第14話 売られる先
文字数 1,711文字
ああ、このまま身代金目当てに酷い扱いをうけて哀 れな姿でぼったくるのかな────。
で、金取るだけ取って解放されずに奴隷市場に素っ裸で────────。
「助けてぇ~~~~~ぇえ! だぁれかぁあああぁ!」
身ぐるみ剥 がされ藁 を縄 で胴体に縛 りつけた女異端審問司祭ヘッレヴィ・キュトラが木を組み合わせた格子にしがみついて喚 くと近くにいた柄の悪い男が外に立てかけてある長棒をつかんで顔に打ち込んだ。
「うるせぇぞてめぇ! 大人しくしてぇろぉ!」
後頭部から硬い地面に落ちて頭を両手で抱え込んでヘッレヴィは喚 いた。
「いたたたたぁ! 何てことを! 天罰が下りま────!!!」
顔に棒が食い込んで女異端審問司祭は顔面を両手で押さえて呻 いた。
「鼻血垂らしながらうるせいぞてめぇ!」
男が立ち去ると同じ牢 にいる女異端審問司祭と同じ成りの裏の魔女キルシが介抱に寄ってきた。
「大丈夫ですか、ヘッレヴィさん」
「だ、大丈夫よ、イルミ。殺されるかと思った──わ。何とかしてここから逃げ出さないと、私 達、身体ばかりにイヤらしい視線を向けてくる城主の元に売られてしまうわ」
「城主ならまだいいですが、毎夜毎夜手を出してくる安酒場の親父が────」
眼を丸くしたヘッレヴィが呆れて言い返した。
「イルミ、あなた記憶なくしている割にそういうことはしっかり覚えているのね」
「もっと酷いのなら、超ミニのメイド服着せられてテーブル席の間の通路がカウンター並みに高くなっている、ノーパン──」
慌 てて大人の女は小娘の口を押さえ込んだ。爆轟に巻き込まれ気づいたらアイリ・ライハラは見つからず、記憶喪失の小娘と盗賊ら大して抵抗もできず捕まり悪人らの山にある隠れ城に連れてこられた。早く逃げ出しアイリを探しこの山に盗賊の根城があると本国に報せ、兵を向かわせなければ。
恨 めしそうに彼女が格子を見つめていると背後でボンと音がしてドサッと何かが地面に落ちた気配に驚いて他に誰も居ないはずの牢 の中で異端審問司祭とイルミと名付けられた記憶喪失の小娘が振り向いた。
「痛てぇぇぇぇ!」
奥の土壁の傍 にアイリ・ライハラと────紫の甲冑 を着た知っている女騎士が絡まるようにひっくり返っていた。
ま、マカイのシーデ!!!
ヘッレヴィ・キュトラは両腕振り上げて驚いた。四肢バラバラにされて死んだはずのものがどうして生きているの!?
「あぁ? ここどこだぁ?」
地面に顔を打ちつけた少女が頬 をさすりながら腕をついて上半身を起こしながらボヤいた。
「アイリ!? どうやって牢 に入ったのですか?」
ヘッレヴィが問いかけると少女が怪訝 な顔つきになった。
「? なんだよヘッレヴィその格好。物貰 いだと思ったぞ」
女異端審問司祭は藁 を巻いた胸を手で押さえて弁解した。
「ち、違います! 盗賊に身包 み剥 がされたので寝床用の藁 を巻いているだけです!」
2人のやり取りに地面に両手をついて上半身を起こしたテレーゼ・マカイが顔を振り向けた。
「聞いた声だと思ったら異端審問官じゃないか。なんだそのみすぼらしい格好は?」
マカイの双子の片割れに問われヘッレヴィは問い返した。
「貴女 こそ! 貴女 はどうして生きてるんですか!? 戦 で亡くなったはずなのに!? さては悪魔の仕業 !?」
「悪魔? 久しぶりにそう呼ばれたなぁ。この小娘にハデスの地から掠 われて来たんだよ」
アイリの肩に手をかける女騎士をまざまざと見つめ、ハデス!? 死者の国!? とヘッレヴィ・キュトラは眼を丸くし口を開いたまま呆れかえった。
死者の国から戻る術があるなどと知れ渡ったら大陸中大騒ぎになるだろう。だが今はそれよりもここから逃げだすことが先決。
「アイリさん、ここから逃げ出さないと奴隷商人に売られてしまうわ」
ヘッレヴィがそう言うと眉根しかめ立ち上がった少女は木製の格子へ行き蹴り飛ばした。だが軽いアイリの蹴りはで軋 んだだけで壊れそうにもない。
「私に任せてくれるか」
テレーゼ・マカイがそう言うとアイリ・ライハラは慌 てて格子から離れてヘッレヴィとイルミと名付けた記憶喪失の少女を壁に押しやった。
直後、マカイの双子の片割れが叫ぶと爆轟を放ち格子が吹き飛んだ。
で、金取るだけ取って解放されずに奴隷市場に素っ裸で────────。
「助けてぇ~~~~~ぇえ! だぁれかぁあああぁ!」
身ぐるみ
「うるせぇぞてめぇ! 大人しくしてぇろぉ!」
後頭部から硬い地面に落ちて頭を両手で抱え込んでヘッレヴィは
「いたたたたぁ! 何てことを! 天罰が下りま────!!!」
顔に棒が食い込んで女異端審問司祭は顔面を両手で押さえて
「鼻血垂らしながらうるせいぞてめぇ!」
男が立ち去ると同じ
「大丈夫ですか、ヘッレヴィさん」
「だ、大丈夫よ、イルミ。殺されるかと思った──わ。何とかしてここから逃げ出さないと、
「城主ならまだいいですが、毎夜毎夜手を出してくる安酒場の親父が────」
眼を丸くしたヘッレヴィが呆れて言い返した。
「イルミ、あなた記憶なくしている割にそういうことはしっかり覚えているのね」
「もっと酷いのなら、超ミニのメイド服着せられてテーブル席の間の通路がカウンター並みに高くなっている、ノーパン──」
「痛てぇぇぇぇ!」
奥の土壁の
ま、マカイのシーデ!!!
ヘッレヴィ・キュトラは両腕振り上げて驚いた。四肢バラバラにされて死んだはずのものがどうして生きているの!?
「あぁ? ここどこだぁ?」
地面に顔を打ちつけた少女が
「アイリ!? どうやって
ヘッレヴィが問いかけると少女が
「? なんだよヘッレヴィその格好。
女異端審問司祭は
「ち、違います! 盗賊に
2人のやり取りに地面に両手をついて上半身を起こしたテレーゼ・マカイが顔を振り向けた。
「聞いた声だと思ったら異端審問官じゃないか。なんだそのみすぼらしい格好は?」
マカイの双子の片割れに問われヘッレヴィは問い返した。
「
「悪魔? 久しぶりにそう呼ばれたなぁ。この小娘にハデスの地から
アイリの肩に手をかける女騎士をまざまざと見つめ、ハデス!? 死者の国!? とヘッレヴィ・キュトラは眼を丸くし口を開いたまま呆れかえった。
死者の国から戻る術があるなどと知れ渡ったら大陸中大騒ぎになるだろう。だが今はそれよりもここから逃げだすことが先決。
「アイリさん、ここから逃げ出さないと奴隷商人に売られてしまうわ」
ヘッレヴィがそう言うと眉根しかめ立ち上がった少女は木製の格子へ行き蹴り飛ばした。だが軽いアイリの蹴りはで
「私に任せてくれるか」
テレーゼ・マカイがそう言うとアイリ・ライハラは
直後、マカイの双子の片割れが叫ぶと爆轟を放ち格子が吹き飛んだ。