第10話 かぷっ
文字数 1,712文字
「きさまらはこれいじょうさきへゆかせぬ」
唯一の口を手にするグライアがそう宣言した。
「ゆかせぬといったらゆかせぬ」
口を奪ったグライアが代わりに言い張った。
「お前ら誰がその口を持っても言うこと同じじゃん」
アイリ・ライハラが言い返し長剣 を振り回し青い輝きが踊り乱れた。
「おのれ、らいりゅう──ノッチス・ルッチス・ベネトス」
グライアイの3姉妹は3重の魔法陣 を展開し防壁を打ち立てた。
「イレブン・ステップ」
アイリは足を交差させ急激にステップを踏み換え身体を捻 り刃 を振り回し気流を青い光跡がかき乱した。その光が魔法陣 を切り裂きグライアらは慌 てふためいた。
「おりゃぁ!」
斬ってかかったアイリを躱 しグライアイはバラバラに逃げ回った。
「アイリ!」
剣 を構えながら哀れに思ったヘルカ・ホスティラが騎士団長を止めに入った。
グライアイの一体に馬乗りになったアイリ・ライハラは剣 の刃口 が突き立てた。
「おまえらは深層のゲートの守り手。それを開け!」
刃口 を躱 すためにアイリ・ライハラに馬乗りになられたグライアは唯一の目を庇 い剣 を払いのけようと足掻 いた。
「もしも──願い1つだけ──叶うなら────われらグライアイ──この重責から────解き放て」
唇を真一文字に引き結んだアイリ・ライハラはグライアの胸を突き刺した。仰 け反 った21階層の守護者は一瞬にして霧散すると乾いた音を響かせて魔石を1つアイリ・ライハラの足下に落とした。
その音に残った2体のグライアイは怯え抱き合い震えた。
「あ、すまない。お前らの口と目は消えちまった。21階層への道、案内してくれるよな」
アイリ・ライハラの最後通告にグライアイは激しく首を縦に振った。
「アイリ、貴君は20階層の下に罠があると知っていたのか」
ヘルカ・ホスティラに問われアイリは長剣 を鞘 に収め苦笑いした。
「満腹で寝た振りをしないと、こいつら出て来ないからな。じゃないと21階層の入口に魔法で罠仕組んであるし」
「アイリ、同僚を罠の餌にするのはいかがか」
「大丈夫だよ。俺寝てなかったし、ヘルカだって飛び起きたじゃん。2人もいたらグライアら3人なんとかなるって」
ヘルカ・ホスティラの不満げな面もちのまま、グライアイに案内され迷宮の21階層に下りたアイリら20人の騎士らは張り巡らされた魔法の罠をくぐり抜けた。
アイリら20騎士はそのまま22階層へと下りるとさっそく次の魔物が待ち構えていた。
「へ、蛇かこいつ!」
アイリ・ライハラが言い捨てた巨大な蛇が鎌首を持ち上げ人を一口で飲み込めそうな大口を開いて騎士らを威嚇してきた。
「蛇の姿に惑わされるな! こいつはアイヤタル! 女の悪霊だ」
女の悪霊と言われても大蛇 は大蛇 。シャ──と威嚇されたら怖い。
「騎士団長殿! こいつの牙、ど、毒があるのですか!?」
「毒なんてね──よ」
「かぷっ」
言ってるそばからアイリ・ライハラは噛みつかれ大蛇 を殴りつけた。
「いてぇ──だろぅ! この野郎!」
アイリはわめきもう1度殴りつけた。
「見ての通り牙が針みたく細い。噛まれるとけっこう痛いぞ」
大蛇 はちゅ──っとアイリの血を吸い始めた。
「なに血を吸ってるん────だぁ──」
血を吸われてくらっときた女騎士団長は甲冑 と同じ青色に顔が血の気を失ってしまった。その窮地 に慌 てて騎士らは大蛇 に斬 りかかった。
アイリ・ライハラを咥 えている大蛇 は斬りつける剣 をのらりくらり躱 していたがヘルカ・ホスティラに首の付け根を両断にされ霧消した。
「アイリ、アイリ・ライハラ! 無事かぁ!? 大丈夫かぁ!?」
騎士団長は立っていられずに座り込んでしまった。
「だぁめぇだぁ────頭──くらくらする」
ヘルカ・ホスティラは急いで腰袋から気付け薬を取り出しアイリ・ライハラに飲ませると騎士団長は眼をカッと見開いて背筋を伸ばし立ち上がった。
「参謀長殿、騎士団長に何を飲ませたんですか?」
騎士の1人にそう聞かれヘルカ・ホスティラはボソッと答えた。
「海馬 の睾丸 」
「さあお前ら! 23階層に行くぞ!!」
剣 を振り上げアイリ・ライハラは1人ざくざくと空元気 で突き進んで行くと23階層の魔物に咬まれた。
「かぷっ」
唯一の口を手にするグライアがそう宣言した。
「ゆかせぬといったらゆかせぬ」
口を奪ったグライアが代わりに言い張った。
「お前ら誰がその口を持っても言うこと同じじゃん」
アイリ・ライハラが言い返し
「おのれ、らいりゅう──ノッチス・ルッチス・ベネトス」
グライアイの3姉妹は3重の
「イレブン・ステップ」
アイリは足を交差させ急激にステップを踏み換え身体を
「おりゃぁ!」
斬ってかかったアイリを
「アイリ!」
グライアイの一体に馬乗りになったアイリ・ライハラは
「おまえらは深層のゲートの守り手。それを開け!」
「もしも──願い1つだけ──叶うなら────われらグライアイ──この重責から────解き放て」
唇を真一文字に引き結んだアイリ・ライハラはグライアの胸を突き刺した。
その音に残った2体のグライアイは怯え抱き合い震えた。
「あ、すまない。お前らの口と目は消えちまった。21階層への道、案内してくれるよな」
アイリ・ライハラの最後通告にグライアイは激しく首を縦に振った。
「アイリ、貴君は20階層の下に罠があると知っていたのか」
ヘルカ・ホスティラに問われアイリは
「満腹で寝た振りをしないと、こいつら出て来ないからな。じゃないと21階層の入口に魔法で罠仕組んであるし」
「アイリ、同僚を罠の餌にするのはいかがか」
「大丈夫だよ。俺寝てなかったし、ヘルカだって飛び起きたじゃん。2人もいたらグライアら3人なんとかなるって」
ヘルカ・ホスティラの不満げな面もちのまま、グライアイに案内され迷宮の21階層に下りたアイリら20人の騎士らは張り巡らされた魔法の罠をくぐり抜けた。
アイリら20騎士はそのまま22階層へと下りるとさっそく次の魔物が待ち構えていた。
「へ、蛇かこいつ!」
アイリ・ライハラが言い捨てた巨大な蛇が鎌首を持ち上げ人を一口で飲み込めそうな大口を開いて騎士らを威嚇してきた。
「蛇の姿に惑わされるな! こいつはアイヤタル! 女の悪霊だ」
女の悪霊と言われても
「騎士団長殿! こいつの牙、ど、毒があるのですか!?」
「毒なんてね──よ」
「かぷっ」
言ってるそばからアイリ・ライハラは噛みつかれ
「いてぇ──だろぅ! この野郎!」
アイリはわめきもう1度殴りつけた。
「見ての通り牙が針みたく細い。噛まれるとけっこう痛いぞ」
「なに血を吸ってるん────だぁ──」
血を吸われてくらっときた女騎士団長は
アイリ・ライハラを
「アイリ、アイリ・ライハラ! 無事かぁ!? 大丈夫かぁ!?」
騎士団長は立っていられずに座り込んでしまった。
「だぁめぇだぁ────頭──くらくらする」
ヘルカ・ホスティラは急いで腰袋から気付け薬を取り出しアイリ・ライハラに飲ませると騎士団長は眼をカッと見開いて背筋を伸ばし立ち上がった。
「参謀長殿、騎士団長に何を飲ませたんですか?」
騎士の1人にそう聞かれヘルカ・ホスティラはボソッと答えた。
「
「さあお前ら! 23階層に行くぞ!!」
「かぷっ」