第5話 駆け引き
文字数 1,451文字
「何だこりゃぁ!?」
カーペットに座る込んだアイリ・ライハラは自分の首に回された首輪を
「さあさあ皆さん、おくつろぎを」
首輪と苦闘する少女を盗み見ながら女
「おいでアイリ」
そう言ってイルミ王女は自分の横のクッションをぽんぽんと手で
「人を
アイリがそう言い返すとイラの養父が驚いたとばかりに口を差し
「これはこれは、その少女と主従関係が交わされているものとばかりに思ったのですが、そうではないのですか? それとも
急にイルミ王女がころころと笑った。
「あれはまだ忍従を学んでいる最中です。失礼がありましょうがお気になさらず」
「だぁ、誰が奴隷だぁ!?」
イルミ・ランタサルはおやと内心驚いた。『忍従』を『奴隷』に結びつけたのはアイリの直感か? だが公爵の本意を知るわけがない。そこまで人生を歩んではいないのだから。
そう思う王女に怒鳴りながらアイリが
「これ! 皆さんに失礼でしょう。
高飛車に言いイルミ王女がそろえた
そうだ。首を引っ張られもんどりうったんだ。
り、リードをつけられた────!!
アイリ・ライハラは唐突にリードの輪の握り手を持つイルミ・ランタサルがその指を妖しく
少女は彼女が何かしらの
そのやり取りを黙って見ていた女騎士ヘルカ・ホスティラは顔を引き
君主がまたおかしな事をしている。
それにプライドの塊みたいな少女が急に王女に従順になった。何が起きているんだ!? 公爵と見えざる
不穏な雰囲気が下りているリビングのドアが開いて一同は顔を出入り口へと向けると執事のユリウスと数人のメイドがトレーに茶具を載せ立っていた。
「只今、お
男
「ユリウス、お茶うけに何を用意したんだい?」
「はい。トドの睾丸──丸干しでございます」
耳にした瞬間、イルミ・ランタサルは顔を背け眼を寄せ唇をへの字に曲げ、