第13話 支配
文字数 1,659文字
「統括官 、密偵 が帰ってはきませぬぞ」
そう議員の1人が噛みついた。
「まだ時は浅い。身勝手なことを言うな!」
「我々はエイラ──あなたの奴隷ではない」
「議会の議席はいつでも入れ替えられるぞ」
統括官 エイラ・メリラハティは抗議するその議員を脅した。
「やってみろ」
エイラに言い切られその議員は統括官 の前に腕を振り上げるとその手首から先が硬毛に被われ爪が黒々と豹変し鋭く伸びた。
「貴様につく議員は半数にも満たないぞエイラ」
エイラはため息つくと異をとなえる議員を諭 そうとした。
「人を支配して96年、議会制を利用し押さえてきた。粛々 と人の手段で勢力図を塗り替えてきた。その拮抗 が破られそうだという時に協和を乱し権力を得ようというのか」
男の議員は鼻が突き出し牙が伸び始め唸 り声を放ちだした。
「種族の長 に牙を見せる意味を思い起こさせたいか」
豹変しようとしている男が後退 さった。
「どうだ!? 試してみるか?」
そうエイラ・メリラハティがけしかけ虹彩が縦に収縮した。
一気に男の変貌が影を潜めた。
評議会室にいる11人の男らは俯 いて視線を逸らした。
エイラは議会室を後にすると情報調査隊の部所に足を運んだ。
「イモルキへ送り込んだ密偵 からの定時報告が途切れてどれくらいだ」
「二時半(:約5時間)です」
密偵 が捕まったとみる方が正しいか──その場合、イモルキの軍事侵攻を招く恐れがあった。
1人の兵が駆け込んできて情報調査部局の皆 が振り向いた。
「伝書鳩です! イモルキはまだ侵攻の準備にあらず!」
エイラ・メリラハティ統括官 は胸をなで下ろした。
攻め込むのは我々だ。
配下の人を増やせば我々は潤 う。
アイリは宿の女将に尋 ねた。
「ここら辺で地図を売ってる店を知らないか」
「あぁそれなら並びの6軒先の雑貨屋にあるよ」
アイリは宿を出て雑貨屋を尋 ねた。
「すみません城下町の地図はありますか」
そうアイリが雑貨屋の主 に尋 ねると主人はすぐに筒状に丸めた紙をさしだした。
アイリは広げて確かめた。確かに城下町の地図だった。
「この辺りを詳しく書いたものってあるか?」
そう言ってアイリは庁舎を指さした。
「ああ、案内図のチラシなら確かあったな」
そう言って主人は棚を探すとすぐにチラシを見つけた。
「地図を買ってくれるならチラシは付けとくよ」
「いくら?」
「1200デリ」
アイリは銅貨で払い地図とチラシを持ち帰るとヘルカが出迎えた。
「ありましたか」
2人は部屋に戻るとテーブルに地図を広げた。
「まず庁舎の場所だ」
地図を見回し中心地区にそれらしい建物を見つけアイリが指さした。
「そう遠くないな。次は統括官 室か議会室を頭に入れよう」
アイリは地図に庁舎のチラシを載せ置いた。
庁舎は城と同じほどの敷地だった。3階まであり同じ間取りの部屋ばかりだが名称が書かれているのは1階だけだった。
「アイリ、これじゃあわからん。当日職員に聞いたらどうだ?」
「素直に教えてくれるかな」
だが聞く以外に方法はなさそうだった。
「まあ、明日訪 ねてみよう」
ヘルカはしばらくチラシを見つめアイリに尋 ねた。
「明日、攻め入るのか?」
「状況次第さ。統制官だっけ。見つけたらひぃひぃ言わせる」
ひぃひぃかとヘルカは苦笑いした。明日は襲撃し籠城 になりそうだと思った。
「アイリ、今夜はゆっくりと休んでおこう」
そうヘルカに言われアイリは頷 くと椅子からベッドに足を延ばした。
エイラ・メリラハティ統括官 は伝書鳩の足に付けられていた伝文を指の間に転がしながら、イモルキを攻略すべきか統括官 室で椅子にもたれ考えていた。
このままイモルキに先手を取られノーブルと西のイルブイに攻め込まれたら連合はひとたまりもないだろう。
だがイモルキに攻め込みその隙 を突かれるとも考えられる。
ここまで順調に人を操ってきた。
何に躓 いたとエイラは思案した。密偵 がまずかったのかと考えまだ露見してないことにそれを否定した。
それにあの銀眼の魔女の狙いは何だとエイラは思った。
アイリ・ライハラ────青髪の少女──か。
そう議員の1人が噛みついた。
「まだ時は浅い。身勝手なことを言うな!」
「我々はエイラ──あなたの奴隷ではない」
「議会の議席はいつでも入れ替えられるぞ」
「やってみろ」
エイラに言い切られその議員は
「貴様につく議員は半数にも満たないぞエイラ」
エイラはため息つくと異をとなえる議員を
「人を支配して96年、議会制を利用し押さえてきた。
男の議員は鼻が突き出し牙が伸び始め
「種族の
豹変しようとしている男が
「どうだ!? 試してみるか?」
そうエイラ・メリラハティがけしかけ虹彩が縦に収縮した。
一気に男の変貌が影を潜めた。
評議会室にいる11人の男らは
エイラは議会室を後にすると情報調査隊の部所に足を運んだ。
「イモルキへ送り込んだ
「二時半(:約5時間)です」
1人の兵が駆け込んできて情報調査部局の
「伝書鳩です! イモルキはまだ侵攻の準備にあらず!」
エイラ・メリラハティ
攻め込むのは我々だ。
配下の人を増やせば我々は
アイリは宿の女将に
「ここら辺で地図を売ってる店を知らないか」
「あぁそれなら並びの6軒先の雑貨屋にあるよ」
アイリは宿を出て雑貨屋を
「すみません城下町の地図はありますか」
そうアイリが雑貨屋の
アイリは広げて確かめた。確かに城下町の地図だった。
「この辺りを詳しく書いたものってあるか?」
そう言ってアイリは庁舎を指さした。
「ああ、案内図のチラシなら確かあったな」
そう言って主人は棚を探すとすぐにチラシを見つけた。
「地図を買ってくれるならチラシは付けとくよ」
「いくら?」
「1200デリ」
アイリは銅貨で払い地図とチラシを持ち帰るとヘルカが出迎えた。
「ありましたか」
2人は部屋に戻るとテーブルに地図を広げた。
「まず庁舎の場所だ」
地図を見回し中心地区にそれらしい建物を見つけアイリが指さした。
「そう遠くないな。次は
アイリは地図に庁舎のチラシを載せ置いた。
庁舎は城と同じほどの敷地だった。3階まであり同じ間取りの部屋ばかりだが名称が書かれているのは1階だけだった。
「アイリ、これじゃあわからん。当日職員に聞いたらどうだ?」
「素直に教えてくれるかな」
だが聞く以外に方法はなさそうだった。
「まあ、明日
ヘルカはしばらくチラシを見つめアイリに
「明日、攻め入るのか?」
「状況次第さ。統制官だっけ。見つけたらひぃひぃ言わせる」
ひぃひぃかとヘルカは苦笑いした。明日は襲撃し
「アイリ、今夜はゆっくりと休んでおこう」
そうヘルカに言われアイリは
エイラ・メリラハティ
このままイモルキに先手を取られノーブルと西のイルブイに攻め込まれたら連合はひとたまりもないだろう。
だがイモルキに攻め込みその
ここまで順調に人を操ってきた。
何に
それにあの銀眼の魔女の狙いは何だとエイラは思った。
アイリ・ライハラ────青髪の少女──か。