第8話 ここ掘れわんわん
文字数 2,044文字
な、なんでベッドが空を────!?
影に気がついて顔を振り上げたアイリ・ライハラの動きに女騎士ヘルカ・ホスティラと謎の剣士を偽っているテレーゼ・マカイも顔を上げて浮いているはずのないものに顔を強ばらせた。
ベッドサイドから黒い長髪を垂らした小娘がひょこっと顔を覗 かせその3人の中央で見上げている女騎士が年齢こそ違えアイリ・ライハラ本人だと見抜き困惑した。
な、なんであの小憎たらしい小娘がちょっと見かけぬ間 に大人になっているのだと最悪の魔女キルシはベッドの縁についた黒爪の指を握りしめた。
もしかしたら記憶が飛んでる間に十年近くも時間が経ってしまったのかと考えそれもこれもあの小憎たらしい小娘に闘技場 で頭を剣 で斬 られたせいだと思い出し魔女は歯ぎしりした。
「陰の権力ゼルコダ──闇の知恵ハニーサックル──巫蠱 の棘 刺すように血の実を結ぶタクサス・コスピデータ────」
キルシが爆裂魔法を詠唱 し始めると真っ先に真ん中にいたアイリ・ライハラが丘裾 へ逃げ始め、追いかけるようにヘルカとテレーゼが立ち上がりきびす返して走りだし他の騎士や兵らも散りぢりに逃げだした。
逃げても無駄だぁ! 我の爆裂魔法は遠距離でも使えるんだ!
そう思念を乱したまま最悪の魔女が詠唱 を終わり地上で爆発が起きた。
アイリら3人を大きく右後ろに外し地面から爆轟を響かせ土砂が噴き上がった。 驚いた地上の3人は急に左へ向きを変えさらに速く走りだしキルシが乗るベッドが通り過ぎ引き返して向きを変え追いかけ2発目の攻撃魔法を放った。
その爆音にキルシから掠 われあまりにも暴れるので魔法で気絶させられていたアイリの父クラウス・ライハラが目を覚ました。
2発目も外したキルシは連続詠唱 で3発目を放とうとした刹那 、アイリの父に尻を蹴られベッドから落ち掛かりベッドの縁に必死でしがみついた。
それを最悪の魔女の手をベッドからふり解こうとアイリの父が指をつかんで引き剥 がそうとし始めたその時、次の爆裂魔法をどこに落とそうとしてるかアイリ・ライハラが確かめようと振り向いて仰天した。
!!!???
なっ、なんで親父 がキルシと一緒にいるんだぁ!
しかも落ち掛かった魔女を引き上げようと手を貸しているし!
「アイリ! あのベッドの上から魔法を放っている小娘──実家に連れて行った小娘じゃないのか!?」
懸命に走るテレーゼ・マカイが顔を覆ったスカーフが飛ばぬよう片手で押さえてアイリに尋 ねた。
「だ、かぁ、らぁ! あいつ裏の魔女キルシだって何度も言ったじゃん!」
それを聞いたヘルカ・ホスティラが怒り始めた。
「やはりキルシなのか!? 似ていると思ったが、アイリ・ライハラ! 貴君はイルミ王女暗殺をし損ねたあの魔女を何で実家に連れて行ったのだぁ!? あいつは闘技場 で貴君に刺し殺されたのではなかったのかぁ!?」
直後、3人のすぐ後ろで爆発し土砂が噴き上がりアイリらは一斉に右へ向きを変えてだだ走りした。
何でと聞かれても魔女だから生き返ったとしか言いようがないじゃないか! とぜえぜえ言いながらアイリは眼を游 がせた。
アイリらが他の騎士らの方へ走るとその騎士らは向かって来る元凶に罵声を浴びせ散りぢりになる。甲冑 を着込んで速く走れるのは体力の勝るヘルカ・ホスティラと軽い材料で作られたものを身につけるアイリとテレーゼ・マカイだけだった。
アイリは足の遅い男らに追いつきかかり邪魔だとばかりに左へぷいと向きを変えた。
寸秒、大きな音がして男騎士4人が土砂と共に空に叩き上げられた。
「馬鹿者ぉ! アイリ! 貴君は我が陣営に損害を出しているぞ!」
振り向いたヘルカ・ホスティラがアイリに怒鳴った。
「じゃあ一緒に吹き飛ばされるのかよ!?」
アイリが言い返しているとすぐ近くで爆発が起きてテレーゼ・マカイがいなくなり上空で喚 き声が聞こえた。
見上げたアイリとヘルカは上空に小さくなったテレーゼ・マカイをみつけアイリが女騎士に念押しした。
「見ろよ! 一歩間違うとああなるんだぞ!」
ヘルカ・ホスティラは青ざめてアイリ・ライハラを引き離し始めた。その背中を見つめイルブイが攻めて来てるのにこんなことをしてる場合じゃないとアイリは参謀に怒鳴った。
「ヘルカぁ! 逃げ回ってると蛮族らがやって来る! お前と俺とで剣 を投げつけあの魔女を倒すぞ!」
急に立ち止まった女騎士の背中にぶつかりアイリは顔を歪 めた。振り返ったヘルカ・ホスティラが大剣 を引き抜き豪腕で追いかけてきたベッド目掛けて投げつけた。
アイリもぜえぜえ言いながら振り向き双刀の1口 を引き抜くなり身体を回転させ投げあげた。
ベッドの腹板に大剣 と長剣 が突き刺さり激しく揺れた。
「ダメじゃんヘルカぁ! どこ狙 ってんだぁ!」
「アイリ! 貴君こそベッドの下で揺れているのは何だ!」
2人の傍 にテレーゼ・マカイが墜ちてきてアイリとヘルカは驚いて飛び退いたらその中央で爆轟が鳴り響き3人は土砂もろとも噴き上げられてしまった。
影に気がついて顔を振り上げたアイリ・ライハラの動きに女騎士ヘルカ・ホスティラと謎の剣士を偽っているテレーゼ・マカイも顔を上げて浮いているはずのないものに顔を強ばらせた。
ベッドサイドから黒い長髪を垂らした小娘がひょこっと顔を
な、なんであの小憎たらしい小娘がちょっと見かけぬ
もしかしたら記憶が飛んでる間に十年近くも時間が経ってしまったのかと考えそれもこれもあの小憎たらしい小娘に
「陰の権力ゼルコダ──闇の知恵ハニーサックル──
キルシが爆裂魔法を
逃げても無駄だぁ! 我の爆裂魔法は遠距離でも使えるんだ!
そう思念を乱したまま最悪の魔女が
アイリら3人を大きく右後ろに外し地面から爆轟を響かせ土砂が噴き上がった。 驚いた地上の3人は急に左へ向きを変えさらに速く走りだしキルシが乗るベッドが通り過ぎ引き返して向きを変え追いかけ2発目の攻撃魔法を放った。
その爆音にキルシから
2発目も外したキルシは連続
それを最悪の魔女の手をベッドからふり解こうとアイリの父が指をつかんで引き
!!!???
なっ、なんで
しかも落ち掛かった魔女を引き上げようと手を貸しているし!
「アイリ! あのベッドの上から魔法を放っている小娘──実家に連れて行った小娘じゃないのか!?」
懸命に走るテレーゼ・マカイが顔を覆ったスカーフが飛ばぬよう片手で押さえてアイリに
「だ、かぁ、らぁ! あいつ裏の魔女キルシだって何度も言ったじゃん!」
それを聞いたヘルカ・ホスティラが怒り始めた。
「やはりキルシなのか!? 似ていると思ったが、アイリ・ライハラ! 貴君はイルミ王女暗殺をし損ねたあの魔女を何で実家に連れて行ったのだぁ!? あいつは
直後、3人のすぐ後ろで爆発し土砂が噴き上がりアイリらは一斉に右へ向きを変えてだだ走りした。
何でと聞かれても魔女だから生き返ったとしか言いようがないじゃないか! とぜえぜえ言いながらアイリは眼を
アイリらが他の騎士らの方へ走るとその騎士らは向かって来る元凶に罵声を浴びせ散りぢりになる。
アイリは足の遅い男らに追いつきかかり邪魔だとばかりに左へぷいと向きを変えた。
寸秒、大きな音がして男騎士4人が土砂と共に空に叩き上げられた。
「馬鹿者ぉ! アイリ! 貴君は我が陣営に損害を出しているぞ!」
振り向いたヘルカ・ホスティラがアイリに怒鳴った。
「じゃあ一緒に吹き飛ばされるのかよ!?」
アイリが言い返しているとすぐ近くで爆発が起きてテレーゼ・マカイがいなくなり上空で
見上げたアイリとヘルカは上空に小さくなったテレーゼ・マカイをみつけアイリが女騎士に念押しした。
「見ろよ! 一歩間違うとああなるんだぞ!」
ヘルカ・ホスティラは青ざめてアイリ・ライハラを引き離し始めた。その背中を見つめイルブイが攻めて来てるのにこんなことをしてる場合じゃないとアイリは参謀に怒鳴った。
「ヘルカぁ! 逃げ回ってると蛮族らがやって来る! お前と俺とで
急に立ち止まった女騎士の背中にぶつかりアイリは顔を
アイリもぜえぜえ言いながら振り向き双刀の
ベッドの腹板に
「ダメじゃんヘルカぁ! どこ
「アイリ! 貴君こそベッドの下で揺れているのは何だ!」
2人の