第19話 待ち伏せ
文字数 2,007文字
獣の頭を袋に入れアイリ・ライハラとヘルカ・ホスティラは兵舎へ戻ってきた。
門兵はおらず兵士らの途絶えた隙 に2人は兵舎に入り込んだ。
「剥製 の頭なんていつつかうんだ!?」
そう少女が女騎士に問うた。
「まぁ、持っていろ」
人目を避けて廊下を探りながら小走りに移動するヘルカにアイリは付き従い後方を警戒した。
前から歩いてきた1人の兵士にいきなりヘルカは背を向けアイリに向かい合って提げていた袋を少女に渡した。その兵士が傍 まで来るとヘルカは兵士の腕をつかんで傍 らの扉を開いて引っ張り込むと兵士の首に腕を回し締め上げアイリが小部屋に入り後手で扉を閉じた。
「警備局はどこだ!?」
「な、なんだ──お、お前ら────」
女騎士は腕力にものをいわせ兵士の首に回した腕をさらに締め上げもう一度問いただした。
「警備局の場所を言え!」
「歩いていた──廊下を──西端まで────」
そこまで答え兵士が泡吹いて失禁した。
ヘルカは兵士を壁際に放置するとアイリから袋を受け取った。
「西端まで行って適当に扉を開いてみよう」
そうヘルカはアイリに言い2人は廊下に出た。
廊下の西端はそう遠くなく30馬身ほどだった。
小さな扉が2つと両開きの大きな扉が近くにあった。
2人は顔を見合わせるとアイリが観音開きのドアを指さした。
「アイリお前は我 の分の剥製 の頭を持ってろ。我 が1人で部屋を制圧する」
そう告げヘルカは袋を少女に預け剣の鞘 に巻いた布を振りほどき扉を肩で押し開いた。
部屋はそこそこ広く7人の兵士と中央奥に指揮官らしき将校が両袖 デスクを構えていた。
「警備局か!?」
ヘルカが大声で問うと近くの机につく兵士が唖然とした顔で頷 き、女騎士は次々に兵士を斬 り捨て始めた。事務仕事をしていた兵士らは抵抗することもできずあっという間 に7人が倒され、ヘルカは中腰になった将校へ駆け刃 の剣先 を喉元に突きつけた。
「答えろ! 警備報告は最終的に誰に上げている!?」
「エイラ・メリラハティ────統括官 ──」
「そいつは死んだんじゃないか」
「き、貴様らかぁ!?統括官 を殺し魔物の死骸を放置し魔物の仕業に────」
ヘルカは将校の喉にさらに強く切っ先 を突きつけさらに問うた。
「エイラ・メリラハティの代わりに統括官 をやっているものの名を言えば貴様は殺さずに済ませる」
「ヴィヒトリ──ラウタヴァ長老────だ」
いきなりヘルカは剣 の後端で将校を殴り倒し悶絶させた。
「中間管理職をひとっ飛びでボスがわかったな」
そう気楽そうに言うヘルカにアイリが指摘した。
「連合全部が狼族 かと思っていたが兵士にも今のところ狼男はいない。支配階級だけに狼男がいるのならボスを倒してもまた別のボスが出てくる」
「何体いるのかわからない狼族 を2人で倒すのか。ちょっと無理じゃないのか」
「無理でもやらなきゃ。イモルキへの進軍を諦 めさせるとかの話じゃなくなってくる。連合の人たちを解放しないと」
兵士らを味方につけるにも警備局の兵士を7人も斬 り殺してしまった今となっては無理だとアイリは思った。
「とりあえずヴィヒトリ・ラウタヴァという新しい統括官 を倒しに行こう」
そうアイリは言い切り2人は兵舎を後にし隣立つ庁舎に向かった。
一度目に行った時には正面の出入り口に門兵などいなかったが兵士が槍 を立てた2人がいた。だが不思議なことに剣 に布を巻いただけのアイリとヘルカは止められることもなく庁舎に入ることができた。
「なんだか待ち伏せされているみたいな気がする」
庁舎に入り階段に向かいそうアイリがヘルカに警告した。
「まあ、貴君が狼族 のトップを倒したばかりだからな。用心するに越したことはないだろう」
2人は三階まで上がると統括官 の部屋の出入り口前に兵が槍 を立てて警備にいるのを眼にした。
「ヘルカ、これ以上人を殺すのは止めよう」
「わかった。荷物をここに置いて2人であいつらを気絶させよう」
ヘルカの案にアイリは頷 き剣 と剥製 の頭を入れた袋を階段口に下ろして2人して兵士らの方へ歩いてゆき声をかけた。
「ちょっと、不審者がいるんだ」
そう声をかけると兵士らは顔を見合わ声をかけた女騎士に問うた。
「どこにその不審者がいる?」
「こっちだ」
ヘルカ・ホスティラの後ろに兵士らがついてゆくとアイリはその後ろから次々に兵士らの頚椎 を殴りつけ昏倒 させた。
「こいつらどうする?」
そうアイリがヘルカに問うと腕力で勝る女騎士は2人の兵士を統括官 の部屋の出入り口傍 らにまで引き摺 り壁にもたらせ座り込ませ居眠りをしているように見せかけた。
「アイリ、狼族 が待ち伏せしている可能性が高い。獣の被り物を使おう」
少女と女騎士はコヨーテと狼の剥製 を被り布を巻いた剣 を脇にかかえ統括官 の部屋の扉を開いた。
そこには新しい秘書以外に6人の男らがいた。
白狼とコヨーテの顔をした闖入者 にソファに座っている男らが顔を振り向け目を獣のそれに豹変させた。
門兵はおらず兵士らの途絶えた
「
そう少女が女騎士に問うた。
「まぁ、持っていろ」
人目を避けて廊下を探りながら小走りに移動するヘルカにアイリは付き従い後方を警戒した。
前から歩いてきた1人の兵士にいきなりヘルカは背を向けアイリに向かい合って提げていた袋を少女に渡した。その兵士が
「警備局はどこだ!?」
「な、なんだ──お、お前ら────」
女騎士は腕力にものをいわせ兵士の首に回した腕をさらに締め上げもう一度問いただした。
「警備局の場所を言え!」
「歩いていた──廊下を──西端まで────」
そこまで答え兵士が泡吹いて失禁した。
ヘルカは兵士を壁際に放置するとアイリから袋を受け取った。
「西端まで行って適当に扉を開いてみよう」
そうヘルカはアイリに言い2人は廊下に出た。
廊下の西端はそう遠くなく30馬身ほどだった。
小さな扉が2つと両開きの大きな扉が近くにあった。
2人は顔を見合わせるとアイリが観音開きのドアを指さした。
「アイリお前は
そう告げヘルカは袋を少女に預け剣の
部屋はそこそこ広く7人の兵士と中央奥に指揮官らしき将校が両
「警備局か!?」
ヘルカが大声で問うと近くの机につく兵士が唖然とした顔で
「答えろ! 警備報告は最終的に誰に上げている!?」
「エイラ・メリラハティ────
「そいつは死んだんじゃないか」
「き、貴様らかぁ!?
ヘルカは将校の喉にさらに強く
「エイラ・メリラハティの代わりに
「ヴィヒトリ──ラウタヴァ長老────だ」
いきなりヘルカは
「中間管理職をひとっ飛びでボスがわかったな」
そう気楽そうに言うヘルカにアイリが指摘した。
「連合全部が
「何体いるのかわからない
「無理でもやらなきゃ。イモルキへの進軍を
兵士らを味方につけるにも警備局の兵士を7人も
「とりあえずヴィヒトリ・ラウタヴァという新しい
そうアイリは言い切り2人は兵舎を後にし隣立つ庁舎に向かった。
一度目に行った時には正面の出入り口に門兵などいなかったが兵士が
「なんだか待ち伏せされているみたいな気がする」
庁舎に入り階段に向かいそうアイリがヘルカに警告した。
「まあ、貴君が
2人は三階まで上がると
「ヘルカ、これ以上人を殺すのは止めよう」
「わかった。荷物をここに置いて2人であいつらを気絶させよう」
ヘルカの案にアイリは
「ちょっと、不審者がいるんだ」
そう声をかけると兵士らは顔を見合わ声をかけた女騎士に問うた。
「どこにその不審者がいる?」
「こっちだ」
ヘルカ・ホスティラの後ろに兵士らがついてゆくとアイリはその後ろから次々に兵士らの
「こいつらどうする?」
そうアイリがヘルカに問うと腕力で勝る女騎士は2人の兵士を
「アイリ、
少女と女騎士はコヨーテと狼の
そこには新しい秘書以外に6人の男らがいた。
白狼とコヨーテの顔をした