ、話がぐるぐると一回りしてるとイルミは思った。
「ではアイリを半分貸しましょう」
アグネスは唇をあんぐりと開いてイルミを見つめた。この人はからかっているのか。
「半分って──人ですよ。半分なんかに────」
イルミ・ランタサルは右手を振り上げアグネスの眼の前で昆虫の前腕のように複雑に指を折り曲げ伸ばした。
「半分お貸しするわ」
新入りの兵は色々と
「なんだお前その髪は!? 女の気を引くために
ノッチは兵士のからかいにムッとした面もちになった。その態度に古参の兵はさらにからかった。
「お前、筋肉あるのか。
寸秒、凄まじい勢いで身長ほどもある
「ノッチ・ライハラ。ちょっと来い」
ノッチが座ったばかりの席を立ち連隊長の
「休んでよろしい。ノッチ、
「負け知らずであります」
それを聞いて連隊長は笑い声を上げた。
「そうか自信大いに結構。ところでだ、偵察騎兵の役割はわかるな」
「前線よりも敵陣に肉迫しその規模動向を探り、時には威力偵察で敵の能力を探ることにあります」
「よし、お前を今日から第二騎兵偵察小隊に配属する。役割を果たせ」
「了解であります」
「さっそくだが荷をまとめろ。任務だ。所属小隊へ行け」
ノッチは支給品をまとめると兵舎を出た。そうして
「第二騎兵偵察小隊に配属になりました。こちらでよろしいでありますか!?」
「小隊長のエリアス・ラウハラだ」
名乗りをあげた小隊長は次々に隊員らを紹介しノッチに馬を選びあたえ荷をまとめ出陣の用意を命じた。
「これから北西のイモルキへ向かう。目的はイモルキ軍の動向を探ることだ。索敵は隠密で。接触はなしだ」
イモルキと聞いてノッチは一瞬驚いた。アイリ・ライハラに関係してくる。
「了解であります」
そう返事し彼は適当に馬を選び荷を
兵士らは
「イモルキ近郊へ向かいイモルキ軍の動向を探る。索敵は隠密で威力偵察ではない。乗馬!」
一斉に
ノッチは
こいつらアイリ・ライハラに
第二騎兵偵察小隊のルートにアイリ・ライハラとヘルカ・ホスティラが走っていた。
「アイリ! もうイルベ連合の街に近い。馬を下りて歩こう」
そう女騎士が言うと
ヘルカ・ホスティラも同じように馬を解放すると2人は荷を背負いイルベ連合の街へと向かい歩き始めた。
「警備兵に
そう少女が念押しし
いざとなれば
彼女たちは