第6話 死神
文字数 1,967文字
疾走する馬の上で
馬を駆り半日、南のウチルイとの国境が目前だった。
首都に繋がる道は複数あれど、ウチルイとの一番知れ渡った街道では怪しいものらと
「姉様、
顔を隣の姉に振り向け大声でテレーゼが問いかけた。
顔を正面に向けたマカイ家の長女は街道の先を見つめ眉根を寄せしばし考慮し口を開いた。
「いいや、道を使わず足を進めているな。
妹のテレーゼは顔を
「え!? 野原や荒れ地を選んで、か!? 兵に
駆ける馬に合わせ薄い
「並みのものならそうだが、用心深い
「
姉のテレーザ・マカイは軽く
「テレーゼ、東の隣街道までの原野を首都の方へ引き返せ。我は西の隣街道までの荒れ地を探索する。何か見つければ
姉の
「よし、二手で
言うなりマカイ家の次女は半身振り向き片腕を上げ人さし指と中指を立て右に振って街道から外れると後ろに従っていた騎兵の半数──20騎が追従し千切れた雑草を舞い上げた。
姉のテレーザ・マカイは妹ら一行の後塵を流し目で見送り左の
テレーザは妹のテレーゼが見つけるか自分が見つけるか二手とも空振りに終わるかは3分の1だと一瞬思ったが訂正した。
こうしろと命じればテレーゼは子どもの時から従順に従った。やもや先んじて手出しはしないだろうと姉のテレーザ・マカイは思った。
だが読みが大きく外れると死を
荷馬車の後部で荷物に寄りかかり
何の臭いだろう?
いいや、そもそも臭いなのかも
イルミ王女の
何かの違和感の元がわからず無性に気になり始めた。
これを1度感じた事がある。
え────っと、どこでだっけ?
そんなに前じゃないぞ。
考えていると王女の顔が浮かんだ。
違うちがう。あれの香油はぜんぜん別物だわ。
ふとイラは薄暗い部屋を思いだした。
そうだ! あれはイルミ王女を夜打ちした時だ!
言いようのないものを感じたんだ。そうだ。暗闇の中、アイリ・ライハラに
危機感────!
これは臭いでなく、何かの胸騒ぎだわ。
いきなり荷台にイラ・ヤルヴァが立ち上がり向かいに座る
「どうされましたの、イラ様?」
女
見えない。
眼にとまらないほど遠いのにこの殺気は何なのだと落ち着かなくなった。
まるで草原の上を死神が飛んでくるようだとイラ・ヤルヴァは鳥肌立ち、もしかしたら放置してきた魔女が復讐しに戻って来たのかと
「アイリ! 凄まじい殺気が追いすがって来ます!」