第1話 貴高さ
文字数 1,933文字
昨今、ウチルイは北の大国デアチの言いなりという属国の様な関係ゆえ、ウチルイとの行き来に検問などなく人々は自由に出入りしている。
しかし自由といっても街道で人を見かけなくなり、その事にアイリ・ライハラはすぐに気づいて
「
横に座るイルミ・ランタサルが返す様に続けた。
「
言われ少女は街道の左右に点在する農地へ視線を向けた。穏やかな天気なのに確かに農作業してるものがいない。
「寄り合いかなんかで見かけないとか」
言いながらアイリはウチルイの国境を越える前までは農作業をしている人々を見たのを思いだした。デアチ国に入ってからぱったりと見ていない。
「何かの
しばし考えて少女は答えた。
「この道が裏街道だから──じゃねぇよなぁ。うろうろしてると
揺らしている
「
「農作業してて国から逃げだすの? それって変だよ。農地を捨ててまで、
止めいた
「税が重く爪に火をともす暮らしをしていても農家の人達というものは辛抱強いものです。それを逃げだすなりのとんでもない理由が何であれ、わたくし達が知ると深く困惑するでしょうね」
アイリはイルミ王女が知っていて話しださない様な気がして余計に理由を
「どうしてだよ? デアチの事はデアチの勝手だろ。それをうちらが知ったからといって、一々気に病んでいても仕方ないじゃん。でも変な事を変なだけだとほっとくとすっきりしないじゃん」
王女が揺らしていた
「アイリ、我が国の城下町で、
そんなの決まってるじゃんとアイリは思った。イルミ・ランタサルを残して逃げたら、あんたがとんでもない目にあわせられるのがわかりきっていたからだ。
そんなの後々、思い出すたびに不愉快になるからだ。
「ただの気まぐれだぁ。あんとき言ったよな。あんたが襲われてもぜってぃ助けないからな、と」
言いながら少女は王女のくるくると回す
「そう言いながら、
アイリは、またこいつ言いくるめようとしてると身構えた。
「
それと、デアチの農民が逃げだすという話にどう関係してんだよ、とアイリは声に出しそうになり我慢した。きっとそれすらくるくるは見越して答えを決めている。絡みつく様に言いくるめる。
「へ────そうですか。ちょっとすばしっこいだけで大した事のないどこにでもいる様なもんなんすけれど」
上手く言い逃れたと少女は思った。
「
うずうずなんかしねぇ! ほっぽいといて知らん顔するに決まってんだろうがぁ! キリねぇだろうがぁ! そんなもん一々助けてたら、そのうち首が回らなくなる!
「それは聞かなかった事にします──ハイ、そうします」
「
アイリ・ライハラはイルミ・ランタサルの洗脳の様な話しの持っていき様に、思わず
「