第26話 意思の下
文字数 1,804文字
探し集めたら7人も銀眼の魔女──ミエリッキ・キルシがいた。
めんどくさくなりアイリ・ライハラはイルミ王妃 に頼んだ。
「もう、これぐらいでいいだろ? 7人探しても言うこと殆 ど同じじゃん」
7人の銀眼の魔女は着ているものの汚れ具合は違うもののまるで双子のようにそっくりだった。
その誰もが魔法は使えず、自分に殺されたのだと主張するが詳細を尋ねると曖昧で忘れており、皆 数百年この迷いの森にいるらしい。
「どうするんだ?」
そうアイリが王妃 に尋ねるとイルミはまあ待てと少女に告げた。
「戻ってすぐまた魔女の術中に捕らわれると同じことの繰り返しになるのでここで十分に策 を立ててゆきましょう」
策 であれを倒せるなら苦労はしないとアイリは思ったがとりあえずイルミを立てることにした。
「では皆 さん、あれが魔法を使うようになった理由を知らないのですね」
6人のミエリッキ・キルシが口々に知らないと答えたが1人が手を上げてイルミにアピールしたので王妃 は指さした。
「私もしかしたら銀眼の魔女と呼ばれる自分の魔法の力の源 を知ってるかもしれません」
「数百年前のある日、私、海岸を散歩してて流れ星が焔 を上げながら岬 に落ちてきたのです」
イルミだけでなく他のもの達も興味深げに耳を傾けた。
「そしたら浜に奇妙な木が生え始めて、氷の葉がびっしりと生えたキラキラとした変な木です」
アイリは凍りつく結界を思いだした。今、ミエリッキ・キルシが話しているのはあの結界に生えていた凍てついた木々だ。
「私はきっとあの流れ星のせいだと岬 へ見に行ったら抉 れた砂浜にその瓜 ほどの流れ星が半分埋まってました。そしたら突然に風景がパッチワークみたいにバラバラになりだして気を失ったんです」
誰もミエリッキ・キルシに口を差しはさまなく聞き続けた。
「どれくらい倒れていたのか、頬 が冷え込んで目を覚ますともう1人の自分が傍 に倒れていました。そのもう1人が砂浜に埋もれた流れ星を拾い上げ片手に剣 をいきなり出すとそれで襲いかかってきました」
息を呑んだイルミ・ランタサルが説明してるミエリッキ・キルシに尋 ねた。
「それで貴女 は殺され冥府 に墜ちたのですね」
「私は死んでません! こうやって生きてますし」
あぁ、この人は死んだことを受け入れていないんだとアイリ・ライハラは思った。だが銀眼の魔女の力がその流れ星だとなんとなく少女は理解した。きっと流れ星が悪さして分身を創り出したり他の力を与えているんだ。
「逃げ惑った私は背中を刺 され1度倒れたのですが冷気に目を覚ますとまた傍 にもう1人の私が倒れていました────そうやって何度も刺 される間にいつの間にかこの森にいました」
イルミ・ランタサルは視線を落とした。その表情にアイリは流れ星を打ち砕くだけでは駄目なのかと落胆した。
「まずいですわね」
「何でだよぉ! その墜ち星叩 き割りゃいいじゃん!」
アイリ・ライハラが食ってかかるとイルミ・ランタサルが顔を上げた。その冷めきった視線にアイリだけでなく他のものも後退 さった。
「何が問題なんです!? アイリが言うように────」
テレーゼ・マカイが告げている途中イルミ・ランタサルが右腕を上げ手のひらを皆 に向けた。
「ことはそう簡単じゃないわ」
迷いの森の霧 がイルミ・ランタサルを中心に渦を巻いていた。
「その流れ星は場を仕切り変えているのよ。もしも単純に壊したらその岬 から順次──イズイ大陸が崩壊してゆくかもしれない」
「かもしれない、だろ?」
アイリが聞き返すと腕を下ろしたイルミ・ランタサルが頭 振った。
「十中八九間違いないわ。その流れ星の目的はわからないけれどミエリッキ・キルシを大きく変えたなら、その影響下を徐々に────とてもゆっくりだけどイズイ大陸に広げている」
そこまで語りイルミ・ランタサルは言葉を切った。そして僅 かして恐ろしい話をしだした。
「それが流れ星の破壊を切欠 に────お前達の祖国を大陸を破滅に追いやるの────」
アイリ・ライハラはくるんくるんの様子がまずい方向へと向かっていると気づきいきなり駆け込むと帯刀 の握り手の端を鳩尾 へ打ち込み気絶させた。いきなり王妃 に打撃を与えたことでヘルカ・ホスティラはパニックになって剣 を引き抜いた。
倒れかけたイルミ・ランタサルを受けとめたアイリ・ライハラは流れ星を破壊することが単純ではないと気づいた。
自分らはすでに支配下にあるのだ。
めんどくさくなりアイリ・ライハラはイルミ
「もう、これぐらいでいいだろ? 7人探しても言うこと
7人の銀眼の魔女は着ているものの汚れ具合は違うもののまるで双子のようにそっくりだった。
その誰もが魔法は使えず、自分に殺されたのだと主張するが詳細を尋ねると曖昧で忘れており、
「どうするんだ?」
そうアイリが
「戻ってすぐまた魔女の術中に捕らわれると同じことの繰り返しになるのでここで十分に
「では
6人のミエリッキ・キルシが口々に知らないと答えたが1人が手を上げてイルミにアピールしたので
「私もしかしたら銀眼の魔女と呼ばれる自分の魔法の力の
「数百年前のある日、私、海岸を散歩してて流れ星が
イルミだけでなく他のもの達も興味深げに耳を傾けた。
「そしたら浜に奇妙な木が生え始めて、氷の葉がびっしりと生えたキラキラとした変な木です」
アイリは凍りつく結界を思いだした。今、ミエリッキ・キルシが話しているのはあの結界に生えていた凍てついた木々だ。
「私はきっとあの流れ星のせいだと
誰もミエリッキ・キルシに口を差しはさまなく聞き続けた。
「どれくらい倒れていたのか、
息を呑んだイルミ・ランタサルが説明してるミエリッキ・キルシに
「それで
「私は死んでません! こうやって生きてますし」
あぁ、この人は死んだことを受け入れていないんだとアイリ・ライハラは思った。だが銀眼の魔女の力がその流れ星だとなんとなく少女は理解した。きっと流れ星が悪さして分身を創り出したり他の力を与えているんだ。
「逃げ惑った私は背中を
イルミ・ランタサルは視線を落とした。その表情にアイリは流れ星を打ち砕くだけでは駄目なのかと落胆した。
「まずいですわね」
「何でだよぉ! その墜ち
アイリ・ライハラが食ってかかるとイルミ・ランタサルが顔を上げた。その冷めきった視線にアイリだけでなく他のものも
「何が問題なんです!? アイリが言うように────」
テレーゼ・マカイが告げている途中イルミ・ランタサルが右腕を上げ手のひらを
「ことはそう簡単じゃないわ」
迷いの森の
「その流れ星は場を仕切り変えているのよ。もしも単純に壊したらその
「かもしれない、だろ?」
アイリが聞き返すと腕を下ろしたイルミ・ランタサルが
「十中八九間違いないわ。その流れ星の目的はわからないけれどミエリッキ・キルシを大きく変えたなら、その影響下を徐々に────とてもゆっくりだけどイズイ大陸に広げている」
そこまで語りイルミ・ランタサルは言葉を切った。そして
「それが流れ星の破壊を
アイリ・ライハラはくるんくるんの様子がまずい方向へと向かっていると気づきいきなり駆け込むと
倒れかけたイルミ・ランタサルを受けとめたアイリ・ライハラは流れ星を破壊することが単純ではないと気づいた。
自分らはすでに支配下にあるのだ。