第17話 災厄(さいやく)
文字数 2,120文字
山の急な斜面を転がり落ちてきた岩石の怪物が2体。狭い山肌の道──前後にサイクロプスほどもあるそいつらに
魔女
真っ先にテレーゼ・マカイが呪いの叫び声を後部に迫る
一方、アイリは岩石の怪物に突進し
以前、故国ノーブルのディルシアクト城に現れた岩石の怪物は曲がる関節部分が弱かったので手足を
1つ幸いにも大きさが
進み出る怪物に合わせ引き下がる騎士らに馬たちが押されて
「アイリどの
アイリのすぐ後ろにいるイルブイの女大将ヒルダ・ヌルメラが大声で告げアイリを
「ダメだヒルダ! この石像の魔物はとんでもなく強い! 力
ディルシアクト城に現れイルミとランタサル王を狙った
押し合いへし合いする馬たちが
あっ! あるじゃん!
思いついた騎士団長は最後尾の女剣士に大声で命じた。
「ウルスラ! 馬を使って怪物を山道から蹴り落とせ!!」
「承知!!!」
騎士らの
アイリも馬を使おうとして一瞬半身振り向いて騎士らの
山道が狭すぎて馬の向きを変えられねぇ! それに騎士らが邪魔でどのみち前へ馬を出せねぇ!
馬を出せたとして馬をぶつけて怪物を押し落とすかと考えアイリはそれを捨てた。重さで馬の方がずっと劣る。押し負けるのが眼に見えていた。
戸惑う寸秒、後方で大きな打撃音が聞こえ、振り向いたアイリはガウレムの巨体が
やった!
後は眼の前の1体だ!
ディルシアクト城に現れた
人と魔物の違いはあれどいくら頑丈でも鍛えられない場所がある。
アイリは開きなおった。
「
勝つのだと自分に言い聞かせるように押さえ込んでいる能力を解放し群青の瞳の
横殴りに腕を振り回したガウレムの手の甲へ飛び上がったアイリは腕を駆け上り岩石頭が正面に迫った。
その
刺さるというより砕け散ったという方が正しかった。
その落ちてきたアイリを女大将ヒルダが楽々と受け止めた。
「お見事、アイリどの!」
怪物を見据えたままアイリはヒルダの腕から下りると、左目を失った怪物の死角が壁のような斜面側だと気づきヒルダに問うた。
「ヒルダ! 腕力だけでなく足腰に自信あるか!?」
力に自信がないわけがなかった。ヒルダは女騎士ヘルカ・ホスティラに負けないほど
「力勝負、このヒルダ・ヌルメラ、名に誓い負けませぬ!」
その自信にアイリは女大将ヒルダに命じた。
「俺と2人で斜面壁とガウレムの間に入り怪物を山道から押し落とす!」
「おう! お任せあれ!」
「行くぞヒルダ!!!」
怪物の左へアイリが駆けだしたのと同時に女大将ヒルダも
振り下ろされる石腕の
そうして2人が同時に
だが重量で遥かに勝るガウレムは
ムリなのか!? と歯を食いしばったアイリが顔を
その寸秒、剣を投げ捨てたアイリ・ライハラ配下の40名近い騎士らが一斉にガウレムの足に群がった。
男らの怒号が湧き上がり、
頭上に見たこともないほどの巨大な赤竜が羽ばたいて火炎吐きだそうと大きな口を開いていた。
アーウェルサ・パイトニサム