第14話 生き返り
文字数 1,696文字
ああ、なんてことだ!?
デアチ国の領土を奪えと送り出された先で寄りにもよって命を堕とすとは!
イルブイの女大将ヒルダ・ヌルメラは青ざめて途方に暮れた。
「大将──どうされたんです。遅れると生き返りのチャンスを逃しやすよ」
そ、そうだ。この一兵卒が言ったことをあまりの状況に取り忘れていた。
「ど、どうやって生き返れるのだ!?」
男は手を振って苦笑い浮かべた。
「そんなことは知りやせんよ。なんでもデアチ国の兵士が言うには大将のアイリ・ライハラが帰り道を知っとるとかで」
く、くそう敵の大将を頼 りにするとは────そうじゃない。どうして帰り道を知ってるのだ!? もしかして黄泉から生き返ったことがあるのか!? とヒルダは驚いた。
「で、あいつらはどこへ行った?」
大将が問うと今度はその男が青ざめた。
「ひぃぃぃ、長話してたんで見失ったじゃないですか!」
霧の森を勝手知ったる風にストスト歩くアイリ・ライハラの背姿に数百名の男らの先頭をゆくテレーゼ・マカイが尋ねた。
「アイリ、こう度々、黄泉から抜け出してたら天罰が下らないか? しかも今回はこんなに大勢」
アイリが歩きながら振り向いて応えた。
「下るわけないじゃん。裏道だもん。それに1人でも沢山でもやってることは同じじゃん」
その会話に女剣士の横を歩くヘルカ・ホスティラが口を差し挟んだ。
「度々──とは貴君もアイリに救い出された口か」
「ああ、2度目だ」
女騎士ヘルカ・ホスティラは胸を張った。
「我も2度目だ!」
「偉 そうに威張るな。2度もどじ踏んだんだろうが」
「貴君も2度だろうが」
「これだから脳筋は! 2度の意味が違う!」
後ろの罵 り合いにアイリは眉根寄せた。
「うるさいな! 2人ともおいてくぞ! 騒ぐと苦悩の河 の主 が連れ去りに来るからな!」
アイリに怒られ2人ともそれは困ると口喧嘩を止めてしまった。2人に比べて男らの方が大人しい。デアチ兵よりも蛮族と言われてる連中が静かだった。
「ばっ !!」
3人揃ってハモってしまいアイリが歳嵩 の2人に譲った。
「なんだよ『ば』って」
「参謀長から言えよ」
「蛮族ら、生き返らせて刃向かってこないか? どうして助ける?」
ヘルカ・ホスティラが胸の内をさらけだした。
「まだ世界は生きてるから。世界が自分を形作るから」
アイリ・ライハラの気概に女騎士と剣士は顔を唖然とした顔を見合わせた。
その会話が聞こえていたイルブイ国の騎士団長ウリヤス・プリユラは恥を知った。我が将ヒルダ・ヌルメラは強かったが、倫理なきがそれだけだった。だがその強さも魔導師 の爆豪に命堕とすではないか。
軍国デアチに何があったか知らぬが、若いこの将が取りまとめきっている理由が垣間 見えた思いだった。
剣の鞘 で叩 かれアイリ・ライハラが頭押さえてテレーゼ・マカイに怒鳴り返した。
「な、なにしやがる!?」
「お前の如 き小便臭い小娘が唱える道理じゃない」
「そ、その小娘に頼 らぬと元の世界に戻れないじゃん!」
「お前、ちょっと生き返りの法を知ってるからと驕 ってないか?」
ふん、と笑っていきなり立ち止まったアイリ・ライハラが空中に手を突っ込んで右腕の肘 先が見えなくなってテレーゼ・マカイは顔を強ばらせた。
「ここだぁ」
そう告げた見てくれ19の小娘がいきなり見えない門を潜り抜け消え、ヘルカ・ホスティラは振り向き皆 に告げた。
「皆 、ここに生還の門がある! 順番に入れ!!」
そうしてテレーゼ・マカイへ顔を向け頼んだ。
「貴君が先に行って戻り先を確保してくれ」
まずデアチ国の騎士と兵を送り出し、それから半捕虜のイルブイ国の兵士らをこの世に返すと女騎士が最後に門をくぐろうとした矢先、大声で呼び止められた。
「待ってくれ! 我々も頼 む!」
ヘルカ・ホスティラが振り向くとイルブイの甲冑 を着た騎士と一兵卒が駆けてきた。
「本当に生き返られるのか!?」
「ああ、できるが捕虜となるぞ」
「我々も頼む」
女騎士は手招きで来いと合図しアイリ・ライハラの見つけた門をくぐった。
その光る出口から抜け出ると数え切れないほどの兵士らに取り囲まれており、ヘルカ・ホスティラは何事だと眼を游 がせた。
デアチ国の領土を奪えと送り出された先で寄りにもよって命を堕とすとは!
イルブイの女大将ヒルダ・ヌルメラは青ざめて途方に暮れた。
「大将──どうされたんです。遅れると生き返りのチャンスを逃しやすよ」
そ、そうだ。この一兵卒が言ったことをあまりの状況に取り忘れていた。
「ど、どうやって生き返れるのだ!?」
男は手を振って苦笑い浮かべた。
「そんなことは知りやせんよ。なんでもデアチ国の兵士が言うには大将のアイリ・ライハラが帰り道を知っとるとかで」
く、くそう敵の大将を
「で、あいつらはどこへ行った?」
大将が問うと今度はその男が青ざめた。
「ひぃぃぃ、長話してたんで見失ったじゃないですか!」
霧の森を勝手知ったる風にストスト歩くアイリ・ライハラの背姿に数百名の男らの先頭をゆくテレーゼ・マカイが尋ねた。
「アイリ、こう度々、黄泉から抜け出してたら天罰が下らないか? しかも今回はこんなに大勢」
アイリが歩きながら振り向いて応えた。
「下るわけないじゃん。裏道だもん。それに1人でも沢山でもやってることは同じじゃん」
その会話に女剣士の横を歩くヘルカ・ホスティラが口を差し挟んだ。
「度々──とは貴君もアイリに救い出された口か」
「ああ、2度目だ」
女騎士ヘルカ・ホスティラは胸を張った。
「我も2度目だ!」
「
「貴君も2度だろうが」
「これだから脳筋は! 2度の意味が違う!」
後ろの
「うるさいな! 2人ともおいてくぞ! 騒ぐと
アイリに怒られ2人ともそれは困ると口喧嘩を止めてしまった。2人に比べて男らの方が大人しい。デアチ兵よりも蛮族と言われてる連中が静かだった。
「ばっ !!」
3人揃ってハモってしまいアイリが
「なんだよ『ば』って」
「参謀長から言えよ」
「蛮族ら、生き返らせて刃向かってこないか? どうして助ける?」
ヘルカ・ホスティラが胸の内をさらけだした。
「まだ世界は生きてるから。世界が自分を形作るから」
アイリ・ライハラの気概に女騎士と剣士は顔を唖然とした顔を見合わせた。
その会話が聞こえていたイルブイ国の騎士団長ウリヤス・プリユラは恥を知った。我が将ヒルダ・ヌルメラは強かったが、倫理なきがそれだけだった。だがその強さも
軍国デアチに何があったか知らぬが、若いこの将が取りまとめきっている理由が
剣の
「な、なにしやがる!?」
「お前の
「そ、その小娘に
「お前、ちょっと生き返りの法を知ってるからと
ふん、と笑っていきなり立ち止まったアイリ・ライハラが空中に手を突っ込んで右腕の
「ここだぁ」
そう告げた見てくれ19の小娘がいきなり見えない門を潜り抜け消え、ヘルカ・ホスティラは振り向き
「
そうしてテレーゼ・マカイへ顔を向け頼んだ。
「貴君が先に行って戻り先を確保してくれ」
まずデアチ国の騎士と兵を送り出し、それから半捕虜のイルブイ国の兵士らをこの世に返すと女騎士が最後に門をくぐろうとした矢先、大声で呼び止められた。
「待ってくれ! 我々も
ヘルカ・ホスティラが振り向くとイルブイの
「本当に生き返られるのか!?」
「ああ、できるが捕虜となるぞ」
「我々も頼む」
女騎士は手招きで来いと合図しアイリ・ライハラの見つけた門をくぐった。
その光る出口から抜け出ると数え切れないほどの兵士らに取り囲まれており、ヘルカ・ホスティラは何事だと眼を