第17話 常理
文字数 1,901文字
銀眼の魔女の奇っ怪な性癖は人や様々な動物を氷づけにしコレクションとすることだった。
その集積の部屋は1つではなくを幾部屋にも渡りイルミ・ランタサル一行はつぶさに見ていった。
「ヘルカ、そこにある野うさぎの氷を削ってみなさい」
生きているかもしれぬと王妃 が命じて試しにうさぎが氷づけされたものをヘルカ・ホスティラが削り始めると刃 当てた瞬間に中のものとも砕け散った。
「駄目ですね。たとえ氷づけで生きてるとしても人を削り解放しようとしたら砕け死んでしまいます」
ヘルカに言われイルミ・ランタサルは表情を固くした。
「我々も魔女に負けたら氷づけになるのでしょうか?」
テレーゼに問われ王妃 は否定し説明した。
「それはないでしょう。あれは我々を剣 で殺しにきています。まあ──どのみち命とられるのは変わらないのですが────」
王妃 から離れアイリ・ライハラが氷づけの標本のようにされた子どもを見ていた。
「どうしたのアイリ?」
「なんでこんなことするんだろう?」
「ルースクース・パイトニサムを理解できないと思います────それでも我々が勝てて?」
イルミ・ランタサルはアイリのこれまでの強さを十分に知っていた。少女は人の限界点を越えた強さを持っている。だが銀眼の魔女も我々人を越えた能力を持っている。アイリが正面切ってぶつかればきっとどちらかが死んでしまうだろう。
我々はアイリ・ライハラの足をひっぱらないようにするのが精々だとイルミ・ランタサルは思った。
「みんなで手分けしてこの標本をなきものにしましょう」
そう宣言するとカローン以外は剣 を手にした。
壊し始めるが1人アイリ・ライハラだけが剣 の刃口 を氷床 につけたまま俯 いていることにイルミ・ランタサルはすぐに気づいた。
王妃 は少女のそばにゆくと耳元に顔を寄せ小声で尋 ねた。
「どうしました、アイリ? 魔女の復讐心を恐れているのですか?」
「そうじゃない。ただもっと魔女の意見も聞くべきだと────」
「人を殺してか、生きたまま残酷にも氷づけにする理由を確かめよと? 盗賊や殺人鬼にもそれなりの理由があります。ですが悪人の多くの理由には理解できない身勝手な思いがあふれています」
アイリは顔を上げイルミ・ランタサルを見つめ何か言おうとして唇開いたが声にならなかった。それを見つめ少女の何かしらの葛藤にイルミ・ランタサルは気づいた。
「それでも銀眼の魔女に耳を傾けよと? アイリ──貴女 は魔女ミルヤミ・キルシの処刑で見せた行動に理解示す声がある一方万民の敵に肩入れすると批判の声があるのを知っていますか?」
アイリは頭 振った。ミルヤミ・キルシが処刑にいたった数々の悪行は知っている。だが処刑まで受けた彼女に石を投げるのは非道だとアイリは思った。
「アイリ、騎士は教会の下──万民の味方につきますが、時には秩序守るために冷徹にことにあたる必要もあります。数十人を殺し標本にしたり村々に現れては殺人繰り返すものに耳を貸し理解したいと本気で思いますか?」
「それはいけないと思う。間違いなくいけないとはわかる。でも銀眼の魔女が狂っていても成敗しなきゃいけないなんて変だと思う。狂うってなんだよ!?悪魔憑 きはエクソシストが祓 ってしまえばすべて許されるじゃん」
イルミ・ランタサルは少女の訴えている道理がよく理解できた。
だが数百年にも渡り悪行に手を染めてきたものは最早、魔女なら火刑、悪人でも断首か縛 り首が裁判を下すものの普通の判断だった。
「アイリ────ミルヤミ・キルシと何があったのですか?」
「あいつ人殺しの魔女のくせに他人を助けるために涙したから──それからずっと考えているんだ。恩情をかけたら改心するんじゃないかと」
イルミ・ランタサルはため息ついた。
この子は優しさに振り回されている。
「アイリ、魔女は異端ゆえにエクソシストが悪魔との契 りを祓 っても犯した罪状は消えないのです。1人殺せば恩情があったとて村や町から追放、2人殺せば間違いなく処刑ですが恩情があっても国から追放。3人以上となると確実な悪魔憑 きとして火刑かアイアンメイデンに入れられ水没の刑です」
「それが人集まり国や町を形作るものたち集団の約束ごとなのですよ」
アイリは思った。
こんなに胸痛むのは何かが変だからだ。自分ではよくわからないけれど、イルミならと思ったがくるんくるんは教会寄りの王族の一員だから教会の意見を支持してる。
もしも銀眼の魔女が誰か助けるために涙したら自分はとてもじゃないが斬 り殺せない。
アイリ・ライハラは見下ろした刃 の剣先 で氷床 を刻んでるのを止められずにイルミ・ランタサルの話しに耳を傾けていた。
その集積の部屋は1つではなくを幾部屋にも渡りイルミ・ランタサル一行はつぶさに見ていった。
「ヘルカ、そこにある野うさぎの氷を削ってみなさい」
生きているかもしれぬと
「駄目ですね。たとえ氷づけで生きてるとしても人を削り解放しようとしたら砕け死んでしまいます」
ヘルカに言われイルミ・ランタサルは表情を固くした。
「我々も魔女に負けたら氷づけになるのでしょうか?」
テレーゼに問われ
「それはないでしょう。あれは我々を
「どうしたのアイリ?」
「なんでこんなことするんだろう?」
「ルースクース・パイトニサムを理解できないと思います────それでも我々が勝てて?」
イルミ・ランタサルはアイリのこれまでの強さを十分に知っていた。少女は人の限界点を越えた強さを持っている。だが銀眼の魔女も我々人を越えた能力を持っている。アイリが正面切ってぶつかればきっとどちらかが死んでしまうだろう。
我々はアイリ・ライハラの足をひっぱらないようにするのが精々だとイルミ・ランタサルは思った。
「みんなで手分けしてこの標本をなきものにしましょう」
そう宣言するとカローン以外は
壊し始めるが1人アイリ・ライハラだけが
「どうしました、アイリ? 魔女の復讐心を恐れているのですか?」
「そうじゃない。ただもっと魔女の意見も聞くべきだと────」
「人を殺してか、生きたまま残酷にも氷づけにする理由を確かめよと? 盗賊や殺人鬼にもそれなりの理由があります。ですが悪人の多くの理由には理解できない身勝手な思いがあふれています」
アイリは顔を上げイルミ・ランタサルを見つめ何か言おうとして唇開いたが声にならなかった。それを見つめ少女の何かしらの葛藤にイルミ・ランタサルは気づいた。
「それでも銀眼の魔女に耳を傾けよと? アイリ──
アイリは
「アイリ、騎士は教会の下──万民の味方につきますが、時には秩序守るために冷徹にことにあたる必要もあります。数十人を殺し標本にしたり村々に現れては殺人繰り返すものに耳を貸し理解したいと本気で思いますか?」
「それはいけないと思う。間違いなくいけないとはわかる。でも銀眼の魔女が狂っていても成敗しなきゃいけないなんて変だと思う。狂うってなんだよ!?
イルミ・ランタサルは少女の訴えている道理がよく理解できた。
だが数百年にも渡り悪行に手を染めてきたものは最早、魔女なら火刑、悪人でも断首か
「アイリ────ミルヤミ・キルシと何があったのですか?」
「あいつ人殺しの魔女のくせに他人を助けるために涙したから──それからずっと考えているんだ。恩情をかけたら改心するんじゃないかと」
イルミ・ランタサルはため息ついた。
この子は優しさに振り回されている。
「アイリ、魔女は異端ゆえにエクソシストが悪魔との
「それが人集まり国や町を形作るものたち集団の約束ごとなのですよ」
アイリは思った。
こんなに胸痛むのは何かが変だからだ。自分ではよくわからないけれど、イルミならと思ったがくるんくるんは教会寄りの王族の一員だから教会の意見を支持してる。
もしも銀眼の魔女が誰か助けるために涙したら自分はとてもじゃないが
アイリ・ライハラは見下ろした