第14話 騒がしい夜
文字数 1,760文字
北東のイウネ族の1つ手前の集落に到着したのは陽が落ちてかなりたってからだった。
4人が借りられたのは馬屋に繋がる納屋だった。寝るのはベッドなどなく、積み上げられた
「
ヘルカ・ホスティラが頭下げるのは王家に
「いえ、構いません。屋根があり風に
すまなそうな顔でヘルカはテレーゼへ視線向けると剣士は
「テレーゼ、今夜は交代で
「どうして聞く? 貴公はデアチを属国にしたノーブルの騎士団の上位騎士だぞ。命じればいいだけだ」
「貴殿はすでに剣竜騎士団に所属しておらず、1剣士として
そうヘルカが説明するとテレーゼがため息をついたのでヘルカが理由を
「なぜ気遣いにため息で返す?」
「堅苦しい。アイリ・ライハラはもっとざっくばらんとしてるぞ。貴公を取りまとめる騎士団長じゃないか。そんなことより食事の準備に────」
はぜる音に2人が振り向くとノッチがレンガをかき集め即席の
こいつも腹の中がわからんとヘルカが見つめているとイルミ・ランタサルがヘルカとテレーゼを呼んだ。
何を言われるのかとヘルカはテレーゼと
「襲ってきた銀盤の魔女はあなた方も経験したように妖術だけでなく
ああ、このままねちねちといぢられるのだとヘルカは気が滅入ったが、
突っ走り始めた。
「いいですか、アイリも含めたあなた方が四方を固める中、あの魔女は飛んで来たのでもないのに
そうなのだ。姿でも消して近づいたのかとヘルカは思いそのままをイルミ・ランタサルに意見した。
「
「ヘルカ──お前の頭は
きっつ────っと女騎士は眼を
「姿見せぬとも私らの馬はかなりの速さで駆けていたので、女の──いえ、たとえ伝令の軽脚でも追いつきようがない、と
テレーゼがそう言うと、ヘルカは青ざめ
「
言ってしまってヘルカは自分で
「昨夜、閉じられた小屋に入り込んだ銀盤の魔女は姿消す以外に何らかの方法をこうじているはずです。今日アイリを
「あれはきっと────」
テレーゼが横で何か言いかけた時、後ろからぷすっと音がしてイルミが視線を向けたのと同時にヘルカとテレーゼは半身振り向いた。
アイリの
「そんなことができるわけが────まるで悪魔そのもの────」
「やってるのさ、ルースクース・パイトニサム──銀盤の魔女は────あれは悪魔との契約なぞ必要としない」
「まさか! 場を操る
テレーゼがそう中途半端に言い出し、ヘルカは
わからん!? 場を操る!? 騎士道で考えてわからんものは永遠にわからん!
あ!!!
女騎士ヘルカ・ホスティラは顔を振り上げ
「銀盤はどこにでも出入り口を作れます! 距離も速さも関係ない!」
「生かしておくべきではないわ」