第18話 やっぱり怪(あや)しい
文字数 1,561文字
狭い路地で前後を挟 まれ退路がなくなると開き直るしかない。もたもたしてても、そんな連中が優しく語りかけてはくれない。
「ヘッレヴィ、どちら側でもいいから壁に背を着けて動くな」
アイリ・ライハラが異端審問官にそう囁 いた矢先に前を塞 ぐ暗い赤紫のフードを深めに被った男らがそれぞれ鞘 ナイフに手を伸ばした。
これ見よがしに素早く抜いて構えてこない。
こいつら殺す相手に死を受け入れさせてから殺す口だと少女は思った。
ちょっとビビらせてやれ。
そうアイリは思って片足をいきなり踏みだし素早く両手に握る椅子の足を前に突き出し叩 き合わせた。
パンと乾いた音が響き渡り同時に目前の男らが痙攣 したようにナイフを引き抜いた。
こいつら反射神経はいいけれど、度胸はイラ・ヤルヴァに遠く及 ばない。
「ファイヴ────」
少女は呟 き右足を踏みだして爪先を左に向け自身を嵩上 げした。
「────ステップ」
一瞬で左足を蹴り込んで左回りに身体を回転させ、暗殺者 らに退 く寸秒も与えずに後 から追いつかせた上半身の腕を振り回し続けざまに右と左手の男らのナイフ握る指を椅子の足で強打した。
2人の殺し屋は右手を横に弾かれナイフが指から離れ飛び同時にそれぞれが左手で別の鞘 ナイフに手をかけた。
轟速 ────。
少女は椅子の足を投げ上げ踊り上がった青髪の残像を引き連れ左側の男に1歩で詰め寄り左肘 を右手でつかみ右手で左手首を外側に弾き振り回し、右側の男が慌てた様に振り回されて向かってくる仲間のナイフ刃口 から逃れようと横へ足を一瞬交差させた。
その瞬間にアイリはその間合い取ろうとする男の重なった足首を蹴りの一撃で押し切り右手の暗殺者 はバランスを崩 し尻を石畳 に落とした。その上に肘 と手首を振り回した左手の男を投げ倒し胸前に襷 掛けになったベルトから鞘 ナイフとソード・ブレイカーを両手で引き抜いた。
引き抜いた勢いのまま少女は身体を捻 り、建物の壁に背を押しつけているヘッレヴィ・キュトラへ迫っている別の暗殺者 2人へ刃物 2口 を投げつけた。
異端審問官へ迫っていた男らは飛んでくるナイフを見もせずに狙う女から跳び離れた。
投げたナイフが居館 の壁に当たって甲高い音を放ったのと同時に落ちてきた椅子の足をアイリはつかんで倒した男らへ振り向いた。
絡まり倒れていた暗殺者 らはすでに立ち上がり、大人のヘッレヴィ・キュトラよりも少女を先に倒すべきだと優先順位を変えそれぞれが最後のナイフをほぼ同時に引き抜いた。
こいつら諦 める気がないらしい。そう少女が考えながら椅子の足を構えたまま壁の傍 にいる異端審問官の方へ後退 さった。
アイリ・ライハラは動きも速いし機転も利く。
だが、殺しにかかる男ら4人も侮 れない。
少女が4人の暗殺者 らを警戒しながら近寄ってくるのをヘッレヴィ・キュトラは冷静に考えていて少女に告げた。
「その棒を1本我に。半数を我が相手する間に2人を戦えぬようにできるか?」
「わかったヘッレヴィ。気をつけて」
見向きもせずに返事したアイリは女異端審問官へ両手に握る椅子の足を後ろに差し出した。
「1本でいい」
「2本使えよ。俺、素手で十分だから」
なんて自信だとヘッレヴィは苦笑いして木の棒を2本受け取って構えた。
2人の殺し屋へ棒で対峙する女異端審問官に肩を並べ大方のナイフを損耗 し最後のナイフを構える暗殺者 2人に向かいアイリ・ライハラは両手を突き出し手のひらをぐるぐると回し始めた。
何を始めるのだとヘッレヴィ・キュトラが横目で腕を回す少女を見つめるとその小娘が男らにとんでもない事を言い放ち女異端審問官は眼が点になった。
「さあ、あんたら目を回して倒れたら寝技に持ち込んであげますよ────いひひっ」
その下卑 た笑い声にヘッレヴィ・キュトラは顔を引き攣 らせやっぱり怪 しいと思った。
「ヘッレヴィ、どちら側でもいいから壁に背を着けて動くな」
アイリ・ライハラが異端審問官にそう
これ見よがしに素早く抜いて構えてこない。
こいつら殺す相手に死を受け入れさせてから殺す口だと少女は思った。
ちょっとビビらせてやれ。
そうアイリは思って片足をいきなり踏みだし素早く両手に握る椅子の足を前に突き出し
パンと乾いた音が響き渡り同時に目前の男らが
こいつら反射神経はいいけれど、度胸はイラ・ヤルヴァに遠く
「ファイヴ────」
少女は
「────ステップ」
一瞬で左足を蹴り込んで左回りに身体を回転させ、
2人の殺し屋は右手を横に弾かれナイフが指から離れ飛び同時にそれぞれが左手で別の
少女は椅子の足を投げ上げ踊り上がった青髪の残像を引き連れ左側の男に1歩で詰め寄り
その瞬間にアイリはその間合い取ろうとする男の重なった足首を蹴りの一撃で押し切り右手の
引き抜いた勢いのまま少女は身体を
異端審問官へ迫っていた男らは飛んでくるナイフを見もせずに狙う女から跳び離れた。
投げたナイフが
絡まり倒れていた
こいつら
アイリ・ライハラは動きも速いし機転も利く。
だが、殺しにかかる男ら4人も
少女が4人の
「その棒を1本我に。半数を我が相手する間に2人を戦えぬようにできるか?」
「わかったヘッレヴィ。気をつけて」
見向きもせずに返事したアイリは女異端審問官へ両手に握る椅子の足を後ろに差し出した。
「1本でいい」
「2本使えよ。俺、素手で十分だから」
なんて自信だとヘッレヴィは苦笑いして木の棒を2本受け取って構えた。
2人の殺し屋へ棒で対峙する女異端審問官に肩を並べ大方のナイフを
何を始めるのだとヘッレヴィ・キュトラが横目で腕を回す少女を見つめるとその小娘が男らにとんでもない事を言い放ち女異端審問官は眼が点になった。
「さあ、あんたら目を回して倒れたら寝技に持ち込んであげますよ────いひひっ」
その