第20話 剣の輪舞曲
文字数 1,617文字
だから────。
甲高い音が重なり騎士らの
99階層の
「うぁちちちちぃ!」
粘着質の火炎がついた
「くそうアイリ! こいつはヤバいぞ!」
尾の近くにいるヘルカ・ホスティラが立ち上がりかかった騎士らの中央にいる
だから、言ったんだ────。
だから、言ったんだ。来るなって────。
尾を激しく振り回し4人の騎士が内壁まで飛ばされ激しくぶつかると血反吐を吐いた。
「お前ら──馬鹿ばかりだ──」
先折れの
ああ、そうか。こいつら罪人でもないのに追い立ててきた。
力は試され、試練は人を作る。
魔物は神が遣わした人への試金石。
飛び上がりアイリ振り回すブレードはまたもや巨獣の牙に弾き返されアイリはバク転し飛び下りた。
その着地した場所へ
跳び退いてアイリは顔の前に横様に先折れの
アイリは父クラウスの様を思いだした。
99階層の入口の陰に隠れるように言い聞かせクラウスは1人でこの火焔竜に立ち向かっていた。父は顔にダメージを与えるように見せかけ火焔竜の首を刻んでいった。
そうだ。
こいつは顔に受けようとする
「ヘルカ! こいつの尾を思いっきり斬りつけろ!」
参謀長は眼を丸くしてアイリを
「そんなことしたら
「それが狙いだ!」
父に出きるなら自分にもできる。アイリ・ライハラはそう言い聞かせ
ヘルカ・ホスティラが叫び声を上げ火焔竜の尾に切りかかる。
人は助け合わねばならない。その運命を騎士団長は受け入れた。
一撃。
そうアイリ・ライハラは決意した。
「
力を解放して飛び上がったアイリ・ライハラは身体を大きく
ソファから身を乗り出してイルミ・ランタサル
「それで、アイリは火焔竜を倒せたのですか!?」
「ええ、
イルミ・ランタサルは手のひらを打ち鳴らし奇声を上げた。
「キャァア!!! やった! やったじゃないですか!」
「ですが
イルミは参謀長の横に座る包帯だらけのアイリ・ライハラに手を伸ばした。アイリはその手に触れる前に腕を引いた。
「よくやりましたアイリ。
「それよりイルミ、連れて行ったパーティー
「勿論、
配下への報奨の話が済むとアイリはまた腕組みして黙り込んだ。
「どうしたのですアイリ。いつもの
不安げな面もちで
「自慢できるのは
「アイリ・ライハラ、あなたは大人になりましたね」
イルミに言われアイリは
「187階層まで下りていた親父が化け物じみた強さだとわかった。それに比べたら俺に自慢できることは何もないさ」
テーブルの上に突き出されているイルミ・ランタサルの手を見つめアイリは腕組みを解き彼女の手に手を重ねた。
「帰ってこれた事が喜ばしい」
テーブルを乗り越えてイルミ・ランタサルはアイリ・ライハラを抱きしめた。
「お帰りなさい。