第20話 帰郷
文字数 1,810文字
ホンラッド公爵の息子を国外追放したその日、国王の首に回った呪いのチョーカーはアイリが短刀で切り落とした。
チョーカーを切ろうとするものは呪いで死ぬなど、銀眼の魔女に1度勝ってるアイリ・ライハラには関係なかった。
呪い操られていた侍女 長のレニタはウルマス国王に謝罪し恩赦 を与えられ元の職に戻った。
その恩赦 を与えられた当日、レニタはアイリ・ライハラの前に顔をみせ深々とお辞儀して謝罪した。
「いや、いいんだ。あなたの意思であのような行いをしたんじゃないからな」
それを聞いてレニタはまた深々とお辞儀した。
ヘルカ・ホスティラの元へ恋のキューピットを送りだしたアイリ・ライハラは騎士達の剣技 稽古をしばらく視察し問題ないと判断し午後に久しぶりに実家に帰ることにした。
実家はノーブル国のはずれにあり馬を飛ばさなくとも半日で帰り着いた。
実家の鍛冶屋の前の綱木 に馬の手綱 を止め鍛冶屋に入ろうとして出入り口の上に蜘蛛 の巣が張っていたのでアイリは驚いた。
父がこまめに掃除してるなら蜘蛛 の巣など見かけなかった。
鍛治場の火は消え、もう数十日 は仕事をしてない雰囲気だった。
「ただいまぁ」
そう声をかけると後妻の1人パラメラが奥から姿みせアイリを出迎えた。
「お帰りなさいアイリ。さあ、入って──」
「父さんは? 仕事してないの?」
いつも夕暮れまで仕事する父がいないのは変だとアイリはパラメラに尋 ねた。
「父さんは伏せっているの。もう三月 になるわ」
アイリは愕然 となった。何の知らせもなかったと責めるよりも今の容態だとアイリはすぐに奥へ向かった。
父の部屋に入るとクラウスはベッドに上半身を起こしスープをすすっており後妻のアガータとスティナもおり声をそろえて歓迎した。
「おう、お帰りアイリ」
「お帰りなさいアイリ」
父はスプーンをトレイに置いて布巾で口を拭いて笑顔を見せた。
「どうしたの?」
「うん、大したことじゃないがミルヤミ・キルシが飛ばしたベッドから落ちたときに腰を傷めてな」
アイリはため息ついて椅子に腰を下ろした。病気じゃないと知り少し安心した。
「腰傷めているところに夜頑張ってな。やりすぎた」
「立ち上がれんようにしてやろうか」
そう告げアイリは苦笑い浮かべ拳 を上げた。
「どうだい。騎士団は大変かい?」
「まあまあ。ミルヤミ・キルシは魔女裁判で魔女だと判決が下り処刑されたよ」
「そうか────記憶をなくしてて魔女もないだろうに」
父の言い分にアイリはため息ついて説明した。
「仕方ないだろ。悪意持って魔女として振る舞い、それを教会からして赦さないからさ。親父 も一夫多妻なんかやってると教会から締められるぞ」
クラウスが苦笑い浮かべたのでアイリはまんざらでもないと思った。
「アイリ、お前、十字軍の総大将の役を重荷としてないか」
アイリは手のひらを振って否定した。
「あんなのただの名前貸しだから。なんにもしてない。十字軍ってこの数年遠征もしてないだろ。それより親父 、仕事休んでるならたまってるだろ。明日からしばらく打ってやろうか」
アイリの気遣いに父は微笑んだ。
「お前にはまだまだだよ。明日、手伝ってくれるなら久しぶりに打とうかな」
鍛治職はその専門性からいくつにも分かれるが、クラウスは武具などの剣 や甲冑 から農機具、包丁鍛治までこなす何でも屋だった。銑鉄を打ち据えるのが上手く彼が銑鉄を軟鉄に変え打った包丁は切れ味がよく刃物 長持ちすると評判が良かった。
「アイリ、お前16になっただろ。城では誰か祝ってくれたか」
「うんにゃ、めんどくさいんで誕生日を隠してる。でもイルミは知っててどでかいマカロンをもらったよ」
アイリは両腕で大きな輪っかを作って見せて菓子の大きさを表現した。
「イルミって王女の? お前まだ王女の付き人やってるのか」
父に問われアイリは必要なことは説明した。
「付き人じゃないよ。身辺警護。それにイルミ・ランタサルは今じゃあ王女じゃなく王妃 だよ。王のいない王妃 」
「アイリ、イルミ・ランタサル様はお元気ですか」
第1後妻のアガータが尋 ねた。
「元気すぎて困る。出来の悪い家臣 を星球武器で叩いて追い回すんだよ。品が台無しで困ったものだ」
くしゃみをしてイルミ・ランタサルは武者震いして厚着した。ヘルカ・ホスティラもくしゃみを連発してたので風邪をうつされたと王妃 は思った。
遠くノーブル国で噂されてるとはつゆ知らず。もう一度くしゃみした。
チョーカーを切ろうとするものは呪いで死ぬなど、銀眼の魔女に1度勝ってるアイリ・ライハラには関係なかった。
呪い操られていた
その
「いや、いいんだ。あなたの意思であのような行いをしたんじゃないからな」
それを聞いてレニタはまた深々とお辞儀した。
ヘルカ・ホスティラの元へ恋のキューピットを送りだしたアイリ・ライハラは騎士達の
実家はノーブル国のはずれにあり馬を飛ばさなくとも半日で帰り着いた。
実家の鍛冶屋の前の
父がこまめに掃除してるなら
鍛治場の火は消え、もう
「ただいまぁ」
そう声をかけると後妻の1人パラメラが奥から姿みせアイリを出迎えた。
「お帰りなさいアイリ。さあ、入って──」
「父さんは? 仕事してないの?」
いつも夕暮れまで仕事する父がいないのは変だとアイリはパラメラに
「父さんは伏せっているの。もう
アイリは
父の部屋に入るとクラウスはベッドに上半身を起こしスープをすすっており後妻のアガータとスティナもおり声をそろえて歓迎した。
「おう、お帰りアイリ」
「お帰りなさいアイリ」
父はスプーンをトレイに置いて布巾で口を拭いて笑顔を見せた。
「どうしたの?」
「うん、大したことじゃないがミルヤミ・キルシが飛ばしたベッドから落ちたときに腰を傷めてな」
アイリはため息ついて椅子に腰を下ろした。病気じゃないと知り少し安心した。
「腰傷めているところに夜頑張ってな。やりすぎた」
「立ち上がれんようにしてやろうか」
そう告げアイリは苦笑い浮かべ
「どうだい。騎士団は大変かい?」
「まあまあ。ミルヤミ・キルシは魔女裁判で魔女だと判決が下り処刑されたよ」
「そうか────記憶をなくしてて魔女もないだろうに」
父の言い分にアイリはため息ついて説明した。
「仕方ないだろ。悪意持って魔女として振る舞い、それを教会からして赦さないからさ。
クラウスが苦笑い浮かべたのでアイリはまんざらでもないと思った。
「アイリ、お前、十字軍の総大将の役を重荷としてないか」
アイリは手のひらを振って否定した。
「あんなのただの名前貸しだから。なんにもしてない。十字軍ってこの数年遠征もしてないだろ。それより
アイリの気遣いに父は微笑んだ。
「お前にはまだまだだよ。明日、手伝ってくれるなら久しぶりに打とうかな」
鍛治職はその専門性からいくつにも分かれるが、クラウスは武具などの
「アイリ、お前16になっただろ。城では誰か祝ってくれたか」
「うんにゃ、めんどくさいんで誕生日を隠してる。でもイルミは知っててどでかいマカロンをもらったよ」
アイリは両腕で大きな輪っかを作って見せて菓子の大きさを表現した。
「イルミって王女の? お前まだ王女の付き人やってるのか」
父に問われアイリは必要なことは説明した。
「付き人じゃないよ。身辺警護。それにイルミ・ランタサルは今じゃあ王女じゃなく
「アイリ、イルミ・ランタサル様はお元気ですか」
第1後妻のアガータが
「元気すぎて困る。出来の悪い
くしゃみをしてイルミ・ランタサルは武者震いして厚着した。ヘルカ・ホスティラもくしゃみを連発してたので風邪をうつされたと
遠くノーブル国で噂されてるとはつゆ知らず。もう一度くしゃみした。